遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

山口永寿作『染付菱型向付』

2022年10月03日 | 古陶磁ー全般

先回に引き続き、作家物の九谷焼です。

2個あります。一個に疵有り。私が金継ぎで修理しました。

菱形辺 11.3㎝x11.5㎝、高台辺 5.8㎝x5.8㎝、高 3.8㎝。明治ー昭和。

非常に鋭い造形の向付けです。外縁は手が切れそうなほど薄く、高台は菱形でギュッと内向きになっています。湾曲した器壁は、古染付を思わせます。

絵付けは、九谷焼には比較的珍しい、染付けです。

モダンな図柄です。一見ぞんざいに見えるダミも、計算されてなされているようです。

 

底銘は「九谷永寿」、九谷陶工、矢口永寿の作です。

初代、矢口永寿は、先回の須田青華と同時代に活躍した陶工です。永寿窯も、青華窯と同じく、現在、4代目が担っています。

矢口永寿の作品には、お茶関係の陶磁器に見るべきものが多いです。今回の品が初代の作かどうかはわかりませんが、懐石用の器であることは確かです。九谷焼は、鮮やかな色絵だけではないのですね。幕末、再興九谷の若杉窯では、染付の磁器が盛んに作られていたのですから、宜なるかな、です(^.^)

 


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4 コメント

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遅生さんへ (Dr.K)
2022-10-03 15:07:56
この器は、かなり、古染付を意識して作られているように感じました。
古染付がいにしえの茶人の特注で作られたように、この器は、近代の茶人からの特注で作られたのでしょうか。そんな匂いを感じますね(^_^)
こうなりますと、古九谷とか再興九谷とか古伊万里とかに囚われず、原点に戻って、直接、古染付を手本とし、そこに近代性を付加していったのでしょうか。
単なる真似ごとではない、創造性を感じますね(^_^)
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Dr.kさんへ (遅生)
2022-10-03 17:44:26
なるほど、古染付ですね。
そういう目でもう一度品物をながめてみると、確かに古染付の匂いがします。
器肌が微妙に波うっています。器壁の厚さも場所によって異なります。
縁は、糸で水平にスパッと切られています。結果、エッジは薄く、菱形の四つ角が鋭くとがっています。虫食いがあれば、古染付ですね。
菱形の高台も良く作ったものだと思います。
しかし、実際に使うとなると、あまり勝手が良くなさそうです(^^;
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遅生さんへ (酒田の人)
2022-10-05 08:58:16
私もドクターさんと同様に見た瞬間に古染付をイメージしました
これで虫食いでもあれば「おっ!古染付」となるんですが、裏面の蓮弁文は伊万里の影響を感じます。
原点は何であれ、これだけの整形がされた品は十分に骨董としての価値と魅力を持っている品なのは間違いないですよね。
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酒田の人さんへ (遅生)
2022-10-05 11:42:13
品物はよく見ないといけませんね。
はじめは、ちょっと凝った懐石皿だなあ、という感じでした。しかも割れやすい(^^;
縁はほんとうに薄く、使っているうちにボロボロ疵がいきそうです。そうなると、まさに、古染付ですね。
金継ぎ直しもせずに、そのままの方がよかったかもしれませんね(^.^)
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