季節の中で 暮らしの中で -Through the seasons and daily life-

現代の都会でプチ昔&田舎暮らし
-old & country style in modern urban life

熊楠に会いに東京へ

2018-02-23 20:13:49 | Ethnology  民族学
満を持して東京ミュージアム巡りの旅へ。
久しぶりの新幹線のぞみ。
やっぱり富士山はうつくしかった。

       

品川で降りて自由が丘へ。
MBTと言う靴をメインに取り扱っている友人のお店にちょっと寄る。
久しぶりに会います。元気そう。
靴だけでなくて、彼女が自信を持ってお勧めしたい小物や行動食も取り扱ってます。
私は手袋と靴下をいくつか分けて貰った。
MBTいくつか持ってるので、意識的にもっと履いてみようかと思う。

そしてひとつ目のミュージアム。
岩立フォークテキスタイルミュージアムへ。

       

もう一つ予定してるリクシルギャラリーとリンクしている展示。
衣の原点、南太平洋諸島の樹皮布、編み布など。

       

パプアニューギニアをはじめとする南太平洋は気候が一年中温暖なので、あまり衣服を必要としていません。
特にタパは儀礼の時に身に着ける飾りとして、またはお嫁入りなどの時に財産として持参する事を目的として作られているようです。
木の皮を剥いて硬い表皮を貝で削いで、内側の白い部分を叩いて伸ばしたものに顔料で模様を描いています。
まとう様子はどう見ても着心地は良くなさそう。だけどかっこいい。

それと今度はヤシの葉の繊維を細く裂いて績んで糸にしたものを手で編んで行って布にしたもの。
それは細かくて滑らかで、本当に手で編んだだけとは信じがたい質感でした。息をのむよう。
チラシの写真がそれです。これはまさに財産として扱われていたらしい。わかる。

丁寧な説明も聞けてためになった。
いくら着方や製法がプリミティブ(原始的)でもこれが発達以前のものだと言う事はできないと思った。
長い歴史の中で、洗練され専門家によってしか作られない特別なテキスタイルだと言えると思う。

このタパに出来る木はクワ科の木だけだそう。イチヂクの木もそうらしい。
それで蚕の事を思いだして、桑の葉だけ食べるなと。
これは私の考えだけど、クワの木ってやっぱり繊維になるのにふさわしいもので出来てるんだろうなと。
タパを良く観たらただの樹皮の伸ばしたものでなくて、斜めに細い繊維が重なってまるで織られたかのような構造になっている。
木そのものが特別に人に与えられた神様からの贈り物だったのだなと。
あ、オシラさまの事を思いだしちゃった。そうだった。神様がくれたのだった。わー、ぞくぞくするな。世界って繋がってる。

自由が丘はおしゃれな街だけど、そこにあるビルのひとつをエレベーターで上がって行ったらそこにタパがあって、コテカもあると言う。
それが不思議な体験だなと思う。
わざわざ大阪からそれを目指して行く私も私。

午後は上野に行ってもう一つの目的地「国立科学博物館」
外に大きなクジラのモニュメント。

       

威厳のある建物。

       

お目当てはこれ。南方熊楠の展示。

       

前に来たのは随分と昔の事。展示の様子も変わっている。
日本館と言うところをまずはじっくりと観る。
こういうところだと一番上からだんだんに降りてくるのが私の観方。
展示が美しくわかりやすく面白い。
引きこまれる心が踊る、体まで熱くなってくる。ワクワクしながらたくさんの展示を観る。
1階観終わるごとに階段で降りる。見上げると、なんと美しい!博物館でありながら芸術を感じることが出来る。

       

大理石の素敵な空間。そこここにソファも置いてあって、みんなゆるりとしながらじっくり展示を観ている。
ここは空気そのものがアカデミック。
アカデミックを呼吸しながら部屋を廻って行く。

       

一通りの展示を観て思ったのは「日本って素晴らしい所だな」と。その自然の豊かさ、気候の豊かさ。
鉱物、植物、動物、微生物、そして人間まで。ありとあらゆる日本に生きる物たちの事を観たり知ったりできます。
これは日本中の人たち、子どもたち。そして外国から来た人も観るべきだなと。
私もまた東京に来た時には何度でも行くべきだなと。

そして1階の熊楠の展示へ。
随分昔から熊楠ファンなので、こんな晴れ舞台に熊楠が取り上げられてるのがとにかく嬉しい。
たくさんの人たちが観に来ているのも嬉しい。

特に興味を引いたのは「菌類図譜」。
なんと4800種類の菌類を図と標本と説明でまとめてあります。

しかもそれがけっこう大まかな絵だったり、情報が足りなかったり。いろいろ。
公に発表する事もなかったもの。
どうしてそんなものを作ったのかと言う理由が
「疳癪を押さえるため」だそう。大好きな菌類の標本を作ってまとめていたら、持病の疳癪が抑えられるのだと。
それで淡々とそれに取り組んだと。
そこが私がやっている仕事と関係あるなと思って印象的だった。

ミュージアムトークには会場に入りきれないくらいの人が参加して。
気の合う人たちとも出会って。
ほんとに楽しい。

隣の地球館も走るようにして観て。それでも夜になっても全部は観れなかった。
半日ずっと居たけれど、ここのカフェや休憩所はお手頃で素敵で落ち着くし、ミュージアムショップも充実してるし。
コインロッカーなども使いやすいから長時間居てもあまり疲れない。
住むように展示をじっくりと観れるなと思う。
また来よう。次を楽しみにしよう。













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