遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

春次作、溜塗桐絵栗吸物盆

2021年10月07日 | 漆器・木製品

今回は、懐石用吸物盆です。

箱には、「春次作 溜塗桐絵栗吸物盆」とあります。

金森春次は尾張の塗師で、蒔絵師山本春正の分家十家の一人です。明治・大正期に活躍し、風雅に富んだ漆器を多く残しています。

箱の中に入っていたのは・・・

 

丸盆、6枚です。本来は10枚組だったのでしょうが、4枚失われています。

径 23.7㎝、高 1.9㎝。明治。

 

全部の盆に、桐が二つ描かれています。金泥と銀泥の中間のような漆絵です。

最初、型摺りの絵かと思ったのですが、桐は筆で描かれています。

 

見れば見るほど、同一の型摺り絵に見えます(^^;

2枚の盆を較べてみましょう。

うーん、この桐の絵、ちがう所は? ・・・・・

ありました!◯◯◯◯。

では、もう一方の桐絵は・・・

これはもう、今はやりの間違いさがしですね。

絵師は、遊びで、小さな差異を仕掛けたのでしょうか(^.^)

 

さて、原点に戻って、この盆の塗りはというと、

栗材の木地を生かした塗り方です。木目の凸凹が残っています。

溜塗は、生地の上に赤系統の塗り(弁柄、朱漆など)を施した上に、透明な漆(透漆)を塗ったものです。ですから、透明感のある赤色が特徴です。

今回の品は、そのような一般的な溜塗とは少し異なり、透き漆塗りは最小限にとどめて、栗の木肌を全面に出しています。

裏側も栗の味わいが生きています。

そして、中央には大きく黒の真塗りが。

隠れた所に渋い味わい。

なかなかにニクイ演出ですね(^.^)

 


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
遅生さんへ (Dr.K)
2021-10-07 15:22:39
間違い探し、分かりました(^-^*)
最初の2枚の盆較べの右側の盆のみ、「四四」の桐ではなく「四三」の桐になっていますね。

ホント、裏側の中央の大きな黒の部分を、こんなに立派に塗りで仕上げる必要はないですよね。
裏側で、誰も見もしないんですものね。
江戸の粋のようなものが、まだ、残っている感じですね(^-^*)

あの~、余計なことですが、最初の文章に「吹物盆」とありますが、「吸物盆」ですよね、、、。
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遅生さん、こんばんわ (たか)
2021-10-07 17:27:40
腕のある職人さんは見えない所も気を抜かないのですね。
これぞ職人魂でしょうか。
これも品のある素敵な盆ですねぇ。
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Dr.kさんへ (遅生)
2021-10-07 18:14:36
随所に、遊びというか洒落が感じられ、お主やるなの類です(^.^)
大人の品ですね。

吹は早速訂正しました。
考えてみれば、反対の意味なのに、吹、吸、どちらも「すい」なのですね(^^;
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たかさんへ (遅生)
2021-10-07 18:21:54
お眼鏡にかなって、うれしいです。
吸物盆というからには、吸い物をのせるのだと思いますが、使い方がよくわかりません。
多分、給仕をするための盆ではなく、配膳の一部にするのだと思います。
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