真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

弟子が語る冒険家の最後 『最後の冒険家』

2008-11-28 | 読書-2008
shueisha/tameshiyomi/『最後の冒険家』
石川直樹2008年11月
サブタイトル‘太平洋に消えた神田道夫’は残したほうが良かったと思うな。

shueisha/20nen/「第六回開高健ノンフィクション賞」

読みやすく、すいすい行ける。熱気球の歴史と現状なども、よくまとまっていて理解しやすい。気球のフライトの段取りや問題点なども、簡にして要を得た説明。
思うに、優れた冒険家はプレゼンが上手でないとね
スポンサーに企画を売り込まないといかんわけやし。

読み始めてすぐに思い浮かべたのは、「白石康次郎が語る師匠多田雄幸」。
http://www.kojiro.jp/life/index.html

冒険家の弟子が、今は亡き冒険の師匠との日々を語る。
師匠はアマチュアを貫いた人。

対照的なのはね:
多田さんは、生業が風来坊的(個人タクシー=流すし、乗客の注文でどこへ行くかわからない)で、趣味の冒険が決められた地点を目指す(外洋ヨットレース)。
神田さんは、生業が枠にきっちり(町役場職員、最後は学校給食センターの所長)で、冒険の方は、風任せの要素強いでしょ(熱気球)、
なんちゃって。

だーれかご両人の対談を企画するゴはいねえがぁ?

fujinon/2004年1月の神田・石川組の挑戦
(金華山沖1,500kmの太平洋に着水し、からくも救助される)

nyk.com/news/2007/1119/“NYK STARLIGHT” 乗組員に紅綬褒章 北太平洋で熱気球乗組員救助

kaiho.mlit/jasrep/船位通報制度活用事例
「海上保安庁から付近を航行中の船舶に救助要請」ってヤツね。

2008年の最後のフライトまでの間にこれが入る:中止になった2007年の計画
機関士予定だった冒険家は命拾いだな。
「熱気球による太平洋横断」はやはり延期(2007年1月)

2004年に救助してくれたNYKのコンテナ船に敬意を表して、2008年の大型熱気球に「スターライト」と命名した神田。関係者の懸念の中、単独で夜明け前の空へ…
太平洋横断熱気球、スターライト。神田道夫さん消息を絶つ。 2008年2月
籐籠で単独で、というのは無茶だったと思うけど。

表紙の奇妙な写真は、2004年に北太平洋に着水して放棄せざるを得なかった「天の川2号」のゴンドラ~つまり、石川氏がこれで神田氏と一緒に九死に一生を得た。ビルの給水タンクに枠をあてたもの。
なんと、2008年夏、トカラ列島の悪石島に流れ着いたとの連絡が入り、現地に急行した著者が撮影したらしい。鹿児島から船で11時間...
ヤギ(裏表紙)と一緒に写っているのが良いね。

2004年ゴンドラの漂着・再会がなくても著者はこの本を書いただろうが、悪石島での再会がインパクトを強いものにしたと思う。
これがなかったとしたら、表紙はやはりテイクオフの写真か何かになるところかな。

悪石島、聞いたことあるじゃん!http://www1.tokara.jp/contents/profile/akuseki.html
10/14で少しだけ触れたトカラ列島皆既日食の話にもきちんと言及。よしよし。
本書中の「完全な皆既日食」は重複だわね(笑)。

jballoon/history2日本気球連盟の歴史(1969~1996)
梅棹エリオ著「熱気球イカロス5号」は一世を風靡したね。
あの本を読んで「気球をやろう!」と思った人多数。
その一例:yomiuri/tochigi/渡良瀬遊水地
少年少女日本文学館 ノンフィクション名作選(1988)にも収録されていた

よく憶えていない(記憶が窯変?)のだが「ハーマンネルソンの熱風送風機を借りられた」というくだりを妙に憶えているな。気球を立ち上げる前の段階で使うんだとか何とか。今の気球はそんなの不要なのね。見よう見まねの日本第1号に敬意!
父上(梅棹忠夫氏)の先輩の西堀栄三郎さんたちが南極で使ったヤツを借りることができて云々、という話ではなかったか。
http://www.herman-nelson.com/index.cfm
なるほど、極地等でも重宝されています、と。

あれま。
http://blog.livedoor.jp/kaya0169/archives/51090864.html

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