○作品紹介サイト 「家族ゲーム(goo映画)」
○監督・脚本 森田芳光
○原作 本間洋平「家族ゲーム 」
○キャスト 松田優作、伊丹十三、由紀さおり、宮川一朗太、辻田順一
●鑑賞日 10月1日(月)
●自宅にて(CS)
●cyazの満足度 ★★★☆ (5★満点、☆は0.5)
<感想>
この頃の森田芳光は最高にキレていたなぁ~
最近では『間宮兄弟』なかなか良かったが、この映画に比べると刃先が丸い(笑) ぶちキレるの「キレ」ではなく、冴えているという意味で(笑)
不思議なシチュエーションと、この時代の時代背景には金属バットで親を殴る等々、そんな事件もベースにあったのだろう。 まさに皮肉的かつシュールな作品だ。
松田優作が演じるいつも植物図鑑を持ち歩く吉本という家庭教師も、なんだかつかみ辛いキャラだけど、なんとも奥深い味わいのあるヤツである。 三流大学のしかも7年生。 どうみても家庭教師が出来るとは思えない。 しかし、不思議にメンタル・トレーニング+ハウ・トゥ・喧嘩はしっかり教えてる(笑) 今思うと、この役松田優作だからこそ出来たんだろうなぁ。
決して役者としては大成しなかった亡き伊丹十三や、こののんびり感が良くて母親役に選ばれた由紀さおりだとか。 兄役はイマイチ彼でなくてもいい気がしたが、最近めっきり見なくなった宮川一朗太が面白い
横一列に並び肩を寄せ合って窮屈そうに食事をするシーンはなんとも家族という中に個人個人が勝手に生きているその縮図を表現しているような、当時は斬新な表現手法で話題になった。 この家族の全てをまさに象徴しているようなシーンだった。 どうでもいいけど鍋物のし辛い家庭だなぁ(笑)
父親に、「金出すよ、成績上がったら。 基本給プラス歩合。 クラスの順位1番上がったら1万円出すよ。」 「お父さん、約束ですよ」。 美味しい条件に持てる知識を全て投入して・・・という知識も情熱のカケラもない吉本。 あるのはもちろん力づくで机に縛り付ける。
茂之は答案に、「性根=チューリップの球根。 温和=丸い形の温室。 陰険=陰でするジャンケン」と書く。 そして吉本に「分からない漢字や言葉をノートに書き出せ」と命じられ、2ページにぎっしり「夕暮れ、夕暮れ…」と書き連ねる。そして「夕暮れを完全に把握しました」と答えて殴られる。
しかしクラスでビリから数えた方が早かった茂之も 殴られるのが嫌で頑張り目標の高校に見事入学。
最後の食事のシーンでは吉本は家族4人を叩きのめし、テーブルをひっくり返して、植物図鑑を手にコートを翻して悠然と帰って行く。 なぜか爽快さを感じさせる場面である。 つまり表面面だけはいい見せかけだけの家族を、根底からひっくり返してみせたのだ。 彼に特別の考えがあったとは思えないが、観ている側にはその真意こそ理解できないが、それでもこの家族に対する想いは一致していたように思う。
いまは亡き松田優作。 息子たち二人も同じ役者としての道を歩き出しているが、彼らがこの『家族ゲーム』のような家族でなかったことを嬉しく思う。
それにしても船で家庭教師に来る吉本はどこから通って来ていたのだろう。 東京湾に違いないのだが、背景にある見慣れた高層ビルは建築中だった。 この家族の住んでいるのはどこだったのだろう。
そうそうキャストの中に、松金よね子や戸川純、伊藤克信、清水健太郎、阿木燿子などが出てたなぁ(笑) なにやら懐かしいお名前も。
そして改めてこの映画の助監督が金子修介だったのも興味深い。
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