突然ですが、金工の品物です。
燭台とセットで使う芯切りと芯入れです。
芯入:最大径 5.2cm(把手状の鉤部含まず)、高 7.1㎝。重 206g。蓋:最大径 4.2㎝、重 24g。
芯切り:長 10.6㎝、幅 3.1㎝。重 25g。 江戸時代後期。
以前、古伊万里コレクターDr.Kさんが染付山水紋灰吹きを紹介されていました。それに対して、この品は、芯入れではないか、とのコメントが寄せられました。
故玩館には、陶磁器の芯入れはありませんが、銅器ならと探しだしたのが今回の品です。
江戸時代、燭台に和ろうそくを燈す場合、熱で蝋が融けて芯がどんどん長くなり、燃えすぎるため、適宜、芯を切って、長さを調節する必要がありました。そこで使われたのが、芯切りと芯入れです。
別府細工は、江戸時代後期、美濃国別府村(現在のJr東海道線穂積駅付近)で、広瀬清八、茂十郎親子によって、30年ほどの短期間だけ作られた蝋型銅器です。唐子や唐人がモチーフとなった燭台や水滴など、エキゾチックな品々が作られ、全国に行きわたりました。この場所は当時一寒村にすぎず、どうしてこのような品が造られたのか、大きな謎です。現存する品は限られていて、骨董市場では良い(良すぎる(^^;)値がつきます。特に地元には熱狂的なコレクターがいて、地元高の品の代表になります(^^;
そんなわけで、故玩館の近隣ではありますが、ビンボーコレクターとしては、小品をぼつぼつと(^.^)
今回の品は、大きさからして、50cm超の大型燭台の付属品でしょう。そんな途方もない本体にはとても手が出ませんから、はぐれた物でも、と勇んで求めた品です(^^;
砂金袋でしょうか。蝋型銅器特有の肌が魅力的です。
所々に孔が開いていますが、破れ袋を意識して、人為的に作られたものでしょう。
紐の装飾は、別府細工にしばしば見られる装飾です。
よく見ると中央に龍の模様が施されています。
顔のまん中に丸い目が一つと、唇がめくれ上がった龍は、別府細工に時々見られます。
蓋にも龍のような模様があります。
蓋の摘みは紐つくりです。
芯切りは鋳造ではなく、真鍮の板で出来ています。何の変哲もない芯切り鋏ですが、柄に丸い凸装飾が施されています。
芯入れは底が平らでなく、床に置いた時安定していません。平らな所に置くようにはなっていません。別府細工の燭台は、梯子や網干をモチーフとした物が多いので、そこへ芯入れの鉤部を引っ掛けておくようになっていたと思います。また、大型燭台の途中にはフックがついていて、芯切はそれに掛けておいたのでしょう。
どこかにあるであろう名品、大型別府細工燭台を想像しながら、掌の上で小さな品を弄んでみました。
蝋型銅器の質感は、何とも言えません(^.^)
別府細工には、唐子の水滴などかわい品があります。また、いずれブログで紹介します。
説明がわかり易く、イメージしやすかったのでとても納得がいきました。細工が細かいですね。
底が丸いのが可愛らしさを添えています。デザインが今でも何かに使えそうです。
若い女の子が「かわいーっ」と手に取りそうですね。
ガラクタ集めは、ゴミ集め(^^;
ある時代をさかいに不用品となったんでしょうが
確かに日用品であるが故に残らない訳ですよね。
戦時中の金物供出なんてのも影響しているんでしょうか・・・。
伊万里の品も穴場ですね(^.^^)
別府細工の方は、最近は、すっかりメジャーになってしまい、手が届きません。下手をすると、偽物を掴みかねません(^^;
それに関しまして、少し前の5月16日に、或る方から、「これは『芯入れ』ではないでしょうか」とのコメントが寄せられたわけですよね。
私は、『芯入れ』など見たこともないものですから、なるほどな~と思っていたところですが、さっそくそれに関連して、本物の『芯入れ』を探し出してきてくれたんですね(^^)
故玩館にはいろんなものが揃っていますね(*^-^*)
『芯切り』と『芯入れ』は燭台とセットになっていたんですね。
この『芯切り』と『芯入れ』は由緒正しいものですし、立派なものですね。
これに見合う、大型別府細工燭台が見つかる可能性はありますね。しかも、地元以外の方は良く知りませんから、ネットなどで、案外、安く見つかるかもしれませんね(*^-^*)
立派な『芯切り』と『芯入れ』を見せていただきありがとうございました(*^-^*)
*この記事の本文の3行目に「芯切り」とありますが、これは「芯入れ」ですよね。