近頃めっきり冷え込んできた。
当然、外に出る時は上着を着込む事になるのだが、
車を運転する時はコートではなくジャンパータイプの物がいい。
ジャンパーでミリタリーグッズ、となるともはや定番アイテムであるフライトジャケット、
MA-1があまりにも有名であり、私も昨年末頃まで愛用してきた。
が、不満点が無いでもなかった。
ナイロン素材から来る静電気の起きやすさ、そして何より耐火性の無さだった。
米空軍でもこの欠点が指摘され、
耐火繊維「ノーメックス」が開発されるとそれを使用したCWU-45/Pが採用されている。
別に私が車に乗っていて火に包まれる事を想定しているわけではないが、
どうせなら耐火繊維がいい、と言うことで購入したのがCVCジャケット。
「CVC」とは「コンバット・ヴィークル・クルーメン」の略で戦闘車両乗員、
即ち戦車や装甲車の乗組員用であることを示しているが、陸軍のヘリコプタークルーも使用しているようだ。
なお、服のラベルには
「JACKET:COLD WEATHER
[HIGH TEMPERATURE RESISTANT]」(防寒ジャケット 耐火)
としか書かれていないので、特に用途は限定されていないようだ。
つまり「CVCジャケット」は通称ということか。
細部を見てみよう。
左右にフラップ着きのポケットがついており、
左腕にはペン刺しとファスナー開閉の小型ポケットがついている。
MA-1と同じデザインだがこの腕のポケット、タバコ用っていうのは本当なんだろうか?
軍用の服にわざわざタバコ用のポケットと言うのは少々疑問が残る。
さりとて他に入れるものがあるかというと・・・?。
とりあえず私は携帯電話を入れることにしている。
普段はベルトの小型ポーチに入れているが、座っていると出し入れしにくい。
その点、腕なら楽に出し入れできる。
腹部ポケットフラップのベルクロに注目。
フラップ側にメス側が縫い付けられており、袖のニットを傷つけないよう考慮されている。
これはCWU-45/Pと同じデザインだ。
ちなみにこのメス側、一般的なベルクロと異なる素材が使われている。
詳細は不明だが、耐火性と関連がありそうだ。
続いてエリ部。
MA-1と異なり(CWU-45/Pと同じく)エリのつけられているこのジャケットはエリの左裏側にフラップがつけられており、
寒い時にスタンドカラーとして使用できるようになっている。
同じ陸軍のフィールドジャケットと共通のデザインだが、CWU-45/Pはどうなっているか私は知らない。
最後に背面。
背中にはベルクロ留めのスリットがつけられている。
これは体温調節用・・・ではなく、非常時にハッチから引き出すために使用する物だ。
といってもジャケットを掴むのではなく、下に着用しているカバーオールに取っ手が縫いつけられており、
これを掴んで引き上げるわけだ。
私は残念ながら米軍のCVCカバーオールを所持していないが、手持ちの西ドイツ軍の物の場合、
背中の取っ手は背面を縦断して股の辺りまで縫い付けられており、
「なるほど、これだけ頑丈なら気を失っている人間を引き出しても大丈夫だろう」
感心したものだ。
もっとも、かなり力が要るだろうが・・・。
さて、こんなに優れたこのジャケット最大の欠点は何といっても
「垢抜けないデザイン」
ではないだろうか。
ともすれば作業着に見間違えれらかねない。
これは「COMBAT!」(白黒版)のヘンリー少尉が着用している大戦中のタンカースジャケットにも言えることだ。
私個人の意見を言えば
「何と言われようと結構。自分が好きならそれでいいじゃないか!」
となる。
むしろ胸を張って行こうじゃないか。
なお、素材のNOMEXは紫外線に対して弱いので保管の際には直射日光に気をつけるべし。
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いつも楽しく拝見させていただいております。
このジャケット私も持っています。
昔は中綿のないヘリクルー用のライトウエイトタイプも存在しましたが、
今はこっちの方が手に入りやすいですよね。
私の気付いた難点といえば風が抜けることでしょうか。
CVC用は概して通気性が良い。
CWU-45/Pの襟は、フラップ等は何も付いていませんね。
また、来ます。
中綿なしのタイプがあるとは知りませんでした。
通気性に関してはあまり気にしてませんでしたが、確かに風が抜けた気はします。
いつも車に乗っているなどして屋外で長時間着たことが無いので何とも思っていませんでした。
年内は厳しいですが、来年もコレクションの紹介を細々とやっていく所存ですので、これからもよろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
サバイバルキット、ですか。
陸上部隊用のサバイバルキット、というのはあまり聞きませんので少々弱い気がします。
ひょっとしてバトルドレッシング(包帯)用なんでしょうか?
背中のスリットは買った日にしか開けませんね。後はしっかりと封印!
見かけは無骨ですが、結構愛用しております。
背中のスリットは・・・まあ、話のネタにはなりますが、
活用の機会は無いですね(汗
アラミドが日光で変色する事も初めて知りました
ありがとうございました!
こういった物のディティールって案外紹介されてなくて、
不満を感じていたのがブログを始めたきっかけでもありますので。
退色に関しては普通に着る分には問題ないと思いますが、
保管の際に陽の当たらないよう気を付けた方がいいと思っています。
中古を見ると結構色が変わってますので。
ものすごく参考になり、楽しく拝見させていただきました。
CVCのデザイン、シンプルで私はすきです。
参考になったのであれば幸いです。
第二次大戦中のタンカースジャケット同様、地味ですが、それもいいと私は思っています。