
7日間をかけてスペイン北東部カタルーニャ州を巡るボルタ・ア・カタルーニャは3日目を迎え、その舞台は地中海から北の山岳地帯を目指す218.6kmで、超級山岳を含む4つのカテゴリー山岳を登坂。最後は1級山岳ラ・モリーナ(距離12.1km/平均5.%)を登り、フィニッシュ地点は1度下ってから登り返した先にありました。

登坂距離21.2kmの超級コル・デ・ラ・クレエタでは争いは起こらず、逃げたデカトロンAZ2Rのブリュノ・アルミライユに粘られます。ログリッジとアユソは互いをかなり意識していたように見えました。特にアユソはかなりナーバスになっていたのではないでしょうか。
前後をチームメイトのマルク・ソレルやアダム・イエーツに守られ、アユソは自分の脚を温存することに専念していたのでしょう。最後の1級でも集団は絞られて行きましたが、二人には争う気配はまったくみられませんでした。むしろ、ログリッジの方が集中できているのかなあという雰囲気を醸し出していたのです。
先に仕掛けたのはUAEチーム・エミュレーツでした。ソレルがアタックを見せ、それにXDSアスタナのロレンツォ・フォルトゥナートが唯一反応、ヴィスマのセップ・クスが遅れて追いつき3名が先行。これはアシストが1枚になっていたログリッジに脚を使わせるのが目的で、ゴール前700mで集団に飲み込まれました。

ただ、ここからがUAEで1度は捕まったソレルがリードアウトしてアユソがアタックというシナリオに変更。ただ、先に踏み込んだのは集団の中で脚を温存していたログリッジでした。この辺りは百戦錬磨のベテランの走りで、エンリク・マスをゴール前で抜き去った昨年のブエルタ第8ステージを思い出しました。

しかし、ヘアピンコーナーで上手くインを付いたアユソが先頭に立ちます。そこへ外からログリッジが強襲し、二人同時にハンドルを投げる。写真判定に持ち込まれるほどの僅差でアユソが勝利。3位は2秒遅れでスーダル・クイックステップのミケル・ランダが入っています。
この結果だけでアユソが新ビッグ4の仲間入りとはまだ言い切れません。アユソ自身はこの展開を予想していたと言っていますが、22歳のアユソにとっては200㎞を越える距離に5000m超の獲得標高の先のゴールスプリントは未知数だったはずです。それを一発で決めて見せたのは流石ですが、直観タイプのポガチャルとは対極にいる選手なのかもしれません。

10秒のボーナスタイムで総合首位に立ったアユソですが、2位ログリッジとは僅か6秒差なので、今日のステージがより重要になります。若い選手なので、こうしたひとつひとつの勝利がさらなる自信へと繋がるはずですが、あまり守りに入ると思わぬ相手に出し抜かれる可能性も出て来てしまいかねません。個人的にはポガチャルのような真向勝負を見てみたいと思っています。

ティレーノ~アドレアティコでは積極的な走りをしていたアユソですが、流石にログリッジが相手となると慎重にならざるを得ないのかもしれません。ただ、リスペクトが強過ぎても勝機を逸してしまいます。ここにヴィンゲゴーが出ていたらと思うと彼の欠場が悔やまれます。