金山のまぼろし

全力で生きる!!

76 3人で唐沢山へ

2021-04-13 20:14:55 | 幻の走り屋奮闘記エピソード1

 

 

岡ちゃんが同級生の高野君のシルエイティーにどついてから1ヶ月経った。

 

心の傷が癒えたのだろうか。

久しぶりに電話があり「佐野に走れそうな峠があるから行かない?」と誘われた。

 

 

嶋田君に電話したら、即返答があり、今は2人が僕のハチロクに乗って佐野に向かっている。

 

バックミラーを覗くとちょうど岡ちゃんが後部座席のど真ん中に座っているので後ろが確認しづらい。

 

太田市から行くと国道50号を佐野方面にずっと進んで左に折れてしばらく進むと右手に山が見えた。

 

坂本 「山が近づいて来るね。」

 

岡ちゃん 「うん、あの山だよ。」

 

坂本 「40分くらいかかったね。」

 

岡ちゃん 「うん、行きたくないの?」

 

坂本 「行きたいよ。嶋田君は行きたいの?」

 

嶋田 「行きたいねー。」

 

岡ちゃん 「なんだい、その会話。」

 

岡ちゃんが笑った。

 

上っていくのに鬱蒼としていてホントに山道って感じだ。

岡ちゃんのお目当ての広場があるらしい。

 

岡ちゃんは地図をいつも眺めて山道とか山の中の広場とかを探しているのだろうか?

 

広場は回転君をするためだそうだ。

回転君とは定常円旋回のことだ。

パイロンを立てその周りをリアタイヤを滑らしながら回る練習法だ。

 

僕はあまり興味はないがコントロールする幅を広めるならやっておいても損はないと思った。

 

峠道を上っていくとサッカーグラウンドくらいの広場に出た。

その広場は斜めっている。

 

広場は路面こそ平だが、傾斜が付いているのが印象的だった。

 

3人で下りると、物凄く寒い。

まだ気温は春とは言えないようだった。

山だから更に冷えるのだろうか?

 

岡ちゃん 「ここで練習するんだよ。どう?」

 

坂本 「全然OKだよ。」

 

嶋田 「いいねー。」

 

岡ちゃん 「坂本君、ちょっと練習してみなよ。」

 

坂本 「わかったよ。」

 

僕は1人でハチロクに乗り込み、走り出した。

スピードが乗った所でサイドを引いてみた。

 

特にサイドを引いたからと言って何が起きるわけでもなく、減速しただけだった。

 

今度はアクセル全開で勢いよく加速してガツンとサイドを引いてみた。

 

特にリアタイヤはロックしなかった。

 

直線だけでサイドを引いても効かなかったので、今度はサイドを引く前にステアリングを切ってからガツンとサイドを引いた。

 

アンダーが出た。

 

ダメだ‥。

 

2人にいい所を見せたかったが無理だった。

 

岡ちゃん 「サイドの効きが悪いの?」

 

坂本 「そうだね。サイドターンできないよ。」

 

こういう何もない所でただ回るのは面白くないと思った。

 

岡ちゃん 「今度3人で練習に来ようよ。」

 

坂本 「いいよ。」

 

嶋田 「いいねー!」

 

嶋田君はなぜかテンションが上がっている。

 

坂本 「嶋田君が速くなったんだよ。」

 

岡ちゃん 「へぇー。」

 

坂本 「カルタスの時よりも成長したし、圧倒的に速くなってるよ。」

 

嶋田 「元から成長してるし、元から速いから。」

 

岡ちゃん 「リーダー、頑張んないとヤバいんじゃないのぉ。はっはっは。」

 

 

その寒い広場でしばらく3人で話していた。

 

帰りは対向車がすれ違いで3台一般の車が上って行った。

 

あっ!

 

その3台目をすれ違った時、僕はあることに気付いた。

 

坂本 「ずっとライト上目で走っていた!」

 

岡ちゃん 「うん。」

 

坂本 「言ってよ!」

 

岡ちゃん 「坂本君、上目にしてるんだと思ったよ。」

 

嶋田 「ハッハッハッハッ‥。」

 

坂本 「そうか僕は上目で走ってたんだ‥。」

 

そんな風に僕たちの圏外遠征は終わった。