強い陽射しの中をロードバイクで颯爽と走るのはとても気持のいいものです。ただ、近年はオゾン層の破壊で紫外線が強くなったり、大陸を越えてきた大気汚染により、今まで以上に眩しさを感じるようになったり、目には過酷な状況になっているようです。
そこで不可欠なのがアイウェアです。ところが、我国ではファッション性重視のためか意外とレンズの色やその効果に無頓着な人が多いのが実情です。
欧米人に比べ虹彩が黒い私たちは比較的眩しさに強い人種といわれているのですが、強い紫外線に長時間目を曝すことは決して良いことではありません。というのも、紫外線は角膜や水晶体を痛める大きな原因になるからです。目に日焼け止めを塗る訳にもいきません。
そこで、アイウェアを選ぶにあたっての基礎知識を身に付けておくことにしましょう。目の構造にも紫外線をカットする機能があります。明るいところに行くと虹彩がとじて(瞳が小さくなる)光を遮り、暗いところ へ行くと虹彩が開いて(瞳が大きくなる)光を沢山入れるように働くことはご存知だと思います。
この虹彩が光を遮り、光の量を少なくして眩しさを抑え、目に入る紫外線も少なくなります。しかし、瞳から目に入る紫外線はカットされてはいませんので、水晶体で吸収され、白内障や黄斑変性(おうはんへんせい)症などの原因になるとされているのです。また、角膜炎(かくまくえん)になるリスクもあるようです。
まず知っておきたいのは、レンズの色と紫外線カットの性能は関係がないということです。従って、紫外線から目を守るには、紫外線カットのレンズが必要になるのです。また、色の濃いレンズが必ずしも有効かというとそうでもないのです。目は明るいと虹彩が閉じ、暗いと虹彩が開く仕組みになっています。色の濃いサングラスを掛けると光を多く遮断するので視界は暗くなります。当然、虹彩は大きく開いている訳です。つまり、紫外線を吸収する面積が大きくなっているということです。UVカット機能がないのに濃い色のレンズのアイウェアを使用すると、目に悪い影響を与える可能性もあるので注意が必要です。 勿論、最近のレンズはほとんどがUVカット加工が施されていますが、光は回り込んで入ってきますので、サングラスを掛けていても、その周りから紫外線が飛び込んでくるのです。そういう意味でもフィット感の良くないアイウェアは避けた方が良さそうです。
ちなみに紫外線(ultraviolet)は波長が10 - 400 nmの不可視光線の電磁波のことです。”UV”はultraviolet「紫を超えた」の略称です。世の中にはアイウェアに限らず「UVカット」や「UVケア」商品で溢れているが、どの程度紫外線をカットしてくれるかは商品ごとに異なっているようです。レンズに関しては「UV400」という規格があり、波長400nm以下の紫外線をカットしてくれるので安心でしょう。選ぶ場合にはどの紫外線を何%カットしてくれるのかを仕様書などでしっかり確認することが大切になるでしょう。 次にレンズの色と効果を見て見ましょう。一般的に最も多いのが「グレー系」ですが、この「グレー系」は防眩効果の最も高い色だからでしょう。日差しの強い時に最適のレンズ色で、見え方も比較的自然に近いものです。
「ブラウン系」は青色光を遮断して、細部までを鮮明に見せる機能のある色です。ヘイズカット効果(遠景のもやをスッキリさせる)があります。
「ブルー系」は黄色光を減らしますので、車のヘッドライト等に対して防眩効果があります。また、マリンスポーツなどに適しています。
「グリーン系」は全波長を平均的に抑えてソフトな視界が得られます。従って、視界が一番自然に見える色になります。
「イエロー系」は眩しさを防ぐための色ではなく、曇りの時やもやの掛かった日などに視界をクリアにする機能があります。コントラストの効果はブラウン以上に高く、ものがはっきりと見えますが、昼間にかけるのには難があります。