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韓国労働運動情報

民主労総はじめとした韓国労働運動関連記事の翻訳

李明博政権による発電労組労働弾圧白書(前書き)

2013年12月10日 12時18分37秒 | 公共部門民営化

李明博政権による発電労組労働弾圧白書

韓国発電産業労働組合

発刊に寄せて

リンゴ、ナシ、トマトの隠された真実

 「労組員の状況を『中まで白いナシ』というように分類する会社があります。労組を破壊するために、ある公企業が執拗に行っていることです。」2011年1月16日、MBCニュースデスクの主要ニュースとして東西発電会社における労組破壊の蛮行が報道された。組合員の傾向を「リンゴ、ナシ、トマト」と分類し、労組脱退に反対した職員は勤務地を移動させ、インセンティブから排除するという内容まで取り上げられた。そして、民主労総脱退の賛否を問う投票の投票箱を会社側が不法に開けようとして失敗したという衝撃的な内容まで公共の電波で伝えられた。ニュースデスクでの報道以降、マスコミ各社はこぞって発電会社の不当労働行為について報じた。
 
 しかし、こうした社会的非難にもかかわらず、発電各社は、東西発電をはじめ西部、南部、中部、南東発電に至るまで、先を争うように不当労働行為を行い、結局、発電5社のすべてにおいて会社労組が設立された。発電会社は、強制配転、昇進機会の剥奪、人事考課における差別、個別的な不利益圧力などあらゆる手段を動員し、発電会社の脅迫と弾圧により現在81.3%の組合員が発電労組を脱退している。その過程で発電労働者は、単なる脅迫を越えて、深刻な人権蹂躙にさらされた。労働組合脱退書に署名しなかったとして業務決済を拒否されたり、休暇申請が突き返されたりするのは普通だった。労組脱退を迫るための部署別会食や個別面談が日常的に行われ、管理職は夜な夜な組合員の自宅前で2時間以上電話をかけまくり組合員を呼び出した。労働組合を脱退しなければ遠距離事業所に強制配転するとの脅しに、家族の暮らしを心配して夜を明かし、結局、自らの信念を貫いて弾圧に屈服しなかった組合員は、西海から東海へ、南海から西海へと強制配転させられた。家に老母を置いてきた労働者は、400km離れた地で寝ても覚めても母親のことを思って暮らさねばならなかった。がんで闘病中の妻を持つ労働者は、配転先にがん治療のできる病院がなかったため、泣く泣く妻と離れて暮らさざるを得なかった。発電会社は民主労総脱退と発電労組破壊に血眼となり、労働者の基本的な人権さえ容赦なく踏みにじった。自らの良心を守って発電労組に残った労働者も、脅されてやむなく信念を曲げさせられた労働者も、誰もが涙の日々を送らねばならなかった。そして今も発電労組労働者の血の涙は流れている。

 これまでも発電会社の支配介入は存在した。だが、かつての支配介入は選挙や投票の時に隠然と行われていたのに対し、発電労組破壊の過程では、発電会社は、強制配転、昇進、人事考課などで露骨に脅迫し、不法行為を惜しみなく総動員した。これは単に発電会社の経営陣の意思だけでは絶対に不可能なことだった。その後、労働組合による真相調査の過程で、一連の労組破壊行為が韓国電力、知識経済部、警察庁、労働部、経総〔韓国経営者総協会〕、青瓦台〔大統領府〕に至る政権レベルの企画と支援のもとに行われたという事実が次々と明るみに出ている。

 2009年9月、パクヨンジュン(ヨンポ会)次長の主催で行われた「労使関係主要懸案報告」と、9月24日の「雇用労使秘書官主宰BH(青瓦台)会議」におけるイヨンホ秘書官の「発電労組強硬対応」注文の直後、発電会社の労使関係は破局を迎えた。10月初め、ヨンフン火力発電所支部に対する標的解雇が行われ、団体協約〔労働協約〕における労組側の大幅な譲歩にもかかわらず、発電会社は意図的に団体協約を解約した。その後、団体協約解約の当事者である東西発電のイギルグ社長は、青瓦台に報告書を提出し、強引な団体協約解約を自らの功績と言いなした。団体協約の解約以降、発電会社は発電労組の役員選挙に深々と介入し労組破壊を準備した。東西発電の蔚山火力発電所では、民主労総脱退候補の出馬の弁と公約を会社側が用意し、蔚山火力本部長主管のもと、班単位の会食、個別面談表作成など、連日対策会議が持たれた。こうした選挙介入活動は東西発電本社と韓国電力に報告され、韓国電力は民主労総脱退候補の得票率と支配介入活動を経営評価に反映させた。
 
 選挙後の本格的な労組破壊の過程で発電会社は、労組破壊計画を警察庁本庁と共有し、経過をリアルタイムで同庁に報告した。会社労組が複数労組禁止制度によって法外労組になったため、青瓦台秘書官を通して労働部を圧迫するとした衝撃的な計画も実行された。不当労働行為を調査するための国会活動を妨害するため、経総は、「東西発電に対する政界の不当な労使関係介入」とする内容の異例の報告書を提出し、発電会社の不当労働行為を隠ぺいしようとした。傘下公企業を管理監督すべき知識経済部は、東西発電に「労組関連先進化推進実績報告」なる報告書を出させ、労組破壊工作をあおった。このように、発電労組弾圧の過程は、青瓦台、国務総理室、知識経済部、韓国電力、警察庁、経総など、政権レベルで企画され実行されたという事実がさまざまに確認されている。

 政権レベルの発電労組破壊工作により、発電現場では日常的な支配介入と人権蹂躙行為がまかり通っているにもかかわらず、不法行為を行った当事者に対するいかなる処罰もなされていない。公企業メールサーバー押収という前例のない捜査まで行って、発電会社の悪辣な不当労働行為を暴く意思を示した検察は、しかし、その後すぐに担当検事を変え、証拠不十分で事件の幕引きを図った。国政監査の場で徹底的に事件を暴くとしていた労働部は、国政監査以降、口を閉ざしてしまった。李明博政権下の労働現場は、このように不法と非常識が幅を利かせている。

 発電労組弾圧の過程で行われた事実が具体的に明らかにされ、それに見合った社会的処罰が行われ、いまだ支配介入と人権蹂躙がまかり通っている現実が打開されない限り、一公企業の労使関係にとどまらず韓国の労使関係は一歩も前に進めないだろう。発電労組弾圧白書が、まちがった現実をただす一歩となることを願う。

2012年10月

韓国発電産業労働組合 第6代委員長 シン・ヒョンギュ



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