ご覧になってます?私はアメリカで見ています。
主人公のとと姉ちゃんこと常子を高畑充希さんが演じていて、
「とと」こと常子のお父さんを西島秀俊さんが演じました。
(ドラマの中では既に亡くなっている・・・)
その「とと」が言ったセリフが心にしみました。
当たり前にある日常はかけがえのないもの
そしてそれはいつ失うかわからない
9年前にこのドラマが放送された時も、このセリフに共感したのですが、
今回は前回の何倍も、いや何十倍もズシリと心に響きました。
やはり5年前のパンデミックで、それまで当たり前だと思っていたことが
どれだけ貴重であったかを痛感したからでしょう。
そんな折、日本にいる妹から届いたLINEにも「ささやかな日常がとても貴重」という
文面があって、ますます身にしみました。
そして今、悲しい出来事で改めて平穏無事な生活を当然と思わず、
もっと感謝しなければと自分に言い聞かせているところです。
実は私、3月から地元のランニング愛好者のグループに入ってグループランを楽しんでいます。
ひと走りした後は近くのスタバで皆でお喋り。これがまた楽しいんだな。
グループラン参加でたくさんの友達ができました。
一番嬉しかったのが同年代のランニング仲間ができたこと。
その仲間のひとり、テリー(男性)は同い年、しかも誕生月も同じで親近感がわきました。
そのテリーが先日、亡くなりました。
5月9日に体調を崩し、そのまま意識が戻ることなく旅立ちました。
詳しい病状はここには書きませんが(正直、あまりにもつらくて書けません)、
昏睡状態が続き、先月下旬、医師からご家族の皆さんに回復の見込みはないと告げられたそうです。
そして先週末、奥さんは遠方に住む家族、親戚、友達を呼びテリーとお別れをしたら
人工呼吸器を外して彼を見送る決心をしたとのこと。
ついこの間まで皆と元気にランニングを楽しんでいたテリー。
ご家族の気持ちを思うと言葉がありません。
随時、テリーの様子を私達メンバーに伝えてくれたのがグループのリーダーであるマックス。
テリーとマックスは平日も一緒にランニングをする大親友。
マックスはテリーが回復することがないと医師から告げられた旨を
私達メンバーに知らせるメッセージの中でこう言いました。
Run while you can, make time to spend with those who care about, take nothing for granted, be eternally grateful to be able to do what you CAN do, and BE LIKE TERRY, a man who always lifts everyone’s spirits as one of the kindest souls around anywhere. What a great place this world would be if everyone was like him!
走ることが可能な限り走り、愛する人達と時間を過ごし、何事も当たり前だとは思わず、自分が出来ることに果てしなく感謝し、いつでもどこでも皆の気持ちを盛り上げてくれる優しい心を持ったテリーのようになろう。
誰もがテリーのようだったら、世界は素晴らしい場所になるだろう。
まったく同感です。
初めてグループランに参加した時、緊張していた私に優しい言葉をかけてくれたのがテリーでした。
スタバでの彼とのお喋りも楽しかった。
これは5月3日のグループランの後でスタバで撮った写真。

テリーはテーブル左側、手前から2番目(黄色いシャツ)。
まさかこれがテリーと一緒に走り、言葉を交わした最後の日になるとは・・・
この翌週、突然体調を崩したのでした。
5月3日のグループランではリーダーのマックスにいじられっぱなしだった私。
翌日、マックスが主催するレースがあって、グループの常連ランナーのほとんどが
参加することになっていたのです。
マックスにぜひ参加しないかと声をかけられたのですが
大学の春学期最終週で学生達の学期末の課題の採点に追われていたので、
I will think about it. (検討してみるわ)
とはっきりNoとは言わずお茶を濁しました。
するとマックス、メガホンを手にして(言うまでもなく皆に聞こえる音量で)
Think harder!(真剣に検討せよ!)
と言ったのです。
もちろん、これは彼のユーモア、ジョークです。
だから私も「わかった、わかった・・」と笑いながら(他の参加者も笑ってた)
適当に返事をしたのでした。
走り終わってスタバに移動してからもマックスのしつこいお誘いは続き、
その度に私も「だから検討するって言ってるじゃない!」と笑いながら返していました。

戻らなければならなかったので、皆より一足早くお暇することに。
席を立った時、
See you next week.(また来週!)
と言った私に皆も
See you next week.
と言って手を振ってくれたのですが、マックスだけは
See you tomorrow!(明日レースで会おう!)と、最後の最後まで例の調子(笑)。
そしたらテリー、マックスのしつこい誘いに私が辟易していると思ったのか
彼の言うことなんて気にしなくていいからね。また来週!
と言ったのです。
これがテリーからかけられた最後の言葉となりました。実に彼らしい言葉でした。
私がスタバを出る時に笑顔で手を振ってくれた彼の姿が今でも目に焼き付いています。
常に人の気持ちを察し、優しい言葉を言ってくれるのがテリーなのです。
この日の翌日、アメリカで「とと姉ちゃん」の再放送が始まり、
前出の「とと」のセリフに共感した直後に、テリーが体調を崩したという知らせを聞きました。
この時、私もランニング仲間もテリーが入院したという以外、
彼の容体について詳しく知らなかったので、しばらく養生すれば退院、
ランニングにも復帰できると思っていたのですが、しばらくして昏睡状態に陥ったという知らせが。
先週末、テリーの人工呼吸器が外されました。
そして6月4日午前1時過ぎ、奥さんが見守る中、テリーは旅立ちました。
折しも6月4日はGlobal Running Day
世界中の人とランニングを通じて繋がり、走る楽しさをシェアする日。
人工呼吸器が外されてから数日間、自力で呼吸をしていて、
ランニングの記念日に旅立つなんてテリーらしい。
というわけでテリーの突然の旅立ちで、日常がどれだけ尊いものなのかと言うことを
改めて思い知らされました。
「とと」が言ったように当たり前にある日常をいつ失うかわからない。
あんなに元気だったテリーが、突然逝ってしまうなんて。
今、元気でいることも当たり前と思ってはいけない。
「じゃあまたね」と言って別れた友達とまた会えることも、当たり前と思ってはいけない。
だからとりとめない日常が貴重なのですね。
6月4日早朝、テリーの訃報が届きました。
この日はGlobal Running Dayを祝してランニングに出かける予定でいましたが、
テリーへの追悼の意をこめて走りました。いつもみんなで走っているコースで。
もうテリーと一緒にここを走ることはないのだと思うと涙が溢れました。
テリー、短い間だったけどあなたのようなランニング仲間に出会えたことを
心から嬉しく思います。
どうぞ安らかに眠ってください・・・
と言いたいところですが、天国でもランニング仲間を見つけ、
楽しく走り続けることでしょう。
あなたのお陰で日々を穏やかに過ごすことがどれほど愛しく、尊いものなのか
改めて痛感しています。
これからも天国からあの優しい笑顔で私達を見守ってください。
