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またまたCASに提訴

2012-12-22 09:05:19 | プロ・ツール

 先の記事でも少し取り上げましたが、UCIワールドツアーランキングが2位のカチューシャに来シーズンのUCIライセンスが与えられなかったことで、カチューシャはCAS(スポーツ仲裁裁判所)への提訴を発表しました。UCIがライセンス規約に至った経緯を公表していない状況では、当然の結果といえるでしょう。
 カチューシャは「チームの首脳陣や選手、スタッフは、正当な理由を欠くUCIの決定に驚いている。チームには世界ナンバーワンの選手(ロドリゲス)が在籍し、チームとしてUCIワールドツアーランキング2位に入った。UCIプロチームとしての基準を全て満たしていると事前に知らされていた。(中略)。ロシア出身選手が大半を占める唯一のロシアチームがワールドツアーから閉め出された。UCIがロシアのトップレース参戦を禁止したようなものだ。(決定に対して)闘う準備はできている、これまで以上に」という内容のプレスリリースを発表しています。
 UCIワールドツアーライセンスの申請や更新に際して重視されるのはチームの「成績」「倫理」「財政」「運営」の4項目。先にも触れた通り、カチューシャに唯一懸念されているのは「財政」の点で、cyclowiredによると「財政上の基準を満たしていない」という判断が一時的にライセンス委員会によって下されていたことは明らかになっていたのですが、カチューシャは監査法人とともに11月22日に開かれたヒアリングで説明を行ない、財政の点に関してライセンス委員会の承認を得ていたというのです。
 ランス・アームストロングの事件でも明らかになったように、UCIには非常に不透明な政治力が働いているようです。今回の件もワールドツアーランキングが20位のサクソバンク・ティンコフバンクがライセンスを付与され、ランキング2位で且つ個人ランキング1位のホアキン・ロドリゲスを抱えるチームにライセンスが与えられないというのは、どうみても不自然です。どうしても「サクソバンク・ティンコフバンクにはコンタドールがいるから」というUCIの思惑が見えてしまう。
 このままだとカチューシャは自動的にセカンドカテゴリーのプロコンチネンタルチーム登録ということになり、ロシアのチームではジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャへの参加が難しい状況になります。
 今回のコンタドールのケースに限らずCASは判決までに相当の時間がかかるのが通例ですが、2013年シーズンは年明けのツアー・ダウンアンダーから始まりますので、当然間に合いません。裁判の結果を問わず、ホアキン・ロドリゲスの移籍という事態に発展する可能性まで浮上してくることが予想されます。強力なエースを失えばスポンサー撤退という事態も考えられ、チームの財政はさらに苦しくなる。その結果、チームがまた消滅するという悪循環をUCIが助長しているとしか思えないのです。
 プロツアーを運営してゆくためには、選手とチームは不可欠な存在です。プロである以上そこに競争原理や市場原理が働くのは当然としても、ワールドランキング2位のチームを財政面だけで除外することがもたらすデメリットをUCIが本気で考えているとはどうしても思えないのです。
 様々なドーピングスキャンダルでスポンサーの撤退が相次いでいる自転車ロードレース界で各チームがどれほど苦労をしているのかをUCIが知らないはずはありません。億単位の登録料を取りながら、成績上位のチームを締め出すとも取れる今回のUCIの判断はファンの立場からはとても容認できるものではありません。ユーロップカーのようにプロコンチネンタルに所属しながらワールドツアーでも活躍するチームがもっと出て来ることを期待しているのですが、これもASOが主催するワールドツアーが多いせいで、フランス以外のチームではなかなか難しいのが実情です。ただ、来シーズンからUCIのワールドツアーライセンスを取得したアルゴス・シマノのようなチームがあるのもまた事実なのです。
 グランツールの主催者がUCIと一線を画すようになっているのですから、グランツールの優先出走件を得るためだけにUCIに高額の登録料を支払う意味も徐々に薄れて行くのではと期待はしています。できれば、ホアキン・ロドリゲスの移籍話が浮上する前にASOなどの主催者が来シーズンのグランツールにカチューシャを招待すると発表することを密かに期待しているところです。
 それにしても自転車ロードレース界のCAS提訴は多すぎます。レースの結果がレース後に裁判所で決まるようになれば、レースの醍醐味も楽しみもあったものではありません。自転車ロードレースをこよなく愛する者のひとりとして、UCIを一度解体して、別組織を新たに作らない限り、今の状況は変わりようがないのではと思ってしまうのが残念でなりません。

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