
コロナ禍で一時目まぐるしい普及を見せていたスポーツ自転車の販売台数が減少し、売り上げ世界一を誇るシマノの最大のマーケットのヨーロッパで自転車部品の売上高が2023年度には1000億円もの減少を見せているのです。昨年度はさらに400億円も減少しているのです。シマノの日本における自転車部品売上高は2022年度が124億円、2024年は78億円ですから、いかにヨーロッパが自転車大国かが良く分かる数字でしょう。

その一方で、スポーツ自転車の価格は大幅な値上がりをしているのです。勿論、シマノのようなパーツメーカーの値上げも影響しているのですが、2023年頃まではむしろカーボンロードバイクの価格が異様に下がっていると感じていたのです。おそらくコロナ禍での増産の反動で、在庫がだぶついた結果だったと考えています。

それが、このところ一転して値上げが続いているのです。ツール・ド・フランスでも活躍するアメリカの有名な自転車メーカー、スペシャライズドにターマックという旗艦モデルがありますが、シマノのコンポーネント・アルテグラを搭載した完成車の価格が55万円から昨年は82万5000円にまで跳ね上がっているのです。

今年に入り同じアメリカンブランドのcannondaleも旗艦モデルであるSupersix EVOの価格を10%ほど値上しています。これで、同じアメリカンブランドのTREKとほぼ同じ価格帯になることになりました。アメリカンブランドとはいえバイクの生産は主に人件費の安いアジアで行われているのが実情なのです。それでも、この値上げはトランプ関税発動前のものですから、今後、アメリカへ輸入されることになるバイクの価格はiPhoneの比ではなくなる可能性が大なのです。

おそらくアメリカに本社を持つメーカーは生産拠点から世界各国にバイクを出荷しているため、アメリカ以外の国ではこの関税措置が大きく影響してくることは無いと見ていますが、そもそも高価なスポーツ自転車の値上げは、ユーザーを大きく減らしかねない大事件だと考えているのです。

実際に私が乗っているcannondaleの第4世代のSupersix EVOは2023年モデルですが、399,000円(税込)で購入しています。それが、今年は全く同じモデルで価格は445,000円へ価格改定されているのです。かろうじて台湾メーカーのGIANTが30万円台のカーボンロードを販売していますが、ロードバイクが手軽に買える時代は終わろうとしているのかもしれません。

加えて、ウクライナ戦争でアルミニュウムの不足から、年々アルミフレームとカーボンフレームの価格差が縮まって来ているのも、初心者には痛手でしょう。特に手軽に買えたクロスバイクも今では10万円近い価格になっているのです。

カーボンロードでは30万円代の製品を持つGIANTもアルミフレームのコンテンド2は2019年に8万4000円で販売されていましたが、2024年は12万9800円と遂に10万円を超えてしまっているのです。これはロードバイク初心者の障壁を益々高くしてしまうのではと心配しています。かろうじてクロスバイクは10万円以下ですが、それでもGIANTの定番Escape R3は69,300円なのです。