
年に数回警察のガサ入れがあることで有名な京都大学熊野寮の現役寮生が書いた、寮の仕組みや生活、人間模様。中核派には触れません、と書いているが、完全に避けるわけにもいかなかったかチョコチョコ登場する(笑)イザというとき、最後まで体を張ってくれる用心棒といったところか。寮という、学生同士の濃密な人間関係と、民が主であるという自治が交差する青春共同体の息吹が伝わる。なるほど、熊野寮には8回生やら9回生が多い理由もよく分かる。こんなにも人間の熱量が高い磁場からは、容易に離れられないだろう。自由は、みんなが力を合わせて勝ち取るものだということを熊野寮は教えてくれる。そこと比較するのも筋違いだろうが、いつまでも昔の恨みを引きずることでしか自分の正当性を見いだせず、中途半端なことしかできない脱落左翼が書いた学生運動回顧本より1000000倍価値があり楽しく読める。大学受験の合格体験記本で有名なエール出版社から出た本なので、学習参考書コーナーにあったりする。中学生高校生が読めば、こんな場所が日本にあるのかと驚くだろう。お薦め。