遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

黄瀬戸は青磁から?

2019年04月07日 | 古陶磁ー全般
いつのまにやら桜の季節です。

故玩館横、堤の桜も満開です。





昨今は、ビニールシート敷いて、どんちゃん騒ぎする人、皆無です。
ポツポツ人が通り過ぎるだけ。



薄ピンクの中に、緑のボールを発見。宿り木です。
茫洋とした桜景色が締まって見えます。




唐物青磁茶碗?

ご覧のような青磁の茶碗です。






大傷物です。

唐物でしょうか、それとも高麗青磁?




貫ニュウの入り具合や高台の砂からすると、高麗でしょうか。

鉄分が非常に多く、堅く焼き締まっている土からすると中国の品にも見えます。
それに、紫口鉄足と言えないこともない。
雨過天晴は無理にしても、雨過薄曇くらいなら許される?

いずれにしても、大陸、半島経由の品でしょう。





茶をいれても、結構、様になります。
飲みやすさも、なかなかのもの。





高麗青磁茶碗

高麗青磁の茶碗です。







釉色からすると、高麗後期~李朝初期の品でしょう
大変薄造りです。

青よりも黄色がかっています。
これでも、青磁?
米色青磁と言うんだそうです。

大振りですが、茶を入れて飲むにも適しています。




黄瀬戸は青磁から?

この2つの茶碗と「伯庵手?黄瀬戸茶碗」を並べてみます。






黄瀬戸は、謎にみちた焼き物です。
どうやって、黄瀬戸が焼かれたのかもよくわかっていません。

こうやって並べてみると、黄瀬戸のルーツ、諸説ありますが、
「黄瀬戸は、日本で青磁を焼こうとして、偶然に出来た」
と思えるのです。


コピー品の黄瀬戸茶碗

そうそう、黄瀬戸茶碗のコピー品がありました。




豪華な釉垂れ、それなりの雰囲気はあります。
ただ、見込みの茶だまりは、造りが中途半端。




釉薬の掛け方などは、室町時代の灰釉茶碗をよく真似ています。
小さな石がはずれた跡もあります(人為的?)。

高台は削り出し、しかも三日月高台ではありませんか。
さらに、高台内には、シッピキ跡まで。
多分、櫛で引っ掻いたのでしょう。削り出し高台にそんなものあるはずないでしょ(笑)。
そこまで過剰に演出するなら、竹の節高台にしておけばよかったのに。






「伯庵手?黄瀬戸茶碗」(右)と較べてみると、こんなにも違います。
やはり、コピー品の演出は過剰ですね。
それに、全体としてキレイすぎる。

最後の決め手は、やはり、用。
使ってみると違いは歴然です。

本物は使うために作られています。
コピー品は、見かけがよければそれでいい。

それぞれの茶碗で、お茶をのんでみます。
手取り、口当たりなど、言葉ではなかなか表現しづらいですが、使うために造られているかどうかが、はっきりとわかります。

骨董市には、精巧なコピー品があふれています。兎が走り、見込みに花弁の立派なそばチョコも、コーヒーやお茶を飲んでみれば、すぐにアウトと判断できます(買ってしまった後では遅い(苦笑))。


コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする