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聖教新聞(2015/ 6/28) 名字の言

2015年07月21日 23時06分36秒 | コラム・ルポ

聖教新聞(2015/ 6/28) 名字の言

 福岡市博物館の特別展「世界記憶遺産・山本作兵衛の世界~記憶の坑道~」を見た。炭坑の作業風景や生活を描いた、作兵衛の記録画には、人間的なぬくもりがある▼「自分の絵には一つうそがある」「炭坑の中は、あげん明るうはござっせん」。作兵衛は生前、そう語ったという。作品を見ると、照明だけではなく、人々の表情もまた明るい。男性の顔はどれも凜々しく、すすだらけだったはずの女性の顔は、化粧をしたように美しい▼過酷な労働、事故、暴力……。厳しい炭鉱生活の中でも、人々は生き生きと輝いていた。一つ一つの作品から、人間のたくましさが伝わってきた▼「心は工なる画師の如し」と仏典は説く。心は見えない。だが、心は生き方に表れる。どんな境遇にあっても、強く思いを描き、努力を重ねれば、必ず心豊かに人生を生きることができ、価値を創り出すことができるのだ。信仰は、その「心」を磨き、鍛えるためにある▼作兵衛の絵の前に立ち、さらに一つ、思うことがあった。絵に闇が描かれているからこそ、光の部分が映えていた。人間もまた、苦労を経てこそ幸福に輝く。だからこそ、苦難や失敗を恐れず、どこまでも前へ。挑戦を忘れない人生は、名画のような光彩を放つに違いない。(実)


少しでも、一歩でも前へ…。 

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