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聖教新聞(2015/ 4/19) 親子によせる詩ごころ 詩人・エッセイスト 浜文子さん

2015年07月09日 21時49分59秒 | コラム・ルポ

親子によせる詩(うた)ごころ 詩人・エッセイスト 浜文子

母と娘の関わり④

 私のもとに、50代から70代といった祖父母世代の方たちからお便りが届くことが増えました。
 内容は、それぞれに「老後の暮らしのペースが予想と大きくズレてしまった」という戸惑いを中心に〝孫との対話に気の抜けない疲労〟を書いてこられます。
 育児というのは女性にとって人生の中の一大事業です。そして特に、この年代の女性の方々は、夫の育児への積極的な参加や、家事への協力などはとても望めなかった時代に子育てを頑張った歴史があります。子育てという人生で大きな仕事をなし終えてホッとした充足と、少しばかりの寂しさも抱えながら、自分の「老後」をあれこれ考える年代です。
 体力や気力の衰えも感じます。特に予定や段取りが整わない事柄に対応していく仕事は、疲労もします。そして、その仕事が「子どもの命を預かっている」という状況の中の緊張感も、通奏低音(つうそうていおん)のように常に生活の背景に横たわります。
 最近になって顕著に感得するのは、祖父母世代の方々が、子どもたち(娘や息子)夫婦の離婚にともない、親に代わって育児を任されるケースが増えたということです。
 離婚の原因も、とても現代を反映していて、妻の海外勤務に夫が協力しなかった、妻がインターネットにはまり、子どもはネグレクト、家事も放棄し、ネット依存の治療がうまくいかなかった、無理なローンを組み買い求めたマンションの返済が原因で関係が壊れた、夫や妻の他に好きな人ができた……書き上げると紙幅が足りなくなるような数々の理由が挙げられます。
 夫婦の別離という辛い体験をした子どもたちを、なんとか支えたい、あるいは離婚へと進む前に、若い夫婦に力(ちから)を貸し、なんとかその不幸な流れをくい止める手だてになればと、頑張っている方々も多数います。
 私は、子どもの側(若い夫婦)にも〝親たち(老夫婦)の暮らしを守ってあげる〟という覚悟も技量もほしいところだと思います。
 甘えられるところは甘えさせてもらってもよいと思うものの、何もかも丸抱えで親を当てこんではいけないと。それだと「自分で何かを乗り越え、決断したことの責任をとり自分の人生を拓(ひら)いていく」という力(ちから)は身に付かないと思うからです。祖父母に世話になっている人たちには「いつも感謝の気持ちを忘れずに」と思います。
 この紙面を借りて「孫育て」中の祖父母世代の方々にお伝えしたいことは、「まわりのお母さん方と年齢が違うので心配」とか「今の育児法を知らないので不安」とか「孫がかわいそう」などという悩みを越えて、「よそのママたちの倍の人生経験で向き合ってもらえる孫は幸せ!」と思い、「時代は変わっても、子育てのキホンは決して変わらない!」と信念を持ち、「天からもう一度、子育てを託される体力があることに感謝して歩く」ことだと思います。孫には「お父さん(お母さん)頑張ってるのよ」と子の両親を立てること(悪口を言わないこと)と、とにかく日常の「お手伝い」をよくさせ、褒める時も叱る時も、人生の奥行きを賭けた「本気の言葉で」と思います。

(2015. 4.19. 聖教新聞)


孫育てで少し悩んでいたころ、何度もこのコラムに励まされました。

書籍化はしないのかなぁ。 

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