みかんのかわ Blog Ver.

某仲卸の最先端花情報メールマガジンの連載企画がブログにバージョンアップ(?)。
スポーツネタを中心に花仕事を掲載!

科学的な論理で知りたいこと

2008-02-22 11:45:35 | Flower news
自分が花屋にアルバイトに行った頃と、今で大きな違いが
あることがあります。

しかし、それはひとつの伝統的なやり方として花屋ごとに
決まりがあり、他の花屋に行くと一から学ばなければ
ならないことでもあります。

それは「水あげの方法」です。

18年前、東京で働いていたときに教えてもらったのが、

草花類、霞草、金魚、ストック湯あげ。
球根類、バラ類は切り上げ、蘭類は焼き、枝物は叩く。

そしてトルコキキョウ、菊は折るという感じで
一度下がったものについては基本的に湯上げでした。

現在東京では、ELFパケット(水つけ輸送)の発展や
品質の向上、前処理剤等の生産者の努力もあり、

ほとんどの切花の「切り上げのみ」での水あげを可能に
させていると言っていいと思いますが、

それでも、各花屋さんで湯あげ等の水あげ方法を今でも
おこなっている理由は、早く水あげをおこなって販売したい
という店舗の意識(駅中、露店等)や、

花屋さんの続けて来た「安心感」
みたいなものがあるからだと私は考えています。

湯あげや焼きというものは、導管に詰まった
気泡等を出したり、燃やしたりというふうに説明されたり

ショックを与えるというような教え方されるのだけど、
正直、その科学的根拠とかそういうのってよくわかりません(笑)。

学校でもそう教えてもらったし。

ただ、葉の大きいもの、多いもの、そして夏場のような
暑い時期程水分蒸散が激しいことや、

棘を取ったバラが取らないバラよりも、水分が蒸散しやすいこと、

そして花を開花する力が必要なもの程、水分が必要だし、
蘭のようなものが必要ではないことも経験でわかります。

だから、花の種類や、花の品質やボリュームによって、
取る葉の量も変えるわけですね。

冬場は蒸散率が低いけど、蒸散が少なすぎると上部に
水が吸い上げる力が生まれず、水が下がる原因になる。

だから、寒いから水あげが良いなんてことないし、
東北や北海道の寒冷地の花屋さんの冬はほとんど「湯上げ」
なんだと思います。

私が華道の担当だったときに先輩に言われたのが、
水あげさせ無いのも、花の長持ちの方法のひとつということ。

ユリやチューリップのような球根類のものを咲かせたく無い
なら、市場から来たものを切らずに水に付けて置くという
のも手だと。

切り口も断面が大きければ大きい程、水は上がりやすいので
縦に割りを少し入れたり、先だけを少し切るなんて方法もある。

逆に咲かせたいのなら、葉を多く取る、ナイフで斜めに切る、
湯上げ、短くする等、いろいろ出来るというわけです。

私はこれを聞いて、今迄の水あげの意識がコロッと変わって
しまいましたが、花を長く飾りたいとか、綺麗に咲かせたい

というのは、観察力がいるのだなと思うのです。

昔は思いどおり、水が上がらず悩んだ分、花に接して意識して
観察しながら試行錯誤していたのかなと。

根から切られた花が、水を上部に吸い上げるには理由があり、
それは環境に大きく影響されていて、茎に留まる栄養が
無くなったり、切り口から出てしまったりする中で、

蕾を開花していくには、何が必要なのか?

それは、フラワーフードと呼ばれる栄養剤?
バクテリアを繁殖させない方法?ELFのような流通システム?
温度管理された低温輸送、管理システム?

もちろんすべて大事なことだと思うのですが、

本来のあるべき姿として、

「その花への観察力」そして「対応力」。

そうなんだと思う私なのでした~なんてね(笑)。

科学的に教えてる本があったら教えて下さい。







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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
そうそう (taro)
2008-02-22 12:14:48
俺もそう思う。
観察力と何でだろう?って自分で考える事だよね。
『切れるナイフで導管を斜めに』って図解みたいにすりゃなんとなく判るけど、なんで?って自分なりに考える事が大事なんだと思うわん。
「同じ花なのになんで?」とかね。
教わったから」だけじゃ駄目だと思うわん。
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Unknown (deblwinkel)
2008-02-22 12:57:55
taroさん~有難う!
よく市場で、仲卸の人に「この花もちますか?」って
聞く人をみかけるけど、まず自分で買って飾っていろいろ
と観察して欲しいよね。

ただ、水あげというものが科学的な根拠の中でちゃんと
理解出来るようにしないと、いけないと言われ続けて
結構日がたつね(笑)。

学校はいずれ花屋のスタッフになる生徒に、水あげの理論を
そして興味を与えていかなければ、お客様に説明することは
出来ない。

学生なんて勉強よりも遊びに夢中でそんなことは頭に入らないかもしれないけど、社会に出たとき急に「このコトか!」
みたいに頭に出て来る気がする。

もちろん受け入れる花屋さんの方が、今迄の経験を押し付けるばかりではいけないのは言うまでもないけどね(笑)。
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Unknown (mizo)
2008-02-22 14:14:10
なが~く花屋で働いていたものとして
この意見は素晴しいと思います。

対応力・観察力。

スタッフにも市場に参加させて
花の持ち方
店に戻ってから
どの順番で水揚げをするか
ナイフの手入れ
はさみの手入れ
ナイフの使い方
はさみの使い方
風や温度・湿度・水温
いろいろなことをこの2年で教えてきました。

あとは彼女達の観察力・対応力
そして応用力です。

長く花屋にいるとウンチクも長くなるので・・・

この辺で
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Unknown (くじら)
2008-02-22 16:05:46
昔、鍛冶屋のおやじは 弟子に火打ちをさせて
肝心要の 曲げは 弟子に見られないように
背中を向けて キュッ と曲げたそうです。

それがプロだと 技術畑のおっさんは言っていました。
野茂にフォーク教わるんだったら 見て盗むか?
お金を持って教えてください といわなあかん。
そんな事も言っていました。
フローリストさんや生産者さんが獲得する水揚げは
漁師の風で漁を読む と近いと思います。
ソナーや データより当たる時があると言いますから

と言う事は・・・・

やっぱり 水揚げは ’気合っ!’
「こらっ チューリップ 水吸えいっ!」と睨みつけると
絶対  揚がります。

お元気ですか? 今度 東京へ行く時はご連絡します

飲みましょう!
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私も経験者 (クマの子)
2008-02-22 21:06:20
ご無沙汰してます。
私も1年半位花屋さんで働いていました。
(昔の事です)
その時に、いろんな水揚げ法を教えていただけました。
まずバラは、棘をとり切り口をナイフでスパッと切る。
チューッリプは切り口を切らずに、そのまま水へ
ならば、咲かす事によって、花が長持ちしないという
理由からです。
菊は、水折りといって、面倒ですが水を張ったバケツの中で1本づつ折りました。私が勤めていた花屋さんは葬儀屋さんでしたので、そんな事は言ってられずに、ただ、切ってバケツに入れていた記憶のほうが強いかな(笑)それでも、揚げない場合は、逆さ水という方法で水揚げをしました。菊というのは、蒸散作用が激しいらしいです。なので、葉っぱからも水分を補うことで水落が防げるらしいとのことでした。
今は、いろんな水揚げ法がありますよね。
歳を感じるクマの子です(笑)

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Unknown (canopy)
2008-02-23 08:00:50
mizoさんと同じくらいなが~く花屋ではたらくものとして。

私も時々仲卸の人に水揚げの方法や「この花ながくもちます?」・・・見ます。。。

そんなのあり?

あ、私はウンチク短いです。。

mizoさん、さすがです!
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本が欲しい! (れんげ)
2008-02-23 08:06:40
先輩に教えてもらってデップなどの薬品を使ってます。
球根類のお話初めて聞きました。なるほど・・・。

あちこちの本に出ているやり方も人により様々ですし、結局自分で体験して見つけていますが、たとえばブルースターはアルコールが一番、クリスマスローズはお湯よりそのまま全身水につけるのが正解・・・。

本当にきちんとした本があったら助かります。

偉大なる職人の世界ということなんでしょうが、確かに理論化は必要です。

他の畑から来た私は花に関する信用に足る歴史本など無いのにも驚きました。

「ホガース」のスタイルの由来を有名な先生に質問した折「S字よ」とのみ。
ウイリアム・ホガースの名を知ったときは嬉しかった。

良い本があったら教えてください。
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Unknown (くろーる)
2008-02-23 14:53:56
私も偉そうなことは言えませんがデータと情報の違いを分別できないと何も身に付かないですね!
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Unknown (deblwinkel)
2008-02-24 17:37:28
mizo姫様
先輩フローリストの意見は重みがありますね。
経験で学んできたことは時代が変化しても対応が
出来るわけですが、これからの業界を考えた場合
そうもいかないって思うことがあります。

若い人たちがスタッフになっていく中で、上の人間
が先に考え方を変えなきゃならない。
そんな時代になってきているって思っています。

くじら様
もう時代が違うのです。見て覚えろなんて時代は終わった。有名店の社長さんがおっしゃていました。

今は道具の使い方からスタートしないと、何も
はじまらないと。疑問をひとつひとつ教えていかない
と、前へ進めないこともあるようです。
自分で考えなさいじゃ、なかなか次にも進めない
みたいですよ(笑)。

クマの子様
菊は葉が大事ですよね。蒸散が高いので濡れ新聞で
巻いたり乾燥を防ぐように考えてました。
地域によってやり方はことなるかもしれないけど、
こういうことをまとめて文章にし、花屋さんに
読んでもらうことも重要だと感じています。

canopy様
秘めたウンチクを一番解放してほしいのですが...
今度取材しないと(笑)。

れんげ様
ホーガスの意味知りませんでした。
やっぱりいろいろな方にお聞きしないといけないこと
がいっぱいあります。
物事には何か理由があるものですものね。
いつか取材にうかがいます~。

くろーる様
データはデータで大事ですよね。
経験でおぎなっていたものをハッキリ形にし
理解することが重要だと思っています。
もちろんその上でいろいろな対応力をつけること
が大事ですが。

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