春学期が終了して1ヶ月以上経つので今さらなんですが、いろんなことがあったし
大学講師生活の記録として残しておきたいし、アメリカの学校のシステムについてもお知らせしたいので
時差ネタ&長文記事ですがお付き合いください。学生達の写真も盛りだくさんよ~!
私が教えたのは専門課程の幼児~小3までの社会科の教授法や教案作成がメインのクラス。
春学期がスタートして3週間 - サンシャイン通信
1月9日から地元の大学の春学期がスタートしました。私も母校での講師の仕事を再開。一昨年、この仕事のオファーをいただき、講師として稼働し始めてからずっとPrimaryEducat...
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アメリカの小学校は日本のような時間割がなく、クラスによって一日のスケジュールが違うのが主流。
そして社会や理科の時間がない低学年のクラスも珍しくありません。
フロリダ州(+多くの州)の公立小学校では毎日90分のリーディングの授業が義務付けられています。
そこにライティング(私が勤務してきた学校では毎日最低30分)、60~90分の算数の授業を加えたら
国語と算数だけで180~210分(3時間~3時間半)を費やすわけで、
となると社会科や理科の授業時間を捻出するのが難しいわけです。
じゃあ社会科や理科を教えないの?と言われそうですがそうではなく、
リーディング等、別の科目に組み込まれることが多いのです。
以前にこんな記事を書きました。
アメリカの教科書で知る日本人 - サンシャイン通信
まだ余裕をもってオンライン授業をするまでにはなっていませんが、ちょっとコツをつかんできた感じ。今週、私のクラスのELA(EnglishLanguageArtsイングリッシュ・ランゲージ...
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ランゲージアーツ(国語)の教科書で取り上げられた日本人のロボットクリエーターの高橋智隆さん。
このユニットでは歴史や地理等の社会科のスタンダード(日本で言う学習指導要領)が組み込まれています。
実際、学生達の実習先の小学校の低学年クラスのほとんどが、独立した社会科の授業をやっていませんでした。
なので彼らが実習先で授業を教える際の参考になればと思い、社会科授業のセオリーを教える講義以外に
国語や算数の授業や様々なアクティビティに社会科を取り入れた模擬授業を何度もやりました。
このクラスのテーマのひとつがIntegrated Social Studies Lesson (他の科目に融合した社会科の授業)だったし。
私も教師になってから低学年を教えた際、効果的に社会科を別の科目に取り入れるため工夫してきたので、
実際に私が過去に教えた授業を学生たちにシェアしたわけです。
ちなみに私が模擬授業をやる際、学生達は私の生徒になってロールプレイをしました。
いろいろやったけど学生達に好評だったものをいくつか紹介しますね。
まず2月にやった模擬授業ではバレンタインデーのアクティビテイを兼ねて、折り紙でハートを作りました。
そのハートでバレンタインカードを作り、それを遠方に住む親戚や友人に送るという設定で
カードにメッセージを添え、封筒に住所を書きました。
折り紙のハートでは算数(幾何学)と図工、メッセージや宛名書きではライティング、
そしてカードの送り先をトピックにして社会科(地理)のスタンダードを取り入れました。
こちらはランゲージアーツ(国語)の授業に現在と昔の暮らしの違いの比較、社会参加、社会の仕組み等の
社会科のスタンダードを取り入れた授業。
まず、The King’s Breakfastという詩を鑑賞。
VIDEO
バターとママレード、どちらが美味しいかという内容の詩。
なので両方テイスティングをして、どちらが好きか投票して皆の意見を交換しようという内容の授業。
ここで実際にバター作りを体験。
瓶に生クリームを入れて振るとバターができます。
ここで生クリーム(液体)からバター(固体)が出来る様子を観察。
このアクティビティが学生達に大ウケ!
この子達、はしゃぎ過ぎ!!
そして手作りバター、予め私が用意した市販のママレードをパンに塗って試食。
そしてどちらが美味しいか投票、投票結果をグラフにまとめました。
この後、なぜバター、またはママレードに投票したのか意見を述べたり
昔はバターに限らずたくさんの食品を手作りしていたことについてディスカッション。
ランゲージアーツ(国語‐リーディング、スピーキング、リスニング)の授業に
社会(歴史、社会参加、社会の仕組み)、算数(投票数の比較、グラフ作成等)、理科(物質の状態)等、
複数の科目のスタンダードを取り入れました。
ちなみに私が実際にこの授業を教えた時はパン作りもやりました。
子供達を利用して授業をやったこともありました。
息子が小2の時にやった地理のプロジェクトを使用したり・・・
ホワイトボードに貼ってあるのが息子のプロジェクト。物持ちいいでしょ、私?
娘のインスタのストーリーのスクショを使用して多様性についてディスカッションしたり・・・
ここでの娘のつぶやきが親として、そして教育者として衝撃的で、
と同時に大学の授業で使えると思って即、スクショを撮った私。
もちろん、プロジェクトもスクショも子供達の許可を得て講義で使用しました。
学期末のプロジェクトがIntegrated Social Studies Lessonのプレゼン。
最初はどう社会科を他の科目に取り入れたらいいか不安だった学生も、
私の模擬授業がとてもためになったと言ってくれました。
毎回、手を変え品を変え模擬授業をやった甲斐がありました。
学年末の課題として春学期を振り返って、教師の卵としてどう成長したか、
講義や実習を通して何を学んだか、全体的な感想などをまとめたレポートがあったのですが、
そこでもかなりの学生が、私の模擬授業がとても役に立ったと書いてくれました。
その中のペーパーの1つがこれ。赤く囲った所に注目!
要約すると・・・・
このクラスで一番楽しかったのが講義時間内でやったディスカッションとアクティビテイ。
〇〇教授(←私のことね)は私のお気に入りの教授のひとり。
2時間45分の講義は憂鬱だったけど、〇〇教授は楽しい授業にしてくれた。
実習先での体験や小学生に社会の授業をどう教えるかなど素晴らしいディスカッションをしたし
クラスでバターまで作っちゃった!
楽しい時間を過ごせること、有意義なディスカッションがあるとわかっていたから
授業に出るのを心待ちにしていた。
大学講師冥利に尽きるね。
余談になりますが、これは使用しているオンラインプラットフォームのスクショ。
私が大学に通っていた時とは大違い。プリントしたペーパーを教授に手渡ししていたのは遠い昔。
今はオンラインで課題提出&採点。コメントも書き込みます。
右側にスコアとコメントを書き込むスペースがあるのが、おわかりでしょうか?
ここではやらなかったけど、ペーパーの余白にもコメントを入れることもあります。
話を元に戻して・・・
でね、春学期の最後の授業を終え退室する時、かなりの学生が私の所に来て個人的にお礼を言ってくれました。
まあ、これはよくあることなのですが、
Can I give you a thank you hug? (お礼のハグをさせてもらっていいですか?)
と言ってハグの嵐となりました。
こんなお礼状をくれた学生も・・・ 嬉しかったです。
長いブログ記事になってしまいました。
学期末は課題の採点に追われて地獄を見ましたが・・・
課題の採点に追われてます! - サンシャイン通信
本当は前回に引き続き、一時帰国中のマラソンネタ以外でブログをアップするつもりだったのですが・・・・学期末で大学講師の仕事が大変で、ゆっくりブログ更新どころではあ...
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講義内容に関しては学生達の反応が予想以上によく、私も大学講師として成長できたかなって
思った春学期でした。
「今さらですが春学期を振り返って(アラカン大学生活編)」につづく・・・