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とある裁判 その1

2006年10月23日 | Weblog
Wayne Roystonは殺人罪で裁判中の身である。約一年間、殺人を犯したい衝動に駆られ続け、毎日そのことに頭が支配されていた。そして、今年の4月に欲望を抑えることが出来ずに実際に行動へと移した。Bargoed Parkで顔も知らない21歳の男性を38回夢中で刺し続け死に至らしめたのだ。しかし、Roystonは21歳の青年の命を奪ったことを裁判で否定した。

しばらくして裁判に一人の医師が呼ばれた。Sharma医師はRoyston被告のスーパーバイザーであり、彼の治療を担当していた時期があったためだ。

最初に被告が彼の病院へ訪れたのは2003年の10月。診断した結果付けられた病名は強度うつを伴う人格障害であった。

「私が伝えたいのはうつ状態がこのような殺人妄想を引き起こしたのだと考えられることです」

また、彼は「この人格障害が罪の意識を希薄にさせているのは確実です。そして、彼の人格障害は治療出来る状態ではありません」と付け加えた。

裁判官の「彼が殺人を犯すことを予期できたのできたか?」という質問に対して、彼はこう答えました。

「誰かを傷つける可能性は予期できたし、高い確立で罪を犯すと思っていました」

彼は彼なりに懸命に治療を続けていた。被告のうつ症状や不安を薬物治療で軽減させ、フォローアップのカウンセリングも実施していた。しかし、症状は一向に改善されなかった。

「彼に効き目のある薬がなかったのです。私はジアゼパムを彼に処方していました。しかし、これは非常に依存度が高い薬であり、規定量と期間を超えてまで処方することは出来ませんでした」

Sharma医師は2004年の1月にRoyston被告を他の専門家に紹介する決意をした。

(余談ですが、他の医師やセラピストへ紹介することをごく一般的です。3ヶ月位経過して改善が期待できない、他の専門家が良いと判断したときは他の施設への移動を伝えます。しかし、日本の場合はあまりないことかもしれません)

続く

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