双龍自動車占拠ストライキは進行中…「会社側は『労使大妥協』履行せよ」
解雇者ら、自殺・精神分裂症・経済苦で苦しみ依然…ハン・サンギュン支部長ら幹部は監獄に
民衆の声:2010-08-06
大量整理解雇に抗して77日間の占拠ストライキを行った双龍(サンヨン)自動車労働者が、いわゆる「労使大妥協」を実現させ工場の外に自ら歩いて出てからちょうど1年がたった。
去る2009年8月6日、双龍車労働者は占拠ストライキを解いた。火薬庫のような塗装工場を最後の砦にして警察と対峙する極限状況にあって、惨事を防ぐための決断だった。
1年が過ぎた今でもイ・ミョンバク政府と双龍自動車資本に立ち向かって20~30年慣れ親しんできた職場を守り、生存権と、一人の人間としての自尊心を勝ち取ろうと激しく戦った双龍自動車労働者の闘争は現在進行形だ。
惨事を防ぐための大決断は下されたが…
「労使大妥協」は紙切れになって久しい。会社側は労働者との約束を無惨に踏みにじってしまった。いわゆる「労使大妥協」は、一言で言って、なんとしてでも労働者らのストライキを一旦中断させようとしたイ・ミョンバク政府と会社側の単なる「悪だくみ」に過ぎなかった。
去る2009年8月6日の「労使大妥協」以後、4回の「労使実務協議」が行われたが、ついに決裂した。
実務協議において労組側は、△労組事務所への出入り許容、△ストろう城に参加した非解雇者への不利益撤回、△会社再建時はストろう城者を優先復帰、△民事・刑事上の訴訟の取り下げ――などを粘り強く主張した。これはハン・サンギュン金属労組双龍車支部長とパク・ヨンテ共同管理人とのあいだの労使大妥協合意案に従ったものだ。
だが会社側は、言葉の言い換えと知らんぷりで一貫し、合法的に保障された労組事務所への出入りまで認めないなど「労使実務協議」を徹底して決裂へと追い込んだ。
その間、マスメディアの関心も急激に下がり、会社側は刑事訴訟取り下げ約束を破ってしまった。拘束者は26人から64人、69人へとますます増え、民事上の損害賠償請求金額も100億ウォンを越えた。
ハン・サンギュン支部長をはじめとする労組幹部8人と、占拠ストライキを支援した労組および市民社会団体の会員ら4人は、まだ監獄から出られずにいる。
双龍自動車側は、労組との約束を破ることでも足りず、新たな御用労組を作って金属労組双龍車支部つぶしに出た。
構造調整粉砕!
占拠ストを解いて一ヶ月後、双龍自動車側は一部組合員を押し立てて組合員総会を開き、「組織形態変更の件」と「次期労組執行部選出のための選挙管理委員会設置の件」の2案件を上程し、組合員投票を強行した。裁判所ですら「新たな労組執行部を選出するための選挙管理委員会設置は無効」と決定したが、強行した。
結局、金属労組双龍車支部は工場の外に労組事務所を設け、復職闘争をはじめとする労組活動を行わなければならない非正常的な状況がまだ続いている。
ヨンサン惨事6人、双龍自動車事態10人
双龍自動車占拠スト闘争が「第2の竜山参事」になりはしないかという憂慮の声は現実になった。
「整理解雇」による苦しみに打ち勝てず双龍自動車労働者らと家族が自ら命を絶つことが続いた。
去る2009年5月27日、占拠ストライキが始まるや、オム某組合員が神経性ストレスによる脳出血で倒れた。
6月11日、会社側の官製デモに動員されたキム某組合員は、激しいストレスなどで虚血性心筋梗塞を起こして死亡した。
占拠ストライキの終盤である7月、工場外ではキム某組合員が、会社側の強要に勝てず希望退職書を書いた後に自殺した。
双龍車支部イ某政策部長の妻も会社側の懐柔と脅迫に勝てずついに死を選んだ。
占拠ストライキが終わっても労働者たちの苦痛は「自殺企図」という極限状況として現れた。
8月と9月には、警察の高圧的な捜査に苦しみ、薬物を服用したり首をつったりして自殺を図る組合員がいた。
2010年になっても自殺する労働者は増えた。
2月20日、3週間も行方不明だったキム某労組代議員が車中で煉炭ガスを焚き、自殺した。
4月25日、占拠ストに参加した組合員の妻が激しいストレスなどにより団地から身を投げた。
5月には分社化された施設チームの労働者が心筋梗塞で死亡した。
7月9日、平沢(ピョンテク)拘置所から出所したイ某代議員は、うつ病をひどく病んで多量の薬物を服用し自殺を図った。
非正規職労働者も死んでいったし、組合員の妻たちは、命をかけてストを闘う夫に対する心配と、整理解雇による経済的苦痛にさいなまれ、流産してしまうことが頻繁に起こった。
現在までに10人もがこの世を去った。
「解雇は殺人」という労働者の絶叫は大げさではなかったのだ。
占拠スト参加者の56%がうつ病…「自殺がさらに増える可能性も」
占拠ストライキに参加した労働者の精神健康状態も最悪だという調査結果も出された。
ストが終わったあと、労働環境健康研究所と保健医療団体連合がストライキに参加した284人の労働者を対象にアンケートをとおして「精神健康診断および実態調査」を実施した結果、労働者の56%がうつ病の症状を示した。
33.8%の労働者は専門家の治療が必要な重度のうつ病に苦しめられているという結果が出た。不安症状を示す労働者も40.8%に達し、心理相談専門家との面談を要する重い不安症状の労働者も15.1%%達した。
ストレス診断結果は、高危険群66.9%、潜在的ストレス群21.5%で、これらを合わせれば90%に近い。ストに参加したほぼすべての労働者が精神的ストレスに苦しめられているのだ。
占拠ストライキに参加したケ・ヨンデ氏(38,天安物流センター15年勤務、解雇者)は、まだ自身が工場内で占拠ストを行っているものと錯覚し、家を工場と思い込み、家に2年分を越えるミネラルウォーターや食糧などを積み上げ、「一人スト」を行っているという事実が最近判明し、衝撃を与えた。
政府は、対策どころか実態把握さえもせず、これらを放置している。
ペク・ナムスン人道主義実践医師協議会企画局長は、「桂ヨンデ氏のようなケースが今後も起きかねない。精神科治療がすぐに必要な方々がとても多い」とし、「ストに参加した解雇者らに対する国家的支援や社会的配慮が切実だ」と強調した。
また、大部分の双龍自動車整理解雇労働者が生活苦にさいなまれている。
スト当時、双龍自動車支部の政策部長として活動し、夫人が自殺する苦しみを経験したイ某組合員は現在、実兄が運営する会社でアルバイトをしている。
イ組合員は、「兄が経営する会社にでも通って生計を維持するべきではないか」とし、「時々思い出し、痛みを忘れるのが容易ではない」とため息をついた。
イ組合員のように、双龍自動車支部の組合員は就職をするのが容易ではない。「ストライキを行った労働者」というレッテルが貼られ、企業の使用者が雇用を敬遠するためだ。
解決策は「労使大妥協」履行だけ…
先月末、平沢のトンブク洞に位置する双龍車支部の事務所で会った二人の組合員は、「建設日雇いをしている」と苦笑いした。
失業給与もすでに切れて久しい。金属労組から支給される、いくばくかの長期闘争事業場支援金も底をつき、先月から中断された。
双龍車支部関係者は、「双龍車解雇者の中に正規職として新たに就職した組合員はほとんどないと見なければならない」とし、「非正規職や日雇い、アルバイトで命をつないでいる。そうでもしなければ収入がない」と語った。
この関係者は、「双龍車売却の過程で無給休職者、懲戒者、拘束者の問題など、もつれた糸を一括妥結方式で解かなければならない」とし、「会社側が踏みにじった去る2009年8月6日の『労使大妥協』を履行すればすむこと」と語った。
「双龍自動車事態の根本的な解決策は、政府と会社側が『基本的な常識』を回復することです」
<チャン・ミョング記者jmg@vop.co.kr>
解雇者ら、自殺・精神分裂症・経済苦で苦しみ依然…ハン・サンギュン支部長ら幹部は監獄に
民衆の声:2010-08-06
大量整理解雇に抗して77日間の占拠ストライキを行った双龍(サンヨン)自動車労働者が、いわゆる「労使大妥協」を実現させ工場の外に自ら歩いて出てからちょうど1年がたった。
去る2009年8月6日、双龍車労働者は占拠ストライキを解いた。火薬庫のような塗装工場を最後の砦にして警察と対峙する極限状況にあって、惨事を防ぐための決断だった。
1年が過ぎた今でもイ・ミョンバク政府と双龍自動車資本に立ち向かって20~30年慣れ親しんできた職場を守り、生存権と、一人の人間としての自尊心を勝ち取ろうと激しく戦った双龍自動車労働者の闘争は現在進行形だ。
惨事を防ぐための大決断は下されたが…
「労使大妥協」は紙切れになって久しい。会社側は労働者との約束を無惨に踏みにじってしまった。いわゆる「労使大妥協」は、一言で言って、なんとしてでも労働者らのストライキを一旦中断させようとしたイ・ミョンバク政府と会社側の単なる「悪だくみ」に過ぎなかった。
去る2009年8月6日の「労使大妥協」以後、4回の「労使実務協議」が行われたが、ついに決裂した。
実務協議において労組側は、△労組事務所への出入り許容、△ストろう城に参加した非解雇者への不利益撤回、△会社再建時はストろう城者を優先復帰、△民事・刑事上の訴訟の取り下げ――などを粘り強く主張した。これはハン・サンギュン金属労組双龍車支部長とパク・ヨンテ共同管理人とのあいだの労使大妥協合意案に従ったものだ。
だが会社側は、言葉の言い換えと知らんぷりで一貫し、合法的に保障された労組事務所への出入りまで認めないなど「労使実務協議」を徹底して決裂へと追い込んだ。
その間、マスメディアの関心も急激に下がり、会社側は刑事訴訟取り下げ約束を破ってしまった。拘束者は26人から64人、69人へとますます増え、民事上の損害賠償請求金額も100億ウォンを越えた。
ハン・サンギュン支部長をはじめとする労組幹部8人と、占拠ストライキを支援した労組および市民社会団体の会員ら4人は、まだ監獄から出られずにいる。
双龍自動車側は、労組との約束を破ることでも足りず、新たな御用労組を作って金属労組双龍車支部つぶしに出た。
構造調整粉砕!
占拠ストを解いて一ヶ月後、双龍自動車側は一部組合員を押し立てて組合員総会を開き、「組織形態変更の件」と「次期労組執行部選出のための選挙管理委員会設置の件」の2案件を上程し、組合員投票を強行した。裁判所ですら「新たな労組執行部を選出するための選挙管理委員会設置は無効」と決定したが、強行した。
結局、金属労組双龍車支部は工場の外に労組事務所を設け、復職闘争をはじめとする労組活動を行わなければならない非正常的な状況がまだ続いている。
ヨンサン惨事6人、双龍自動車事態10人
双龍自動車占拠スト闘争が「第2の竜山参事」になりはしないかという憂慮の声は現実になった。
「整理解雇」による苦しみに打ち勝てず双龍自動車労働者らと家族が自ら命を絶つことが続いた。
去る2009年5月27日、占拠ストライキが始まるや、オム某組合員が神経性ストレスによる脳出血で倒れた。
6月11日、会社側の官製デモに動員されたキム某組合員は、激しいストレスなどで虚血性心筋梗塞を起こして死亡した。
占拠ストライキの終盤である7月、工場外ではキム某組合員が、会社側の強要に勝てず希望退職書を書いた後に自殺した。
双龍車支部イ某政策部長の妻も会社側の懐柔と脅迫に勝てずついに死を選んだ。
占拠ストライキが終わっても労働者たちの苦痛は「自殺企図」という極限状況として現れた。
8月と9月には、警察の高圧的な捜査に苦しみ、薬物を服用したり首をつったりして自殺を図る組合員がいた。
2010年になっても自殺する労働者は増えた。
2月20日、3週間も行方不明だったキム某労組代議員が車中で煉炭ガスを焚き、自殺した。
4月25日、占拠ストに参加した組合員の妻が激しいストレスなどにより団地から身を投げた。
5月には分社化された施設チームの労働者が心筋梗塞で死亡した。
7月9日、平沢(ピョンテク)拘置所から出所したイ某代議員は、うつ病をひどく病んで多量の薬物を服用し自殺を図った。
非正規職労働者も死んでいったし、組合員の妻たちは、命をかけてストを闘う夫に対する心配と、整理解雇による経済的苦痛にさいなまれ、流産してしまうことが頻繁に起こった。
現在までに10人もがこの世を去った。
「解雇は殺人」という労働者の絶叫は大げさではなかったのだ。
占拠スト参加者の56%がうつ病…「自殺がさらに増える可能性も」
占拠ストライキに参加した労働者の精神健康状態も最悪だという調査結果も出された。
ストが終わったあと、労働環境健康研究所と保健医療団体連合がストライキに参加した284人の労働者を対象にアンケートをとおして「精神健康診断および実態調査」を実施した結果、労働者の56%がうつ病の症状を示した。
33.8%の労働者は専門家の治療が必要な重度のうつ病に苦しめられているという結果が出た。不安症状を示す労働者も40.8%に達し、心理相談専門家との面談を要する重い不安症状の労働者も15.1%%達した。
ストレス診断結果は、高危険群66.9%、潜在的ストレス群21.5%で、これらを合わせれば90%に近い。ストに参加したほぼすべての労働者が精神的ストレスに苦しめられているのだ。
占拠ストライキに参加したケ・ヨンデ氏(38,天安物流センター15年勤務、解雇者)は、まだ自身が工場内で占拠ストを行っているものと錯覚し、家を工場と思い込み、家に2年分を越えるミネラルウォーターや食糧などを積み上げ、「一人スト」を行っているという事実が最近判明し、衝撃を与えた。
政府は、対策どころか実態把握さえもせず、これらを放置している。
ペク・ナムスン人道主義実践医師協議会企画局長は、「桂ヨンデ氏のようなケースが今後も起きかねない。精神科治療がすぐに必要な方々がとても多い」とし、「ストに参加した解雇者らに対する国家的支援や社会的配慮が切実だ」と強調した。
また、大部分の双龍自動車整理解雇労働者が生活苦にさいなまれている。
スト当時、双龍自動車支部の政策部長として活動し、夫人が自殺する苦しみを経験したイ某組合員は現在、実兄が運営する会社でアルバイトをしている。
イ組合員は、「兄が経営する会社にでも通って生計を維持するべきではないか」とし、「時々思い出し、痛みを忘れるのが容易ではない」とため息をついた。
イ組合員のように、双龍自動車支部の組合員は就職をするのが容易ではない。「ストライキを行った労働者」というレッテルが貼られ、企業の使用者が雇用を敬遠するためだ。
解決策は「労使大妥協」履行だけ…
先月末、平沢のトンブク洞に位置する双龍車支部の事務所で会った二人の組合員は、「建設日雇いをしている」と苦笑いした。
失業給与もすでに切れて久しい。金属労組から支給される、いくばくかの長期闘争事業場支援金も底をつき、先月から中断された。
双龍車支部関係者は、「双龍車解雇者の中に正規職として新たに就職した組合員はほとんどないと見なければならない」とし、「非正規職や日雇い、アルバイトで命をつないでいる。そうでもしなければ収入がない」と語った。
この関係者は、「双龍車売却の過程で無給休職者、懲戒者、拘束者の問題など、もつれた糸を一括妥結方式で解かなければならない」とし、「会社側が踏みにじった去る2009年8月6日の『労使大妥協』を履行すればすむこと」と語った。
「双龍自動車事態の根本的な解決策は、政府と会社側が『基本的な常識』を回復することです」
<チャン・ミョング記者jmg@vop.co.kr>