オー、捨てないと!

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110mm個人携帯対戦車弾

2012-07-13 20:37:11 | ミリタリーコレクション
私が「一度実物を見てみたい!」とかねてから思っていて、
今年やっとその願いが叶ったのがこれ。


陸上自衛隊の装備する「110mm個人携行対戦車弾」です。

これはドイツ・ダイナマイトノーベル社の「パンツァーファウスト3(Panzerfaust 3)」を
IHIエアロスペース(当初は日産自動車の宇宙航空部門だったが経営再編で日産が降りた)がライセンス生産しているもの。

第2次大戦中にドイツ軍の使用した使い捨て対戦車火器、
パンツァーファウストシリーズの流れを汲むものですね。
発射方式としてはRPG-7と同等みたいですが、
こちらは発射筒内部にカウンターマスと呼ばれるもの(材質は樹脂の塊とか金属粉とからしい)が入っており、
後方に弾頭と同様の質量の物体を打ち出すデイビス平衡砲弾の原理を利用して、
無反動かつ後方爆風の危険域が小さいのが特徴となっている。

外観上最大の特徴はバズーカなどと異なり、大型の弾頭部が発射筒前方にはみ出しているのが特徴でしょうか。
RPG-7(というかRPGシリーズ)などで一般的なこの形式も元をただせば元祖はパンツァーファウストに辿り着く。

この大きな弾頭のお蔭で装甲貫徹能力がRHA(均質圧延鋼板)換算で700mmとも言われる高い性能を誇る。

引金機構まわりのアップ。

大戦中のそれと異なり、このパンツァーファウスト3では樹脂製の発射筒のみが使い捨て(自衛隊が使い捨ててるかどうかは不明)となり、
アルミ合金製の引金機構は再利用するようになっている。
引金機構は専用のケースに折りたたんで携行し、
発射時に弾頭のついた発射筒を取り付けて使用する。

引金機構は携帯時に邪魔になりにくいよう、前方・中央のグリップとストック部分が折りたためるようになっている。
引金機構にはバズーカ同様ピエゾ電気が組み込まれて弾頭の推進薬を電気着火させているようだ。
これは平たく言うと電子ライターと同じ仕掛けである。

中央のグリップ部分(これはグラスファイバー樹脂製)を畳んでから引き起こすと撃鉄が起きる(この時、自動的に安全装置がかかる)仕掛けなので、
畳んだ状態で発射筒を装着し、目標に向けてから前方グリップとストック部分を開き、
最後に中央のグリップを開いて照準・安全装置を解除して発射という流れになると思われる
(最初に弾頭の安全装置などを解除すると思われる)。

照準器は低倍率(2倍だっけ?)の光学式の物が装着されており、
破損から守るために大型の樹脂製カバーがついている。
照準器内には100mから500mまで100mおきに戦車のシルエット(凸型)と左右の見越し照準用の目盛りが刻まれている(参考記事

画像に注目。
発射筒にはあまり訓練されていない隊員でも使い方に困らないよう、
取り扱い方法、照準方法がプリントされている(訓練用として酷使されているので消えかかっているが)。
これは米軍のM72LAW、ロシアのRPG-18などの使い捨て対戦車火器と同様ですね。
ちなみに自衛隊においてもかつてのバズーカ、まだ使っている無反動砲と異なり、
弾薬という位置づけになっている。

また、画像の引金機構はオリジナルのドイツ・H&K社製となっている。
84mm無反動砲同様、初期にある程度の数を輸入したのかな?
オリジナルがダイナマイトノーベル社製とはいえ弾薬部分のみで、
引金機構がH&K社、照準器はヘンゾルト・ウィッツラーと複数の会社の分業となっている。
日本でのライセンス生産は…どうなっているのかな?


今回、肩に担がせてもらった(構えるのはNG。色々とうるさい方が外部にいるのだろう…)が、
噂通り、重量バランスが前方にあり、だいぶ重たく感じました。
前方のグリップを単脚代わりに使うのが無難な様です。
(写真は当然擬製弾ですが、重量バランスは同じになっているはず。)

発射筒には携行用に布製のスリングと中央に持ち手がついています。

弾頭部分の先が細く伸びているのは成形炸薬のスタンドオフ距離をとるためのプローブで、
運搬時は収納されており、対戦車戦闘の際に引き伸ばして固定するが、
伸ばさないまま使えば敵陣地などを攻撃する際に使用される。

自衛隊では通常の弾頭と訓練弾頭(青い色の物。炸薬が入っていない)しか採用されていないようだが、
ダイナマイトノーベル社では反応装甲に対応するために先端に小型の成形炸薬弾を装着したパンツァーファウスト3-T(Tはタンデムの意)、や陣地攻撃用のブンカーファウストも製造されている。

こちらは動画。

【軍事】 陸上自衛隊 110mm 個人携帯対戦車弾 射撃訓練(2)


上でも触れたけど青い弾頭は訓練用の炸薬なしのイナート弾と思われる。

Wikipediaでは照準器に取り付ける透明アクリルの板(顔を保護する)と左手を保護する革手袋が標準装備みたいに書かれているが、
私が隊員に直接聞いた話では「そんなもの無いし、素手でも撃てる」とのこと。
部隊によって違うのかな?
私が聞いた富士の隊員も素手で撃っていると言っていました。

次いでドイツ軍。

ダイナマイトノーベル パンツァーファウスト3(110mm個人携帯対戦車榴弾)


こっちもアクリルフードが着いてますね…。

ちなみに自衛隊での呼び方ですが部隊によって違うようで、
ラム(LAM = Light-weight Anti-tank Munition)、とかパンツァーファウストと呼ばれているらしい。
前者は私も聞きました。

自衛隊の対戦車火器としては01式対戦車誘導弾もありますが、
安価かつ軽便な対戦車火器として今後も使用されて行く物と思われます。
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