douce vie

現代アートを中心に、色々と考えた事とかを日々綴っています。主に関西の展覧会の感想なども書いております。

シャガール展 色彩の詩人

2008-09-28 | 美術
シャガール展 色彩の詩人 @兵庫県立美術館

20世紀の巨匠の一人、マルク・シャガールの展覧会。
美しい色彩で描かれた幻想的な絵で、好きな画家の一人だ。
約150点の展示とのことだけど、銅版画やリトグラフが多めで、
思ったほど、油彩は見られなくて残念。
おお、これは…! と思うようなのは、数点といったところ。
総作品数が多い画家だし、わりとモチーフが一貫しているから、
初めて見た絵なのか、どこかで見たことがある絵なのか、区別がつきにくかったりして…
とはいえ、長い画業の流れを見るにはなかなか良かったな。

ユダヤ劇場の壁画は見どころ。良かった。
何を描いているか、というより、何を描かないかってところに
シャガールの凄さがあるように思った。
白い空白部分や、線だけで簡略化された部分っていうのが、逆に本質かも。
それにしても、中途半端な「劇場空間の再現」みたいなのが余計だった。

やはり、どんなに幸せな場面を描いていても、
戦時中に描かれた絵は、時代の不穏な空気、生死をも脅かす不安が画面から漂っている。
見ているとこちらにまで不安が伝染しそうなくらい。
とくに、ユダヤ人という出自が、私には想像もできないぐらいに、
この人の内面に大きな影響を与えているのだな、と。

晩年は幻想的な中にも明るい色彩で、安定感のある作品が多かったのだけど、
そうなると、ちょっと物足りなさも感じるという…
制作環境と表現のかねあいの難しいところ…

(2008.09.06-2008.10.15)


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