大阪のまちづくりぶろぐ

大阪でまちづくり活動をおこなっているみなさんの情報発信や交流を行うためのブログです。

大阪市内にある山

2012年09月19日 | その他
 国土交通省国土地理院の電子国土Webシステム上で、「標高がわかるWeb地図」が試験公開されています。

(「標高がわかるWeb地図」HP画面)

 以下のURLでご覧いただけます。
http://saigai.gsi.go.jp/2012demwork/checkheight/index.html このシステムでは、Web地図上の任意の地点にマウスのカーソルを移動し、右ボタンをクリックするだけでその地点の標高値を知ることができます。

 国土地理院HPでは、「津波災害に備えた避難場所の選定、水害時における氾濫地域や水没危険箇所の予測などに役立つ基礎的な情報が容易に得られ、公共機関における防災計画の策定や見直し、ハザードマップの作成や見直しへの活用だけでなく、個人における防災意識の向上に繋がっていくことが期待されます。」と説明されており、防災の観点から有効性の高いデータを簡単に入手することが出来ます。
 もちろん、防災面だけでなく、身近な場所の標高値を単純に知りたいというだけの目的にも使えます。本当に、手軽に調べることができますので、みなさんも一度お試しください。
 また、電子国土Webシステムでは、このほかにも1970年以降の空中写真が時系列的に公開されており、まちづくりを考えていく上でも、非常に有用な情報を得ることが出来ます。

 このシステムを使っているうちに、大阪市内で高いのはどこなのか気になりました。当然、上町台地は高いのですが、それ以外の場所でも山のように、高くなっているところはどこなのか。大阪市内では一般的な山というイメージのものはないですが、山と名付けられている場所は数えるほどですがあります。
 大阪市内には、日本で一番低い山として、「天保山(港区:4.5m)」が有名ですが、これは、国土地理院発行の2万5千分の1地形図に記されている二等三角点がある山の中でという条件がつきます。

(二等三角点がある山の中で日本一低い「天保山」)

 ちなみに、一等三角点がある山の中で、日本で一番低い山は堺市の大浜公園にある「蘇鉄山(堺市堺区:7.0m)」です。

(一等三角点がある山の中で日本一低い「蘇鉄山」)

 どちらの山も、大阪湾を見渡すことができる展望の場として造山されたものですが、現在では、すぐ横を阪神高速湾岸線の高架道路が通り、その沖合はさらに埋め立てが進んでいます。

 そのほかに、国土地理院発行の2万5千分の1地形図に記されている山をあげてみますと、「帝塚山(住吉区:19.9m)」、「聖天山(阿倍野区:14m)」、「御勝山(生野区:14m)」、「茶臼山(天王寺区:26m)」、「昭和山(大正区:33m)」の5つがあります。前記の「天保山」を併せた市内にある6つの山のうち、「昭和山」を除いた5つの山は、「大阪五低山」と呼ばれているそうです。ちなみに大阪冬の陣の真田丸で有名な「真田山」は、「真田山町」という町名はありますが、山名としては表記されていませんでした。

 まずは、上町台地周辺の古墳である4つの山を紹介します。

(周りは市内でも最も高級な住宅地として有名な「帝塚山」)


(山頂が「天下茶屋の聖天さん(海照山正圓寺)」の境内である「聖天山」)


(徳川秀忠が大阪夏の陣の戦勝の宴を催したことからその名がついた「御勝山」)


(天王寺公園内にあり、徳川家康や真田幸村が陣を置いた茶臼山)

 「昭和山」は、貯木場跡地に公園や公共施設等を整備する計画の一環で、大阪万博を控えて急速に進んでいた地下鉄工事の残土により造成された人工の山です。周りは、ツツジが咲き誇る千島公園で、ツツジは大正区の区の花となっています。
 昭和山は確かに他の5つの山よりは高いですが、十分低い山ではあります。また、天保山も江戸時代とは言え、安治川の浚渫工事により出来た人工の山ですので、昭和山も含めて「大阪六低山」と呼んでもいいのではないかと思います。


(千島公園内にあり、ツツジやソテツが植えられている人工の山「昭和山」)

 国土地理院発行の2万5千分の1地形図に山とは記されてはいませんが、市内で最も高い場所としては、花博記念公園鶴見緑地内の「鶴見新山(鶴見区:39m)」があります。この「鶴見新山」は、当時、ゴミ処分地が不足していたため、ゴミと工事残土をサンドイッチ状に重ねて作られた山ですが、今では多くの木が生えており、その形跡は当然ですが感じられません。

(花博記念公園鶴見緑地内にあり、大阪市内最高峰の人工の山「鶴見新山」)

 番外編としまして、「大阪中央体育館(港区:30m)」を紹介します。「大阪中央体育館」は、環境保全と公園敷地の有効利用の目的で、直径110m、高さ30mのメインアリーナをはじめ全施設が地下に設けられ、屋根上部は、起伏と変化に富む緑豊かな公園となっています。これも一つの人工の山と呼んでもいいのではないでしょうか。


(八幡屋公園内にあり、屋根上部が緑豊かな形態の「大阪中央体育館」)

 こうして大阪の山を見てみますと、大自然をめいいっぱい感じることができるというものでもありませんし、眺望という点でも高層ビルには遠く及びませんので、どうしても中途半端な印象です。
 しかしながら、これらの山は市内では貴重な地形の起伏を感じることができる場所であるとともに、いずれも、古墳や戦の陣、人工的な造山といった歴史を感じさせてくれるものでもあります。また、これらの多くは公園の中にありますが、こういった地形であることにより、他の公園とは一味違った変化に富んだ魅力が備わっているものと思います。
 皆さんもぜひ、大阪市内の、プチ登山、プチ縦走に出かけてみてはいかがでしょうか。新しい発見があるかもしれません。 



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