douce vie

現代アートを中心に、色々と考えた事とかを日々綴っています。主に関西の展覧会の感想なども書いております。

蜘蛛巣城とマクベス

2005-01-23 | 映画
蜘蛛巣城  黒沢明監督  日本  1957
マクベス  ウィリアム・シェイクスピア  新潮文庫

蜘蛛巣城はシェイクスピアの「マクベス」を日本の戦国時代の置き換えたものだ。
武将鷲津は森で出逢った物の怪の予言と妻のそそのかしによって主を殺害し、自らが主となる。
主を殺害するあたりまではほぼシェイクスピアと同じようなストーリーだが、
ここから大きく違うところがある。

それは妻の行動。

マクベス夫人は王殺害に手を貸した後、わりとあっけなく精神狂乱に陥り自害する。
鷲津夫人(名前は聞き取れず)は、とことんふてぶてしい。
世継ぎがいない為、養子をとるといった鷲津に嫌だとごねたあげく「身籠りました」と。
母親の強さというのは全く...
(音が悪く良く聞き取れなかったので「身籠ります」とも聞こえた。そっちの方がもっと怖いが)

その後、この子供を死産。ここでようやくマクベス夫人にならって精神狂乱に陥る。
しかしこの精神狂乱も殺害への良心の呵責というよりも、
なぜ世継ぎが生めなかったのか、という悔しさがきっかけのように思える。
おそらくマクベス夫人よりも一枚も二枚も上手である。

鷲津夫人が夫をそそのかし主を殺させる夜のシーンが圧巻だ。
鷲津夫人の衣擦れの音、不吉な鴉の泣き声、針のような細い月。
暗闇に消え、またあらわれる鷲津夫人のぞっとする佇まい。
白黒の様式美に女の執念が浮かび上がる。

またラストで鷲津に雲霞のように矢が射られるシーンも凄い。
どうやって撮ったんだろう...

初めて黒沢映画を見たんだけれど、巨匠と言われているわけが分かった気がする。
見た事のあるようなシーンがいくつかあった。
他のドラマや映画にイメージなどが使われていて、
それを知らず知らずのうちに見ている為なのではないか、と思った。
つまりはそれだけオリジナルが凄いのだろうなあ。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
クロサワ (spok23)
2005-01-31 11:57:48
私もこの映画、かなり好きです。



浪花千栄子の物の怪といい、

山田五十鈴といい、

亡霊・・千秋実といい、素晴らしいですよね。

最後のシーンは思わず絶句!!
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>spok23様 (dans ma chambre)
2005-01-31 21:10:49
最後のシーンは本当に凄かったですね。

まさに矢継ぎ早とはこの事か、と。



後、森が動くシーンもびっくりしました。

現在のCG技術がなくてもこんなに迫力のある映像が生み出せるものなのですね。
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Unknown (映画のせかいマスター)
2005-03-04 08:19:58
どうも!TBありがとうございました。

物の怪より妻の方が怖かったですね。森が動くとは意表を突かれましたが、それを見たときの三船の表情とラストに至るまでのスピード感が良かったです。黒澤作品のラストはどれも必見ですね。
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>映画のせかいマスター様 (dans_ma_chambre)
2005-03-04 22:53:52
こんばんは。こちらこそTBありがとうございます。



私はこれが黒澤作品の初体験でした。

これから、色々みてみようと思ってます。
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