
いよいよ今夜開幕するツール・ド・フランス2025。総合優勝争いはポガチャルVSヴィンゲゴーという構図になる可能性が非常に高いとみています。今季は久々のUAEツアーからスタートを切ったポガチャルですが、ここまで参戦したレースで表彰台を1度も外していないのです。最も下位の成績がミラノ~サンレモとアムステル・ゴールドレースの3位で、今季初参戦となったパリ~ルーベでもファンデルプールに敗れたものの2位フィニッシュ。初のパリ~ルーベで3連覇のマチューに食らい付いていたのですから流石です。

春のモニュメントではファンデルプールという強力なライバルの前に屈したポガチャルですが、ステージレースでは一昨年のツール以来負けなしで、直近の18レースでも15勝という圧倒的な成績を残しているのです。最後にポガチャルをステージレースで負かしたのがヴィンゲゴーで2023年のツールでした。昨年はヴィンゲゴーには落車骨折明けというハンデがありながら、ステージ1勝で総合2位という結果でした。今季もパリ~ニースでの落車はあったものの、昨年よりははるかに順調に来ていることは明らかです。

ドゥフィネの登坂力を観る限り、ポガチャルが上を行っているのは間違いありません。ただ、個人TTではポガチャルを大きく引き離しているので、2度のTTでポガチャルを大きく引き離すことが出来ればヴィンゲゴーにもチャンスはあると見ています。また、たった1日で大逆転してみせたジロ・デ・イタリアでのヴィスマのチーム戦術も侮れません。

昨年、初参戦で総合3位でマイヨブランを獲得しているレムコ・エヴェプールは登坂力で二人には太刀打ちできないでしょう。ログリッジもそうですが、チームがスプリンターを連れて来ているので、山岳ではなく平坦や丘陵ステージで暴れまくる可能性が考えられます。大逃げや横風分断などでポガチャルやヴィンゲゴーからタイム差を稼ぐ戦術です。レムコに関しては得意なTTで大きなタイム差を稼ぐことも可能なので、ピレネーやアルプスに入る前に大きなタイム差が欲しいところでしょう。それが出来なければマイヨブランも怪しくなってしまうでしょう。

ログリッジに関しては年齢的なものか、落車でリタイヤが続いているのが気がかりです。おそらくセカンドエースのリポヴィッツがエースを担う可能性も十分にあります。ヴィンゲゴーも最初はログリッジのアシストだったのですから。リポヴィッツが第2のヴィンゲゴーになれるのかにも注目しています。

その他の総合上位候補は、イネオスのカルロス・ロドリゲスやジェイコのベン・オコーナー、モビスターのエンリク・マス、ピクニックのオスカー・オンリーといった選手たちになると思います。また今年アムステル・ゴールドレースでポガチャルを負かしているリドルのマティアス・スケルモースの走りにも注目です。ただ、あくまでもTOP10争いになる選手たちでしょう。

本格的な山岳ステージが登場するのは2週目以降ですが、個人的には1周目の丘陵ステージで総合争いが勃発しそうな予感がしています。というのも、第2、第4、獲得標高が3,550mにおよぶ第6、ミュール・ド・ブルターニュを2度登る第7とクラシックレースのようなステージが続くからです。こうしたコースでマチューやワウトが動くとポガチャルの闘志に火を付けてしまう可能性があるからです。本能で走るポガチャルにとって血が騒ぎそうなコースが多いような気がしています。クリテリウム・ド・ドゥフィネでは第1ステージからポガチャルとヴィンゲゴーのスプリント勝負がありましたので、第2ステージからバチバチのバトルが見られるかもしれません。