真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

先任将校 : 軍艦名取短艇隊帰投せり 松永市郎 1984.5 前編(分けることにした)

2023-09-21 | 読書-歴史
M030 松永市郎

松永市郎 - Wikipedia
松永市郎(まつなが いちろう、1919年(大正8年)2月18日 - 2005年(平成17年)3月31日)は、日本の軍人。元海軍大尉。作家。
父は海軍中将松永貞市、子にiモード開発者の松永真理がいる。

海兵68期 松永市郎氏の部屋

サンタおじいさんからの贈り物-巡洋艦名取 短艇隊

サンタおじいさんからの贈り物-巡洋艦名取 短艇隊

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名作戦記ということで、文庫化され、さらに新装版だのと何度も版を重ねてきたものらしい。
図書館が除籍廃棄した昭和59年刊行の単行本を入手。
いやもう驚いた。

光人社NF文庫
先任将校―軍艦名取短艇隊帰投せり (新装版)

フィリピン沖三百マイルの太平洋上で、敵潜水艦の魚雷攻撃を受けて乗艦沈没の憂き目にあった軍艦名取短艇隊百九十五名の生還の記録。食糧も、真水もなく、航海用具も持たず...

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広い意味では漂流記なのだが、定員45人のカッター3隻に195人だかを詰め込んで、ろくに食料も水も航海計器もない中、被撃沈地点からフィリピンまでの300海里を毎晩オール1本に2人ずつ取りついて漕いで進んだ、漂流を拒否して陸地まで漕いだ櫂走/漕走記なのだった。(昼間は暑くて消耗するばかりなので、申し訳ばかりの手製の帆で帆走。毎晩10時間こぐことにして12夜。)

艦長と副長は沈没時に戦死してしまったので、生存者中の先任将校となった26歳の航海長(大尉)が指揮官に。
26歳だったり27歳だったりする?途中で誕生日来た?
通信長だった大尉の著者(海兵68期で小林大尉の3期下)がナンバー2の次席将校だった。

晩年の松永翁へのインタビューを中心に(+適宜本書からの抜粋)記述された神立 尚紀さんの記事~要点が過不足なく書かれている。

撃沈された軍艦から大海に放り出された乗組員たち「奇跡の生還劇」!(神立 尚紀) @gendai_biz

第二次大戦中、太平洋上で米潜水艦の魚雷攻撃で撃沈された日本の軍艦から、約200人の乗組員が大海原へ放り出された。彼らは、カッターと呼ばれる小さな木造ボート3隻に分乗...

現代ビジネス

 

〇防衛省防衛研究所に残る『軍艦名取戦闘詳報』によると、生存者は准士官以上22名、下士官兵169名(うち傭人2名)、戦傷者下士官兵2名、とある。
〇松永ら士官のうち6名は、海軍省からの帰還命令によりフィリピンを脱出したが、残る187名の隊員の大半は現地に残されたまま陸戦隊に組み入れられ、ほどなく米軍の大攻略部隊の上陸を迎える。そして慣れない陸上戦闘の末、そのほとんどが戦死した。
〇内火艇やゴムボートで脱出し、短艇隊とはぐれて漂流した乗組員の多くは、フィリピン攻略に向かう米艦艇に救助され、捕虜となった。捕虜となったのは、ゴムボートの3名と、内火艇の41名である。ゴムボートは14日間、内火艇は26日間にわたって漂流を続け、その間に死亡した者も15名におよんだという。
〇自力で陸岸にたどり着きながら、そのほとんどが日本に還ることなく、フィリピンで戦死した短艇隊と、米軍捕虜になって米本土やニュージーランドの収容所に送られて、戦後、生還した者たち。

巻頭の「序に代へて」が阿川弘之さん(海軍関係の本にはお願いしないといけない陰のルールでもあったのか…冗談)
巻末の解説は海兵68期の同期、豊田穣さん~名取の内火艇で捕虜になった中の数名が米マッコイ・キャンプに送られ、豊田、酒巻(捕虜第1号=甲標的が2人乗り*5艇なのに十軍神でなく「九軍神」のワケのヒト)らに迎えられる。
豊田穣『長良川』 (その2/2) - 真似屋南面堂はね~述而不作
戦時中、「捕虜第一号」となってしまった男が、米国でおくった「意外すぎる生活」(神立 尚紀) @moneygendai

後編に続く

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