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「電力産業構造改編」が停電大乱招く...民営化されればより大きな混乱

2011年09月21日 12時16分57秒 | 公共部門民営化
「電力産業構造改編」が停電大乱招く...民営化されればより大きな混乱

民衆の声 チョン・ヘギュ記者
入力2011-09-19 06:52:44 /修正2011-09-19 15:39:55
 
 〔15日午後、残暑で電力需要が一気に高まり、全国的に各所で停電事態が発生したことにことに関連して〕チェ・チュンギョン知識経済部長官は、「電力取引所で電力供給に対する虚偽報告があった」とし、停電大乱の責任を電力取引所に帰したが、専門家は、電力産業の構造改編によって韓国電力と電力取引所の業務が分散するなかで、統合的な管理体系がおろそかになったのが根本原因だと指摘した。

 電力産業構造改編でおろそかになった電力管理体系

 今回の停電大乱でわが国の電力管理体系の不備が余すところなくあらわれた。政府当局は夏期非常対策期間を9月23日まで3週間延長するという公文書を韓国電力と発電子会社に送ったが、実際には電力取引所と韓電などは発電所整備計画を全く変えなかった。
 事故当日の電力取引所の予備電力量数値がどれくらだったのかも日ごとに変わった。電力取引所は15日午後3時、停電直前の予備電力を343万kWと発表したが、その後「なぜ急いで停電したか」という疑問が提起されると、すぐに149万kWと修正した。だが、この数値は18日、生産能力のない電力が予備電力に含まれていた事実が明らかになる中、24万kWと最終訂正された。
 今回の停電事態の原因をめぐって、報告体系の混線などが俎上に上る中、政府が1999年から推進してきた「電力産業構造改編」が根本原因だと指摘されている。電力を供給する韓電と、系統運営を担当する電力取引所の業務が分散したことで「業務協力と管理がしっかりとできていないのでは」というもの。
 わが国の電力産業は、2001年以前までは電源開発、設備建設、設備運営などを韓国電力が総合的に管理してきた。だが、2001年の構造改編以後、総合的な電源開発と電力需給計画をたてる電力取引所、送電や実際の整備と配電を担当する韓電、電力生産を担当する発電子会社など計8つの組織に分けられた。
 電力産業の競争力強化という名目で発電分野を韓電から分離した政府は、配電と販売をも分割する計画をたてた。だが、この部門まで市場競争に委ねた場合、電気の公共性が損なわれ、収益性中心の経営などによって電気料金が上昇しかねないという反発などに直面し、この計画は2004年に中断された。 
 だが、イ・ミョンバク政府は2008年に電力産業構造改編を再推進し、「市場型公企業」という概念を登場させた。激しい反発により「電力産業民営化」ができないなかで、「競争」を強化するため「開放」でも「公共性」でもない新しい概念を登場させたのだ。これに伴い、発電公企業については役員選任と評価を政府が行いつつも、営業と人員運用など主要な経営活動については競争体制で運営されてきた。
 その間、企業はことあるごとに電力産業の民営化を要求してきた。全国経済人連合会は2009年10月、「民間発電事業投資・運営関連制度改善案」という報告書を通じて、電力産業の独占体制による非効率と、これにともなう国民経済の負担を減らすため、電力産業構造改編を再度推進し、民間企業の発電事業への参入を拡大し、電力産業の競争体制を強化すべきと主張した。
 全経連は報告書で「国内全体の発電実績中、6つの韓電発電子会社の比重は93.5%に達し、民間企業の比重は6.5%に過ぎず、事実上独占体制が維持されている」とし、「独占体制にともなう発電産業の非効率を減らし、競争力を強化するためには、民間企業の発電事業参入を拡大し、段階的な民営化を推進しなければならない」と主張している。

 電力産業の根本哲学を「市場」から「公共性」へ

 だが、この15日に発生した停電大乱で、公共性を無視した電力産業の民営化がどれほど危険なのかが如実にあらわれた。韓電をいくつかの子会社に分割して管理体系がおろそかになっただけでも今回のような大規模事故が起きたことを考えると、電力産業が完全民営化された場合、広域停電といった国家的惨事は不可避、というものだ。
 実際に電力産業が民営化された米カリフォルニアでは、民間業者の操作で電力大乱が起き、これを収拾する過程で莫大な州政府予算が必要となり、カリフォルニア州政府の財政破綻につながった。また、カナダのオンタリオ州では、民営化で電気料金が3ヶ月で3倍ほど跳ね上がった。
 このため専門家の間では、競争を強調してバラバラになった電力産業の各機能を早急に統廃合し、電力産業の根本哲学を「公共性」に変えるべき、という声が高まっている。
 エネルギー経済研究院のイ・グンデ博士は「国家の重要な基幹産業の一つである電力産業が分野別にバラバラになっていては、非常時に対処能力が落ち、相互協力などの面で難しい部分が多い」とし、「特に韓電の送配電と取引所の給電所機能などを統合するなど、電力機関間の重複機能は一日も早く統廃合しなければならない」と述べた。
 韓国発電産業労組は、「電力取引所が気温上昇を考慮せず誤った電力需要を予測したことにより、多くの大型発電所が例年的な維持、保守作業のために電力系統網からはずれたため、突然はねあがった負荷上昇に適切に対応をすることができなかった」とし、「これは、根本的に電力産業の各機能が分割され、互いに有機的な役割を果たせなかったために発生した悲劇」だと指摘した。■


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