中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

頑張れ、育成・田中!

2008-02-24 21:03:51 | Weblog
 高知空港に向かうタクシーの中で、悲劇的な結末を聞いた。ラジオから「サヨナラ、満塁、ホーム、ラ~ン!」との叫び声。打たれたのは、阪神の5番手・能見。打ったのは…というと、途中出場の田中。あん?田中って誰よ。恥ずかしながら、全く知らない。田中のファンには申し訳ないが、この道20年のおっさん記者が知らない若い打者に打たれるなんて、能見も情けない。抑えて当然、という状況の中で手痛い一発を喫した能見には、これがトラウマになるかもしれない。たかがオープン戦だが、悪いイメージを払拭するには、今後の努力しかないだろう。

 この試合、8回表まで実際に見てきたが、目に付いたのは、オリックスの若い打者の方ばかり。3安打の坂口とか、同じく3安打の下山とか…。左腕・中山もいい感じで投げていたし、4点を許したとはいえ、先発・岸田も首脳陣の期待がわかるような球を放っていたように思う。阪神から移籍した吉野は、あの頃と変わらない感じだったが、全体的に見れば、オリックスの方が元気があった。

 サヨナラ満塁本塁打のオリ・田中に目がいくが、阪神の田中もおもしろい選手だ。誰?秀太のこと?昔なら必ずそんなリアクションをしたが、この間から見てきているから、よ~く知っている。背番号「120」のあの子。そう、昨秋の大・社ドラフトの育成枠で指名した田中だ。なぜこの選手がここまで残っているか。不思議に思っている読者も多いと思うが、とにかく元気がいいのだ。紅白戦を見たが、一塁に入って誰よりも声を出している。「ナイス、ボ~ル!」。投手にかける声の大きいこと、大きいこと。体はそれほどでもないし、打撃もまだプロというレベルには達していない。アマチュアの元気なアンちゃん、て感じだが、それでも彼のやる気が球場に充ち満ちる感じがするから、おもしろい。おそらく、岡田監督もそのあたりを買っているのだろう。

 この日は途中出場して四球を選んだ。一回だけスイングした(ファウル)が、目一杯振っていた。この姿勢なんだな、阪神の若手にほしいのは。泥臭くてええんよ。球に食らい付く。食らい付いたら離さない。ピラニアみたいにいけば、必ずいいいことがある。そうだ、虎の田中を「ピラニア君」とでも呼ぼうか。

 ということで、今年のキャンプ巡りもおしまい。極寒の中、大阪に戻ってきました。しばしの間、このブログも休息します。じゃ、また!