Cabin Pressure(脚本:ジョン・フィネモア 出演:ベネディクト・カンバーバッチ他)

イギリスBBCのラジオ・コメディ CABIN PRESSURE について語ります。

唐突ですが、「ラヂオの時間」

2012-12-20 20:27:03 | 日記
CABIN PRESSUREの脚本家兼出演者(アーサー役)のJohn Finnemore氏は
他にもいろいろなテレビやラジオの番組で活躍しています。

先日、ロンドンで行われたとあるイベントの席上で、
ファンからの質問に、John Finnemore氏はこのように答えていました。

ファン:テレビとラジオ、どちらの仕事が好きですか?
JF:うん、難しい質問だね。 (突然、笑顔になって)ラジオ! 断然ラジオ!
  テレビだと、例えば”恐竜”を出すには、まず予算を組んで、
  実写かCGか、と大変だけど、
  ラジオなら僕が「ダイナソー」と書くだけで、、


この話を聞いていて、私は三谷さんの名作「ラヂオの時間」を思い出していました。
この映画での例えは、”宇宙”でしたね。

 ラジオだと、「宇宙」と言うだけで、聴いている人の頭に宇宙空間が広がり、、


人の創造力の素晴らしさ。 ラジオには夢があります。




さて、お待たせしました。次回はシリーズ1の第2話 ボストン です。

お客さんを乗せて、イギリスからボストンへ向かうMJNの面々。

 「当機はトイレも含め、全席禁煙です。お煙草の使用はお控えください」

でも、中に1人、わがままな客がいて…。


S1-1 Abu Dhabi(後篇)

2012-12-16 08:23:37 | 日記
CABIN PRESSURE最新作(シリーズ4)は現在製作真っ最中。
本日12月16日は、2回目の公開録音がロンドンで行われます。

聞くところによると、この無料の公開録音には17,000もの応募があり、
オークションで販売された(本来)無料のチケットに、100万円以上(!)の値がついたとか。
人気のほどがうかがえますね。



お待たせしました。「アブダビ(後篇)」をお送りします。

  ↓

キャロリン: オーケイ、「チーム・役立たず」、遅刻だわ。
マーティン:だってきみを待っていたから、、
キャロリン: 黙って聞きなさい。ブリーフィングよ。ダグラスは往路、マーチンは復路。アブダビ上空は晴れ、代替はバーレーン。
マーティン:キャロリン、それはさっき僕が、、
キャロリン: 黙って聞きなさいって言ったでしょ。代替はバーレーン。でももちろん代替空港は不要ね。今日こそMJN社は利益を出すのよ。おバカなパイロットのための福祉事業じゃなくてね。あら、ダメ、ちょっと待って。(車が停まる)マーティン、ダグラスと席を替わりなさい。
マーティン:ええっ?
キャロリン: 彼は背が高すぎて後ろが見えないのよ。ほら、早く、早く!
マーティン:信じられない、、
キャロリン: 私が一つ数を数える間に、、いち!


ダグラス:この大荷物を見ろよ。カーペットに花瓶に蓄熱ヒーター。
マーティン:なぜアブダビで蓄熱ヒーターが必要なんだろう?
ダグラス:そりゃ、蓄える熱がたくさんあるからさ。
マーティン:よし、完了。アーサー、終わったよ。
アーサー:今行くよ、スキッパー。
マーティン:そっちで何してるの?
アーサー:猫をなだめているとこ。(猫の叫び声) ああっ!
マーティン:おい、どうした?
アーサー:僕、、失敗しちゃった。
ダグラス:大変だ。大丈夫か?
アーサー:うん。いいヤツなんだ、本当は。ちょっと遊んでただけで。
マーティン:豹のまねをしてるとか?
ダグラス:その檻から手を出してひっかくなんて、無理だと思っていたが。
アーサー:僕もそう思ってたけど。出来るんだね。
マーティン:傷を縫い合わせて元通りにしたいかい?
アーサー:ううん、大丈夫だよ、たぶん。ここはもうおしまい?
ダグラス:そのようだ。それでは退屈な飛行機飛ばしと参りますか。
アーサー:あ、そうだ。そのことで聞きたいんだけど、スキッパー。母さんが今朝言ってたんだけど、飛行機が飛ぶのは、翼があるからだって。
ダグラス:あの女に知らないことなんてあるのか?
アーサー:でも詳しく教えてくれなくて。どうして翼があれば飛ぶの?
ダグラス:それはだな、、
マーティン:あのね、ダグラス、彼は僕に聞いているんだ。よく聞いてくれ、アーサー。翼は上がふくらんでいて、下はまっすぐなんだ。空気が翼にあたると2つに分かれる。上のほうが距離がある分、空気はより速く流れて翼の終わりで下の空気と一緒になろうとする。そうすると上の気圧が低くなり、よって揚力が生まれる。
アーサー:すごいや。ありがとう、スキッパー。やっと分かったよ。
マーティン:どういたしまして。
アーサー:でも、どうしてなの?
マーティン:なにがどうしてなんだい?
アーサー:どうして上の空気は下の空気と一緒になろうとするの? わかれたままじゃダメなの?
ダグラス:子供たちのためにかな。


マーティン:燃料システム、チェック?
ダグラス:チェック。
マーティン:油圧系統、チェック?
ダグラス:チェック。
マーティン: 無線中継機、チェック?
ダグラス:ピクニックのテーブルクロスなみに。
マーティン:おおむね飛行機は壊れてない?
ダグラス:飛行機は、確認できる範囲では、故障なし。
マーティン:よし。じゃあ見回りに行くよ。
ダグラス:貨物室の温度を確認するのを忘れずに、、、
マーティン:忘れるわけないだろう。ダグラス、誰が指揮官だか、もう一度おさらいしようか?
ダグラス:もしかしてきみかね、クィーグ艦長?。
マーティン:クィーグ? 今思いついた名前なんだろ?


(無線)
管制塔:ボンジュール、G-T-I。進路3-4-0を維持。
ダグラス:メ、ウィ、モナミ。交信終了。(無線オフ)
マーティン:離陸後のチェック完了したよ、ダグラス。
ダグラス:ありがとう、機長、パーキンス。
マーティン:もう、いいかげんにしてくれ、ダグラス。
ダグラス:なにが?
マーティン:ああ、そうさ、僕はパーキンス機長なんて知らない。これで満足かい?「フィクションのキャプテン」ゲームもきみの勝ちだ。でもそれは、オックスフォードのイートン・カレッジで舟を漕ぎながら“パーキンスくんの冒険”なんて本を読む代わりに、僕は“パイロットのための気象学”を再読して、赤色の下線を引いていたからなんだよ。分かった?
ダグラス:分かったよ。これで落ち着いたか?
マーティン:うん。
ダグラス:よし。さっき私が言ったのは、ありがとう、機長。パーキンス、ブライアン・バーキンス。
マーティン:あ、そうか。ハンラハン。


(ドアが開く音)
アーサー:ランチの準備ができたよ。
ダグラス:すばらしい。今日のメニューはなんだい?
アーサー:おいしいのが満載。僕がたっぷり時間をかけたんだ。
マーティン:アーサー、それってきみが時間をかけて、ケータリングの美味なる食事の蓋を外してくれたって意味だろう?
ダグラス:公平にいって、それがすごくありがたいな。
アーサー:あの、それがね、母さんがケータリングの費用を節約したいって。で、僕は貨物便だとあまりすることがないから、食事を作るよう言われて。
マーティン:彼女が?本気で? いったいきみは何を作ったんだ?
アーサー:うん、2人にそれぞれ別の食事を。まず一人目は、これ。
マーティン:うそ!
アーサー:名づけて、オレンジ色料理。
ダグラス:本当に?なぜそんな名前なんだろう。
アーサー:それはね、料理が全部、、
ダグラス:うん、アーサー。見れば分かるよ。
マーティン:どうやったらマッシュポテトがオレンジ色になるの?
アーサー:豆カレーを作った同じ鍋で料理するんだ。
マーティン:で、二人目は?
アーサー:これこそ僕の自慢料理。ジャーン、びっくりライス。
ダグラス:驚いた!
マーティン:この、、つぶつぶはなに?
アーサー:ああ、スキッパー、こう言ってよければ、その質問に答えたらびっくりライスにならないよ。
ダグラス:アーサー、別々の食事を用意するのは、2人同時に食中毒にならないためにだ。2人それぞれに別々の方法で毒をもっては意味がないだろう。
アーサー:からかわないでよ。僕、頑張ったんだから。
マーティン:それが一番恐れていることなんだよ。アーサー、悪いけど、これは人道的に破棄して、何か食べられるものを探してきてくれないか? ダグラス、無線を頼む。(無線)キャロリン、いったい何を考えてるんだ?
キャロリン: どうしたの? アーサーったら、もう今夜のホテルの話をしちゃったの?到着するまで待つよう言ったのに。
マーティン:何?違うよ。ホテルがどうしたの?
キャロリン: あら、何でもないのよ、きっと気に入るわ。古き良きアラブって感じで。それで、どうしたの?
マーティン:食事さ、キャロリン。僕たちは難しくて危険をともなう仕事をしている熟練したプロなんだよ。まともなケータリングが必要だ。 
キャロリン: プロならブリストルへは行きません。周りの人に聞いてみなさい。プロなら貨物室の温度を確認し忘れたりしません。そういえば、ちゃんと確認した?
マーティン:はい、はい、もちろんしたさ。30秒おきにみんなに注意されてるのに忘れられるかい? 見回りの最初にも、見回りの最後にもチェックしたよ。ちゃんと、エアコンはオフになってる。
ダグラス:オン。
マーティン:なんだって?
ダグラス:サーが言ったのはオンだ。当然オンさ。おっと、無線を切らなきゃ、キャロリン。山が接近中。じゃあね!(無線オフ)
マーティン:ダグラス、これって中途半端な復讐なのかい?そうだとしても無意味だよ。彼女が信じると思うのか、僕がわざとエアコンをオンにしたと?
ダグラス:どうしてかって?それはきっと彼女がそう期待しているからさ。貨物室には猫がいたりするだろう。
マーティン:そうか。
ダグラス:私は注意しようとしてたんだぞ。
マーティン:しまった!
ダグラス:うむ。
マーティン:死んじゃったかな?
ダグラス:いやいや、大丈夫さ、今はまだ。
マーティン:大変だ!
ダグラス:ちょっと寒がっているかもな。
マーティン:フライト時間はどれくらい?
ダグラス:8時間弱。
マーティン:高度3万4千フィート上空のエアコンなしの貨物室で、猫ってどのくらい生きられるんだろう。
ダグラス:ああ、昔は答えを知っていたんだがなぁ。パブ・クイズでいつも出題されているのに。
マーティン:分かったよ。
ダグラス:えっと、3時間28分かな。それともあれはイタチが潜水艦の中で、だったかな?
マーティン:知らないんだね?
ダグラス:残念ながらね。でも8時間は期待しすぎじゃないかな。
マーティン:ああ、どうしよう! 僕はお客の猫を殺しちゃうんだ。
ダグラス:どうやらそうなりそうだ。
マーティン:お客の猫は殺せないよ。
ダグラス:確かに。
マーティン:どうすればいい?
ダグラス:もちろん、それは、、
マーティン:できないよ。迂回はできない。彼女につかまるよ、ナイフをもった彼女に。
ダグラス:だがこのままでは顧客の猫が凍死する。
マーティン:それもナイフだ、大きなナイフ。もし、もしこのまま飛んで、ダメだったとしたら、どうやって死んだかみんなに分かるかな?
ダグラス:またしても私の動物病理学の知識を過大評価しているようだ。
マーティン:でも、ばれないだろう? だって、氷の塊になったりはしないでしょ?
ダグラス:漫画じゃないんだぞ。
マーティン:つまり、猫専門のCSIが押しかけてきたりとか。
ダグラス:それはないだろう。彼らは最近とても忙しそうだから。
マーティン:つまり、猫には災難だけど、でも1万ポンドかけて迂回するのは高すぎるだろう?
ダグラス::そうだな、それにキャロリンがね。
マーティン:それとナイフだ。うん。それで、どう思う? 妥当だろう?妥当だよね、ね?
ダグラス:それは司令官の判断次第です、サー。あなた次第だ。
(ドアの開く音)
アーサー:ほら、ビスケットとのど飴があったよ。誰がどっちをとる?
ダグラス:今回は二人ともビスケットを食べる危険をおかしてみよう。
アーサー:スキッパー、きみ、大丈夫?
マーティン:ああ。
アーサー:本当に?顔色悪いよ。まだびっくりライスを食べてもいないのに。
マーティン:大丈夫だ。
アーサー:そうかな? なんだか、、
ダグラス:アーサー、さっきどうして空気が一緒になろうとするのかって質問していたね。
アーサー:うん。知ってるの?
ダグラス:ああ、そうだ。聞きたまえ。空気が翼を通り過ぎるのではなく、翼が空気の中を通るんだ。翼が空気を切り裂くと、気圧の差が生じ、揚力が生まれて機体が上がる。重力は押し戻そうとするから、揚力が重力より強い限り、我々は飛ぶことができる。これが飛行機が飛ぶ理由だ。
アーサー:了解。すごい、ありがとう。今度こそ理解できたよ。
ダグラス:よかったな。ちゃんとした先生につけば、簡単に理解できるんだ。
アーサー:だから飛行機は宙返りできないんだね?
ダグラス:ん?いや、できるよ。
アーサー:できるの?
ダグラス:もちろん可能さ。アクロバット飛行を見たことないのか?
アーサー:でも、逆さだとふくらんでる翼が下になるわけでしょ? そうすると揚力も重力も飛行機を下げちゃう。どうなってるの?
マーティン:そうだ、ダグラス。どうなってるの?
ダグラス:それはな、アーサー、簡単に説明できる。でもその前に、マーティン、さっきの話の続きだが、全てきみ次第なんだぞ、貨物室の猫を凍死させるかどうかは。
アーサー:なんだって!?
マーティン:ダグラス!
アーサー:スキッパー!
ダグラス:誰も私の説明を聞きたがらないのか。そりゃ残念。
アーサー:どうして? どうしてそんなことを?
マーティン:わざとじゃないんだ、アーサー。
アーサー:じゃあどうして?
マーティン:もしかすると、貨物室のエアコンがオンになっていなかったからかも。
ダグラス:見事な受動態の使い方だ。
アーサー:でも、スキッパー、高いところを飛ぶほど寒くなるんだよ。
マーティン:そうさ、ありがとう、化学博士。
アーサー:だから早くエアコンをつけないと。
マーティン:グッドアイデアだ、頼むよ。ちょっと翼の上に出てそこから貨物室のドアを開けて、中に飛び込んでスイッチオン。
アーサー:オーケイ。どこから翼に出れば、、
マーティン:冗談だよ!
アーサー:あ、そうだ、いいこと思いついた。迂回しようよ。いますぐ着陸したら、猫は助かるかも。
ダグラス:すばらしいぞ、アーサー。どうしてこれを思いつかなかったんだろうね、マーティン?
マーティン:アーサー、あの猫には悪いけど、迂回にはものすごくお金がかかるんだ。きみの母さんがこれについてどう思っているか、覚えているだろう?
アーサー:うん。うん。でもさ、あいつかわいいチビで、、
マーティン:いや、あれはイカれた猫だよ。自分を見てご覧、アーサー。傷だらけじゃないか。
アーサー:うん。そうかもね。でも、すごく寒くなるし。
マーティン:ああ、
アーサー:そして、、死んじゃうんだよ。
マーティン:そうか、僕に迂回しろと言うんだな。そういうことかい?ノルマンディのどこかに着陸しろと。そしてキャロリンには絶対不可欠な理由があったからって説明する、ニャンちゃんですってね。
アーサー:うん、お願い。
マーティン:分かった、分かったよ。たかが仕事だ。他にも勤め先はある。(無線)フランス管制塔へ、こちらG-T-I、最寄空港への緊急着陸を希望する。
フランス管制塔:了解、G-T-I。非常事態ですか?
マーティン:えっと、、うん、実は、、
ダグラス:管制塔、少し待ってください。(無線オフ)
マーティン:なんだ、ダグラス?
ダグラス:機長。(マッチ点火音)操縦室で煙のにおいがします。あなたはこのにおいに気づきますか、機長?
マーティン:うん、うん。におうよ、ダグラス。至急迂回を依頼してくれたまえ。
ダグラス:ただちに、サー。


 (エンドクレジット)



 ©BBC


S1-1 アブダビ(前篇)

2012-12-15 10:56:01 | 日記
CABIN PRESSURE シリーズ1 第1話 アブダビ(前篇)

私の拙訳です。ご笑納ください!

   ↓


(ピンポン)
ダグラス:こんばんは、みなさん。私は副操縦士のダグラス・リチャードソンです。当機はこれから最終の着陸態勢に入り、目的地の、たぶんフィットン空港へ向かっています。あるいは畑か?それとも単に高速道路か?あれは海ではない、な。青くないから。ここで少し説明しますと、機長のクリーフと私は、正々堂々と賭けをしていまして。『1リットルのウォッカをストローで飲みほした後、どちらが上手に飛行機を飛ばせるか』先攻は機長。みなさんもお気づきだったでしょう、離陸は少し揺れましたね。特にゴルフコースのあたりでは。そしてこれから私が着陸を担当します。2つある滑走路のうち、どちらを目指すのか、決めたらすぐに。ここでお伝えしておきましょう。今日の私はツイてます。クルー一同を代表して、一言、「突撃!」

 (テーマ曲)
   今週は 「アブダビ」

マーティン: ブレスド。
ダグラス:ああ、そうだな、もちろん。 メイ。
マーティン:うん、いいね。 キャント。
(ドアが開く音)
アーサー:お待たせ、お二人さん。なにも入っていないコーヒーと、全部入りの紅茶。素晴らしいキャビン・アナウンスだったね、ダグラス。僕、貨物便大好き。
ダグラス:ありがとう、アーサー。
マーティン:お。イーノ。
ダグラス:お、いいの?
マーティン:お。イーノ。
ダグラス:ああ、そうか。シーウェル。
アーサー:ねえ、なんの遊び?
マーティン:ブリテンのブライアンたち。
アーサー:それってたくさんいるよね。 えっと、えっ~と、、
ダグラス:心配するな。そのうち思い浮かぶよ。
アーサー:あ、あの人誰だっけ? あの、白髪で、クイズ番組をやってて、「Pをください、ボブ」の人。なんて名前だっけ?
ダグラス:それはブライアン・なんとか、名前なんだろう?
アーサー:うん。ブライアン。え~、ブライアン、、
マーティン:ボブ・ホルネスだよ。あれはボブ・ホルネス。
アーサー:それだ!あ。 えっと、彼もカウントしてくれる?
ダグラス:ボブ・ホルネスが、我々のブライアン・リストにカウントされるかって?まぁいいだろう。よくやった!


(無線)
管制塔:G-T-Iへ、滑走路検査のため20分遅れる見込み。アルデン上空で待機。高度7千フィートを維持せよ。
マーティン:こちらG-T-I。了解、アルデンで待機、7千フィートを維持。遅延は20分だけなんだね?
管制塔:たぶん。場合によりけりだから、、
マーティン:ありがとう、管制塔、相変わらず大いに有益だったよ。交信終了。(無線オフ)悪いが、みんな、ブリストルへ迂回するほうがよさそうだ。
アーサー:ブリストルへ?どうして?
マーティン:フィットンの滑走路が閉鎖されて、20分くらい待たないといけないんだ。
アーサー:でも、ブリストルは遠いよ。
マーティン:ああ。だが幸いなことに我々は飛行機に乗っている。遠くへかなり早く移動するために特別に設計された飛行機にね。
アーサー:うん、でも、僕の車はフィットンにあるんだ。
マーティン:そうかい。じゃあここで墜落するまで旋回しているかい?
ダグラス:知っているかね、マーティン、私は一度もブリストルに行った事がないんだ。
マーティン:なら楽しめるね。
ダグラス:どうだろうか。私としてはこの記録を維持したい。
アーサー:スキップ、本当に待てないほど燃料がないの?だってゲージが赤色でも、いつもまだ少し残っているから。
マーティン:ああ、不思議なことにね、アーサー。飛行機をそこらの中古車と一緒にするのは浅はかな考えだぞ。僕たちはブリストルへ向かう。
アーサー:ダグラスはどう思う?
ダグラス:ブリストルに行ってもいいな。行く人もいるだろう。だが我々の燃料はあと20分は楽に持つ。30分でも大丈夫だ。
マーティン:うん、申し訳ないけど、迂回するよ。
アーサー:ねえ、ちょっと待って。ダグラスがあと20分は大丈夫って言うなら、、
マーティン:いや、ちょっとも待てない。機長の僕が言ってるんだよ。
ダグラス:もちろん、マーティン、きみが迂回すると言うなら、迂回しよう。
マーティン:ありがとう。
ダグラス:ただし、もちろん、操縦室で煙のにおいがしたら、話は別だ。
マーティン:え?
ダグラス:言ってみただけさ。もし、万一、操縦室で煙のにおいがしたら、当然のことながら我々は最も近い空港に最優先で着陸する義務がある。今回の場合、ラッキーなことに、その空港はフィットンだ。
マーティン:うん、そうだろうね。でも操縦室で煙のにおいなんてしないよ。
ダグラス:(マッチ点火音)今はどうだ?
マーティン:何が言いたいんだ、ダグラス?
ダグラス:管制塔に、煙のにおいがすると報告するのさ。実際、してるしね。すぐに着陸できるぞ。機内を調べて、異常が見つからなくても、人生は小さな謎で満ちているものだし、危険を冒すよりずっといい。みんな幸せ、お茶も飲める。
アーサー:なるほど。それってすごく賢いね。
マーティン:いや。悪いけど、絶対ダメだよ。
ダグラス:エア・イングランドにいた頃はしょっちゅうやってたぞ。
マーティン:でも今はエア・イングランドじゃないだろ。きみが今いるのは副機長の席で、飛行機はブリストルに向かっている。きっと気に入るよ。あそこには素敵な吊橋がある。
ダグラス:ふむ。では最終判断の前に無線でキャロリンに確認しようか。これはかなり高額な迂回になる。
マーティン:いや。我々は最終判断を下したんだ。僕が決めた。キャロリンも知っているように、飛行中は、僕がこの機の最高司令官だ。
ダグラス:なんと。ブライ艦長の再登場か。
マーティン:ダグラス、きみのエア・イングランド時代の同僚には興味ない。きみがブライ機長の飛行機に乗るときは、彼のやり方にあわせればいい。でも僕の飛行機に乗っているときは、僕のやり方にしたがってくれたまえ。理解できたか?
ダグラス:そうか。
マーティン:そうか、の後は?
ダグラス:そうか、分かった。
マーティン:そうか、分かった、の後は?
ダグラス:そうか、分かった、理解した。
マーティン:そうか、分かった、理解した、の後は?
ダグラス:そうか、分かった、理解した、よ。
マーティン:待っているんだけど。
ダグラス:マーティン、まさかきみは本気で私に「サー」と呼べと言っているのか?
マーティン:その通り。どうしてそんなに信じられないんだい?
ダグラス:そうだな、15~16個存在している理由の中から1つを選ぶとして、私はきみの父親くらいの年齢だ。
マーティン:よほど早熟でないと無理だよ。
ダグラス:早熟だったんだ。
マーティン:そう。きみの年齢と経験が、この機における指揮系統に対する歪めた見方を与えているようだが、形式について少し観察してくれたら思い出せるんじゃないかな。僕たちのうちのどちらが機長なのか。だから、理解できたかね?
ダグラス:はい、、サー。
マーティン:ありがとう。(無線)フィットン管制塔へ、こちらG-T-I。遅延を考慮して、ブリストルへの迂回を要請する。


キャロリン:マーティン、あなたバカね。
マーティン:僕はバカじゃないよ、キャロリン。航空会社(エアライン)の機長だ。
キャロリン:どちらも間違ってるわ。あなたは途方もなくバカだし、エアラインの機長ではありません。私はエア・ラインは持っていません。ジェットを1機持っているだけ。1機じゃラインは引けないでしょ。もしMJNが何かだとすれば、それはエア・ドット(=点)よ。
マーティン:申し訳ないけど、キャロリン、僕は追加燃料を魔法みたいに作り出すことはできないんだ。
キャロリン:そうね、そして私はあなたが西海岸に観光に行くための費用として7千ポンドを魔法みたいに作り出すことはできません。それにだいたいあなたはどこにいたの、ダグラス?まさかあなたがブリストル行きを志願したんじゃないでしょうね?
ダグラス:私はサーに代案を提示したんだが、キャロリン、司令官はサーであるから、我々はなんどきもサーに従うようサーにはっきり注意されてね。
キャロリン:誰に注意されたって?
ダグラス:クリーフ機長さ。私は「サー」と呼ばせてもらう栄誉をもらってね。
キャロリン:マーティン、あなたにはいろんな呼び方があるけど、サーではありません。この中の誰かがサーだとすれば、私がサーよ。サーとして私は、今後の迂回を禁止します。
マーティン:そうかい、じゃ、離陸時にエンジンに火がついても、肩をすくめ、弱音を吐かず、なんとしてもポルトガルへ向かうというわけだ。了解。
キャロリン:分かったわ、冒険好きな機長さん。本当に本当に深刻な問題が発生したときは迂回して。つまり、「あら、大変。離陸の時は翼が2つあったのに」っていうときよ。それ以外は勇敢な兵士のように前に進み、私の会社を底なしの財布のように扱わないこと。
マーティン:そんなの完全に不公平だよ。
キャロリン:そうかしら?なら教えてちょうだい。なぜあなたは貨物室をずっと30℃に温めていたの?
マーティン:そうだっけ?
キャロリン:気付きもしなかったの?
マーティン:それは、、温度調節器は貨物室の中にあるから、、
キャロリン:離陸前の見回り点検の時に確認できたでしょ、機密じゃないんだから。高度3万フィートの上空で金属の塊をぽっかぽかに暖めておくのにいくらかかるか知ってる?驚くほど高額なのよ。だからよく聞きなさい。次の木曜にアブダビへ飛んでもらうけど、とにかく安く行くこと。贅沢禁止、飛行できるぎりぎりの低コストで飛ぶのよ。イージージェットがエア・フォース・ワン並に思えるようにね。分かった?
マーティン:分かったよ、キャロリン。
ダグラス:そのケチケチ・フライトに乗る幸運なお客は誰だい?
キャロリン:お客はいません。石油会社の重役さんがあっちへ引っ越すので、私たちは彼の持ち物を全て運びます。家具、服、カーペット、猫、などなど。
マーティン:了解、迎えは何時?
キャロリン:迎えはありません。
マーティン:え?
キャロリン:15秒前に贅沢禁止って言ったのを覚えているかしら?これが驚くことにまだ有効なの。タクシーも禁止。私の家に6時半に集合。私が送るわ。
マーティン:いや、ダメだ、ダメ、ダメだよ、キャロリン。僕たちをそんな風に扱うなんて。
キャロリン:あらそう、じゃあマーティン、転職すれば?ライセンスを取得するのに7回も挑戦した唯一の民間機パイロットを雇いたがる会社は他にもたくさんあるでしょうから、よりどりみどりでしょう。
マーティン:いいかい、キャロリン。飛行機の安全を正当に考えて理性ある判断を下した僕を罰することはできないはずだ。
キャロリン:私はできるわ。
マーティン:まあ、厳密にはそうだけど、、
キャロリン:よかった。では厳密にそうするわ。さあ、お願いだからどこかよそへ行ってちょうだい。
ダグラス:上出来でした、サー。これは彼女に言っている。


アーサー:(ノック)おはよう、母さん。入っていい?
キャロリン:コーヒー持ってきた?
アーサー:うん。
キャロリン:あなたと話さずにコーヒーだけいただける?
アーサー:無理かも。
キャロリン:仕方ないわね、お入り。
アーサー:(ドアを開く)はい、どうぞ。手を貸そうか?
キャロリン:ええ、シャンプーをこっちへ。それからこれを受け取って。はいはい、いい子ね。(犬の鳴き声)なんて綺麗になったんでしょう!
アーサー:もうすぐみんなが来るって、知ってる?
キャロリン:いま何時?
アーサー:6時15分。 あ、しまった。
キャロリン:どうしたの?
アーサー:マーティンみたいに24時間表記で時間を言えるよう訓練中なんだけど、いつも忘れちゃう。
キャロリン:なんて言うべきだったの?
アーサー:えっと、6時15分。でも僕が思ってた6時15分みたいに、ふたつに分けたうちのひとつじゃなくて、ひとつだけのが正しいんだけど、そうすると、、
キャロリン:アーサー、アーサー、アーサー、私の大事な息子。お願いだから黙って。
アーサー:了解。ごめんね、母さん。旅行だと思うと興奮しちゃって。
キャロリン:アーサー、もう何百回も飛んでるんだから、少しは新鮮味がなくなったでしょ。
アーサー:まさか、全然!いつも興奮するよ。12トンの鉄のかたまりが飛び立つ瞬間!しかも誰もなぜだか知らないんだ。
キャロリン:いえ、みんな知ってます。
アーサー:うん、でも、本当のところはさ。翼とかエンジンとか、後ろについてる小さいのとかが必要なのは知っているけど、どうして飛行機が空を飛べるのかは誰も知らない。
キャロリン:いいえ、アーサー、みんな本当に知ってるのよ。
アーサー:ふうん。じゃ、どうして?
キャロリン:えっと、それは、、、タオル貸してちょうだい。(犬の鳴き声)ほらほら、ワンちゃん、じっとして。ええっと、なぜかというと、飛行機には4つの力が働いていて、そのうちの2つが他の2つより大きい限り、飛行機は飛ぶのよ。
アーサー:、、母さん、誰も知らなくても僕は気にしないよ。
キャロリン:でも知ってるの、みんな知ってるのよ。さっき言ったでしょ、そういうことなの。
アーサー:じゃあ4つの力ってなに?
キャロリン:ええ、教えてあげるわ。揚力と重力と、、
アーサー:上下?
キャロリン:違うわよ、そうじゃなくて、いまのが上下なの。だから揚力、重力、、
アーサー:左右?
キャロリン:いいえ、違うわ。揚力と重力と、、
アーサー:エンジン?
キャロリン:違います。あ、いえ、正しいのよ。つまり、、推力よ、推力。揚力、重力、推力、それから、、
アーサー:時間?
キャロリン:抗力。揚力、重力、推力と抗力。重力と抗力は大きいから、エンジンが推力を、翼が揚力を飛行機にあたえて、それで、飛行機は飛ぶの。
アーサー:どうやったら翼が持ち上げるの?
キャロリン:なんですって?
アーサー:翼ってすごく重いでしょ。どうやったらあんなに重い2つのかたまりが、もうひとつの重いかたまりを揚げるの?
キャロリン:それは、翼だからよ。鳥みたいに。
アーサー:うん、でも鳥は羽ばたくでしょ?飛行機は羽ばたかない。フラップ(=羽ばたき)はあるけど。この前ストックホルムに行ったときにフラップをずっと見てたけど、あれは名前の付け間違いだと思うよ。で、どうやったら翼が機体を滑走路から飛び立たせるの?
キャロリン:(ドアベルの音)ああ、着いたのね。さあ、さきに行って車で待っていなさい。私は歯を磨くから。
アーサー:うん、でも、翼がどうやって、、
キャロリン:玄関にでて!
アーサー:オーケイ、行くよ、行くよ。(ドアを閉める音)
キャロリン:ほ~ら、スヌーパドゥー、綺麗な子ね。あっちで遊んでいらっしゃい。


アーサー:(ドアを開ける音)やあ、ダグラス!
ダグラス:おはよう、アーサー。朝6時半にしてはうんざりするほど元気だな。きみの母さんは?
アーサー:歯磨き中。車で待ってて、だって。(車のドアが開く音)あれ、マーティンはどこ?
ダグラス:誰が最高司令官の動きを察知できるんだ?きっと神様が彼の頭をつっつきたいんだろう。
アーサー:どういう意味?
ダグラス:気にするな。ああ、来たぞ。視界に入ってくるこの威圧感ある存在は何だ?もしかしてサーか?まさにそうだ。
マーティン:おはよう。
ダグラス:いらっしゃいませ、サー。
マーティン:サーと呼ぶのはやめてくれ、ダグラス。
ダグラス:サーは気まぐれでいらっしゃる、なるほど、覚えておきます、サー。しかしながら時として、サーに対する畏敬の念に勝てず、思わず言葉がでてしまうことも、、
マーティン:ありがとう、ダグラス。きみは確かに陽気なパイロットだよ。キャロリンはどこだい?
ダグラス:歯を研いでる。
アーサー:磨いてる。
ダグラス:そうだった、歯を磨いてる。さて、サー、中に入ってくれないか。寒いじゃないか。
マーティン:無理だよ、きみが僕の席に座っているから。
ダグラス:きみの席?そんなのあるのか?
マーティン:うん。
ダグラス:キャロリンの車に?
マーティン:前の席が僕の席だ。
ダグラス:何だって?「助手席」って叫んだのかい?
マーティン:叫ぶ必要はないよ。僕は機長なんだから。
ダグラス:機長が飛行機の前の席に座るのは、マーティン、運転するからだ。どの乗り物でもって訳じゃない。
マーティン:僕はタクシーでもいつも前に座ってる。
ダグラス:それはタクシーが最初にきみの家に行くからさ。今日は私が最初に来たから、ここに座る、ほらね!
アーサー:あのさ、もしなんだったら、僕が助手席にいこうか?
ダグラス&マーティン:黙れ、アーサー。
アーサー:了解。
マーティン:ダグラス、僕はブリーフィングもするんだ。どうやったら後部座席からブリーフィングできるんだい?
ダグラス:後ろからでも聞こえるよ、一緒の車に乗っているんだから。それに、私の足は長い、きみよりずっと長い。
マーティン:でも、僕は、、
ダグラス:分かった。コイントスで決めよう。
マーティン:それはフェアじゃないよ。僕のコイン運は知ってるだろう?
ダグラス:表か裏か?
マーティン:ああもう。じゃあ、裏。
ダグラス:(コイントス)おっと、変だな。
マーティン:僕の勝ち?
ダグラス:ああ、、
マーティン:本当に僕が勝ったの?初めてだよ。500回はやってるけど初めてだ。
ダグラス:ほら、さっさと済ませよう。
マーティン:(席を交換)うん、これはいい、快適だねえ。うん。さて諸君、聞いてくれ、ブリーフィングだ。かなり簡単だよ。天気は良好、アブダビ上空は晴れ、代替先はドバイ。僕が往路を、ダグラスが復路を担当。理解できたね?
ダグラス:アイアイ、エイハブ艦長。
マーティン:それって、ブライ艦長の友達だろう?
ダグラス:きみたち三人で飲みに行ってきなよ。


(続く)





視聴方法

2012-12-13 06:12:26 | 日記
BBC Radio4製作のこのドラマは、現在シリーズ3までオンエア済みで、
各話は約30分、1シリーズで6話あります。
それらは、iTunesや、CDで購入できます。

CDのシリーズ1~3には、それぞれ遊び心いっぱいの裏ジャケットが、
そして、先日発売されたThe Collected Series(上記)には、
ボーナスCDとして、Cabin Pressure at Christmasがついています。
(このお話もとても面白いです。クリスマス当日にぜひ聞いてください!)



実は、シリーズ1の最初の数話は、現在、You Tubeでも視聴できます。
これはファンの方が、音声に、(たぶん)チェコ語の字幕をつけた労作。
このYouTubeに触発された私は、自らの英語力不足&日本語力不足を
棚に上げて、日本語訳に挑戦しています。

次回、シリーズ1の第1話から、私の迷訳をアップしていきたいと思います。

先にお断りしておきますが、私の英語力は基礎英語レベルです。
よって、拙訳です。意訳です。違う意味で超訳です。
でも、このドラマを知っていただくきっかけになれば。


このドラマに興味をお持ちでしたら、
試しに第1話(タイトルは Abu Dhabi/アブダビ)を聞いてみてください。
全部は聞き取れなくても、楽しさが伝わってくると思います。
(公開録音なので、お客さんの本当の笑い声が入っています)

その後、もし、よろしければ、次回からの私のブログをご覧ください。


シリーズ1 第1話 「アブダビ」

MJN航空が拠点としているイギリスのFITTON空港。
(この空港だけは架空の名前。他は実際の地名/空港名が出てきます)
ここへ向かう機中から、物語は始まります。

"当機はこれから着陸態勢に入ります。
みなさん、シートベルトをしっかりしめて、座席やテーブルは元の位置にお戻しください"

無事にFITTON空港に着陸できるでしょうか? それとも…?