ある司法書士の修行時代

司法書士の修行の日々に思う徒然事

嫌な感じ

2005-04-30 00:00:20 | 徒然
中田秀夫監督の出世作は「女優霊」だろう。
この作品のおかげで〝ホラーが得意〟のレッテルが貼られたようものだ。
しかも「リング」が大ヒットしたせいでその評価は不動のものとなった感すらある。

しかしホラー監督の宿命を義務付けられた監督は、
往々にしてその宿命に抗おうとするものだ。
カーペンターのように宿命に殉じる者もあるが、
クレイヴンにせよフリードキンにせよ黒沢清にせよ、
その作品からは「俺は単なるホラー監督じゃないんだ」という叫びが、
作品に登場するヒロインの恐怖の叫びより悲痛に聞こえてくるから不思議だ。

僕にとって「女優霊」は実のところ怖かった。
僕は怖さに理由を求められると興ざめするからか。
「リング」は全くと言っていいほど怖くなかった。
貞子の怨念なんて理由は興ざめだったからだ。
それより映画が原作を台無しにしているようで駄作だと思った。
「女優霊」の怖さはまさに「理由がない」からじゃないのか。
理由のない怖さそのものを描こうとしているのは、
恐怖の本質そのものに接近していると思った。

人間は理由のないものが怖いのだろう。
だから理由を捏造して強引に安心する。
貞子の怨念がテープに染み込む?
蛇や虫が怖いのは、遺伝子の記憶のせい?

JR西日本のお偉方も損害賠償がいくらになるのか、
社会的責任がどれほどに至るのか怖かったに違いない。
だから「置石」なんて事を言い出した。
しかし、それは、

左様、実に、嫌な感じだ。