スポーツライター・オオツカヒデキ@laugh&rough

オオツカヒデキは栃木SCを応援しています。
『VS.』寄稿。
『栃木SCマッチデイプログラム』担当。

WBC世界フライ級タイトルマッチ:内藤大助対ポンサクレック・ウォンジョンカム

2008-03-08 23:26:28 | その他のスポーツ
ジャッジ3人の採点が割れた。優劣が付かない。4度目の対戦はドローに終わる。こうなるとベルトを巻いてリングに上がったWBC世界フライ級王者・内藤大助が有利。2度目の防衛に成功した。

ゴングが打ち鳴らされる。互いにアグレッシブに動き回る。上体を沈め、がに股で前へ。内藤はおちょくるように揺さぶる。トリッキーな動きで17度の防衛を果たした偉大なる挑戦者ポンサクレック・ウォンジョンカムをかく乱する策をとった。ただし、単に変則的なだけではなく、距離を測りながら捨てパンチを足掛かりに懐に潜り込む強かさも兼ね備えていた。沈着冷静なポンサクレックは、さばくのに苦労しながら、それでもカウンターを合わせる。確かなスキルで序盤戦、リードを奪う。

回を重ねる毎に機敏に、ステップは小刻みに。間合いを適度に保ちながらロング、ミドル、ショートのパンチを打ち分けた。加速していく内藤。回転が増したことで序盤に失ったポイントを挽回し、中盤戦をものにする。

8R終了後、スコアに大差が付いたことを知ったポンサクレックは焦れた。次の回、どこかで見た光景、再び。内藤がリングへと投げ飛ばされる。若気の至り、恐怖に打ち勝てなかった。前挑戦者には立つ言い訳も、歴戦の勇に当てはめれば、それは暴挙以外の何物でもなくなる。理性を欠いた。巧妙な策略、とは解釈し難い。蛮行を犯すも悪びれることもなくポンサクレックはKOを狙ってきた。推進力が増す。やや受けに回った内藤であるが、ボディからフックのコンビネーションは的確かつ有効であった。進撃を寸断。10R、終了間際に右フックでポンサクレックの顔面を叩いた。尽きないスタミナ、拳は忙しなく交差。内藤、ポンサクレック両者の矜持がぶつかりあった試合は手に汗握る攻防を繰り返し、終焉を迎えた。

ベルトは動かず。つまり、内藤が勝ち名乗りをあげた。ドロー決着に不満を抱かぬはずはないが、手の内を知り尽くした相手に引けをとらなかったのだから胸を張っていい。

フェイクではない、本物を堪能できた。それで、十分だ。

WBC世界フライ級タイトルマッチ 〇内藤大助(114-115。115-113。114-114)ポンサクレック・ウォンジョンカム× @両国国技館


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