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DK大衆食の旅3

路麺好きがそんな感じで巡る大衆食の旅。

おくちゃん@志村坂上【閉店】

2018年03月07日 | そばうどん
継承されていかなければ、文化としての成熟はない。

大衆の中から抜きん出て、老舗となっていった店は、その物差しを手にしていった。

例えばある有名な和菓子店。社員全員を、商品に使う材料の仕入先に研修に出すという。
自分たちが扱う材料が、どうやって、どんな思いで作られているのかを体験させる。その上で自分達のプロダクトを理解させる。すごい。

だからあの羊羹は立派にうまいけど、立派に高いのだ。



さて個人経営の立ち食いそば店はどうか。

それは奇しくも前回の東京オリンピック前夜。
全面禁止となった屋台の亭主達は、凡そ商売には不向きとされた街角の小さな隙間や三角地帯にどうにか店を構え、安価でスピーディなそばうどんを提供し始めた。そんな歴史の上に成り立つ。

継承?それどころじゃあない。
生きる為に精一杯なのだ。



それから半世紀。我々が時々街で見かける古ぼけた立ち食いそば屋。
星の数ほどに生まれた中から、町の声をよく聞き、汁の個性を磨き、安価な一杯にも真剣に取り組むことで生き残ってきた精鋭と言えるのかも知れない。

それでも継承のシステムを組み込むことのできないままに、閉店を余儀なくされているのは昨今周知の通りである。



この志村坂上の名店おくちゃんも、先月の末で45年の歴史に幕を閉じるコトになったという。

しかし、別の方がこの味のままで後を継ぎたいという話が出てきたという。門外不出のレシピも伝えたとも。



いや、わかる。言いたいことは充分わかる。
簡単な話ではない。諸々難しいコトは当然多いだろう。

でも。でも。

その味を、意思を継ぎたい。と声のかかるコトに、自分は感動を覚える。

おくちゃんが大好きだったワタクシの、これまでの感謝とこれからの期待を込めて。



それこそが自身では継承のシステムを持たない、でもその分、町に愛され必要とされた、立ち食いそば屋の継承のかたちなのも知れないのだから。






5 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (qinsuke)
2018-03-07 19:02:11
はじめまして
qinsukeと申します(ウソです。アイツです。)
いつも楽しく拝見させていただいております(本当です)

>別の方がこの味のままで後を継ぎたいという話が出てきた・・・
素晴らしいです。
魅力的なお店であったことはもちろん、「ちょ、ちょぉ継がせてぇなぁ・・・」ってお店に伝える事ができるほど程、お店がフレンドリーなのか、魅力的な味だったのか、はたまたマタマタこれまたどうして、全部ひっくるめて魅力的だったのでしょうね。
引き継いだ経営企業がどんな感じか分からんですが、「お店がある」ってことで地元の方々に大きな安心を提供できるでしょうね。

はい、無理してイイこと言おうとしています。
頭から煙出てきました。

以上、よろしくお願いいたします。
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Re:Unknown (deekay71)
2018-03-08 09:42:24
はじめまして(笑)
知らぬが仏、こちらこそお楽しみ日課とさせていただいておりやす。モアイ天いいすね(笑)

最近相次ぐ路麺や大衆店閉店のニュース。色々と考えさせられるものがありますが、様々な立場の人の思いを垣間見る時であるコトにも気付きました。
決して教科書には載らない大衆の生き様や心。せめてココに残しておきたいな。と。

こちらも煙が出始めましたので、以上、よろしくお願いいたします。w
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Unknown (soba)
2018-03-08 20:24:07
おくちゃんは、もともと、時計屋さんを経営していたと聞きました。
あの茹でる時間の正確さ、出汁つゆのブレのなさ、全てが受け継いだ生業の賜物であったと思います。
志村坂上の「おくちゃんは、永遠に不滅です」
食べたかったなあ。
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Re:Unknown (deekay71)
2018-03-09 17:33:26
時計屋!そうなんですね。
もう待ったなしに本当の世界が音を立てて崩れていきます。
sobaさんの書くおくちゃん、味わいたかったです。
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Unknown (Unknown)
2021-12-10 08:00:28
大昔、時計屋だった、立派な金色に輝く置き時計が沢山置いてあった、、
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