柱谷幸一監督は対ガイナーレ鳥取戦の勝因のひとつとして、先ず「流れ」を挙げた。
「刈谷戦のゲームみたいに皆が粘りに粘って、高安(亮介)が突破してFKをもらい、落合(正幸)が決める。そういう流れができている」
食ってやろう。栃木SCに対して敵愾心を剝き出しに襲い掛かってくる相手からゴールを、勝点を奪うことは容易い作業ではない。力量差を埋める要素は、アウェーには山のようにある。自ずとゲーム展開は難しくなる。イニシアチブを握り、アグレッシブに攻め立て、優位にゲームを押し進められる回数は、それほど多くはない。
ならば、対戦相手を勢い付かせることなど、もってのほかである。勝率を上げるためには、勝点を必ず持ち帰るには、先にゴールを与えてはいけない。先手を奪われ、追い付き、追い越すことが、アウェーで如何に困難を伴うのか。柱谷監督は経験則から分かっている。先程のコメントを補足する。
「忘れてはいけないのが小針(清允)のプレー。何本もいいセーブで助けてくれたので、こういう(勝ち)ゲームに持ってこられた」
前後半の90分を鳥取に支配された。栃木SCは特長を発揮することすら許されなかった。押し込められたのだから当然シュートを浴び、決定的なシーンを作られもした。過酷な状況下で仕事量が増えるのは守備陣である。とりわけ最後の砦となるGKは重労働を課せられる。片手では足りないほどの窮地を、しかし小針は飄々と防いだ。失点を喫しても文句が言えないシーンは、数えただけで7本(前半4、44分。後半4分×2、21分、43分、ロスタイム)もあった。時には弾き、時には微かに指先に触れるだけでコースを変えるなど、豊富な選択肢を駆使してゴールを死守した。もはや卓越した技術と俊敏な反応は、栃木SCには不可欠である。これまで消化してきた3試合でも、失点を相当数減らすことに貢献している。ビッグセーブが勝機を手繰っていることに疑いの余地はない。
「Pボックス外からのシュートならば入らない。見て分かる通り、抜けているから心配していない」
辛口で鳴るキャプテン佐藤悠介も、そのセービングに絶大なる信頼を寄せている。
「たまたまついていた。うまくボールに対処できた。コンスタントに今までやってきたことを表現できている」
「チームとしての結果。個人の力による結果ではない。各々が最低限の仕事をしているから結果が出ている」
肯定しない。前者は、神懸り的なセーブでしたね?という問いに対して、後者は、4連勝の立役者ですね?と水を向けられた際の答えである。
少しは悦に入ってもいいものだが、小針は結果が残せていることを、勝ち続けられている原因を「チームの高い意識」と捉えている。ベンチ入りメンバー、遠征に帯同できないメンバー、スカウティングを行っているスタッフなど、チームに携わっている者が高次元で自分の仕事をこなせれば、結果が出ると考えている。
「目立たない方が、僕としても楽だし、それにこしたことはない」
GKの誰しもが持ち合わせる理論を展開しながら続ける。
「でも、そういうことは逆に少ない」
窮地を救うために、優勝、J2昇格を果たすために、栃木SCに移籍してきたとの思いは強い。
「自分としてはチームのプラスになる仕事をしたい。それが多少なりともできている。持続していきたい」
リーグ戦を制覇するには、守備の安定が最優先事項になる。無失点に抑えれば負けることはない。最低でも1は手にできる。今季の栃木SCのテーマは確実に勝点を積んでいくことである。
「小針を中心に粘り強く守れているのは大きい」(柱谷監督)
一方で、小針に対する依存度が高いことは懸念材料でもある。4試合で失点は僅かに1だが、「堅守」「堅牢」などと賞賛できる内容でないことは動かし難い事実である。あまりにもシュートを打たせ過ぎている。チームとして連動した守備が出来ているとは言い難い。
「決して内容がいいわけではないので、どこかで躓くことが出てくる。その時に立て直しが出来るように、勝っているうちに修正して乗り切りたい」
守護神がしっかりと現状を把握し、危機感を持っていることは心強い。最後尾からの冷静な視点で問題点を指摘しながら改善を図り、鉄壁の守備組織と誇れるように。完成形へとより近付けたい。
「刈谷戦のゲームみたいに皆が粘りに粘って、高安(亮介)が突破してFKをもらい、落合(正幸)が決める。そういう流れができている」
食ってやろう。栃木SCに対して敵愾心を剝き出しに襲い掛かってくる相手からゴールを、勝点を奪うことは容易い作業ではない。力量差を埋める要素は、アウェーには山のようにある。自ずとゲーム展開は難しくなる。イニシアチブを握り、アグレッシブに攻め立て、優位にゲームを押し進められる回数は、それほど多くはない。
ならば、対戦相手を勢い付かせることなど、もってのほかである。勝率を上げるためには、勝点を必ず持ち帰るには、先にゴールを与えてはいけない。先手を奪われ、追い付き、追い越すことが、アウェーで如何に困難を伴うのか。柱谷監督は経験則から分かっている。先程のコメントを補足する。
「忘れてはいけないのが小針(清允)のプレー。何本もいいセーブで助けてくれたので、こういう(勝ち)ゲームに持ってこられた」
前後半の90分を鳥取に支配された。栃木SCは特長を発揮することすら許されなかった。押し込められたのだから当然シュートを浴び、決定的なシーンを作られもした。過酷な状況下で仕事量が増えるのは守備陣である。とりわけ最後の砦となるGKは重労働を課せられる。片手では足りないほどの窮地を、しかし小針は飄々と防いだ。失点を喫しても文句が言えないシーンは、数えただけで7本(前半4、44分。後半4分×2、21分、43分、ロスタイム)もあった。時には弾き、時には微かに指先に触れるだけでコースを変えるなど、豊富な選択肢を駆使してゴールを死守した。もはや卓越した技術と俊敏な反応は、栃木SCには不可欠である。これまで消化してきた3試合でも、失点を相当数減らすことに貢献している。ビッグセーブが勝機を手繰っていることに疑いの余地はない。
「Pボックス外からのシュートならば入らない。見て分かる通り、抜けているから心配していない」
辛口で鳴るキャプテン佐藤悠介も、そのセービングに絶大なる信頼を寄せている。
「たまたまついていた。うまくボールに対処できた。コンスタントに今までやってきたことを表現できている」
「チームとしての結果。個人の力による結果ではない。各々が最低限の仕事をしているから結果が出ている」
肯定しない。前者は、神懸り的なセーブでしたね?という問いに対して、後者は、4連勝の立役者ですね?と水を向けられた際の答えである。
少しは悦に入ってもいいものだが、小針は結果が残せていることを、勝ち続けられている原因を「チームの高い意識」と捉えている。ベンチ入りメンバー、遠征に帯同できないメンバー、スカウティングを行っているスタッフなど、チームに携わっている者が高次元で自分の仕事をこなせれば、結果が出ると考えている。
「目立たない方が、僕としても楽だし、それにこしたことはない」
GKの誰しもが持ち合わせる理論を展開しながら続ける。
「でも、そういうことは逆に少ない」
窮地を救うために、優勝、J2昇格を果たすために、栃木SCに移籍してきたとの思いは強い。
「自分としてはチームのプラスになる仕事をしたい。それが多少なりともできている。持続していきたい」
リーグ戦を制覇するには、守備の安定が最優先事項になる。無失点に抑えれば負けることはない。最低でも1は手にできる。今季の栃木SCのテーマは確実に勝点を積んでいくことである。
「小針を中心に粘り強く守れているのは大きい」(柱谷監督)
一方で、小針に対する依存度が高いことは懸念材料でもある。4試合で失点は僅かに1だが、「堅守」「堅牢」などと賞賛できる内容でないことは動かし難い事実である。あまりにもシュートを打たせ過ぎている。チームとして連動した守備が出来ているとは言い難い。
「決して内容がいいわけではないので、どこかで躓くことが出てくる。その時に立て直しが出来るように、勝っているうちに修正して乗り切りたい」
守護神がしっかりと現状を把握し、危機感を持っていることは心強い。最後尾からの冷静な視点で問題点を指摘しながら改善を図り、鉄壁の守備組織と誇れるように。完成形へとより近付けたい。