地理人レポート

展示や新グッズ作りに向けたコラボレポートと、空想地図&地図グッズ紹介をお届けします。

<コラボレポ>時代とデザインの変化を読み取り、百貨店の包装紙を空想する

2020年05月20日 | コラボレポート
こんにちは、地理人です。

空想地図で描かれている中村市を、あらゆるクリエイターによって再現するコラボ企画。鉄道車両、コンビニ店内音楽に続く続いてのコラボは……

百貨店です。

今回、ホンダノホンダナさんのデザインで、中村市の百貨店の包装紙を再現します。ホンダノホンダナさん、包装紙や紙袋等、ゴミとして捨てられることもあるものの、とても凝ったデザインのものもある、ゴミのようでゴミでないものに着目し、ZINEを作っています。マニアフェスタBOOTHその他のイベントで発売中です。

そんなホンダさんの趣味活動ですが、本職はデザイナーで、そのインプットのためにも始めたのだとか。

実は私、百貨店をはじめとした大型商業施設好きで、全国の百貨店はほとんど行ったかと思います。商業施設マニアって、いそうであんまりいないんですよね。

ホンダさんに包装紙作ってもらう前に、やっつけで作ったロゴを整えておこう…と思いつつ、ちょうど良いことに、中村市の空想地図は過去最大級の大幅な修正をしておりました(一昨日終了)。
この機会に、店名やロゴも一部修正しています。

市内に百貨店が4店ありますが、うち2店は店名やロゴが変わります。

旭丸(中心部の平川に立地)
浅岡屋→太田屋(中村駅前に立地)
森橋(旭田に立地)
中電百貨店→中電フィリオ(平川駅前に立地)※百貨店から専門店ビルへ



百貨店ロゴの変更秘話

3店とも地方百貨店ではなく全国チェーンのつもりでした。しかし問題は旭丸。元のデザインがどこか垢抜けず、地方百貨店っぽい…いつか変えようと密かに思っていたのです。

上のロゴ変更画像を見ていただけると分かりますが、元の雰囲気を変えず、多少スマートにしております。

次に、中村駅前の浅岡屋は、ロゴだけでなく店名そのものが変わっています。
浅岡屋、時々ファンがいたんですが、青いAで旭丸と被る…というかあさひまるあさおかや、って語感が似てもいました。似すぎる大手が共存することってなかなかないので、少々外そう…ということで、浅岡屋には太田屋になっていただきました。

旭丸ファンとか聞いたことないのでそっちが譲れよという話もあるかもしれません。いや、それは大いに検討しました。どう…にもうまい名称が浮かばず、浅岡屋のほうに引き下がってもらいました。スンマセン(誰に)

これは本題じゃありません。本題はここからです。

リアル百貨店の包装紙から、空想百貨店の包装紙を解く

さて、ホンダさんから突如、「百貨店の包装紙」の資料が送られてきます。
こんな資料があるのか…と思ったら、なんとホンダさん作。なんて下準備のよろしい…



こうして見ると、案外意味の類推できない、シンプルな幾何学模様が多いことに気づきます。大手はシンプルで堅く、地方百貨店はちょっと自由でデザインの幅も広め…なのは、大手銀行/地方銀行の違いと通じるものがあります。

なるほど、そうなるとシンプルな幾何学模様を考えてみたくなりますね。
続いて今回の旭丸の包装紙の方向性についても資料を作っていただきまして。


(プロって頼もしいなぁ…)

おっと吐息が漏れました。右上が1960年代、左下が1980年代、右下が2000年代。
1960年代はイラストや模様も自由です。自由で楽しそうだけど、なかなかテーマを絞り込めず、0→1を作るのは逆に難しそうです。2000年代はシンプルに削ぎ落としていく現代のデザイン。まず最初にどこに手をつけるのか、ですが、その両者の間となる、1980年代の包装紙から着手することにしました。丸善ってこんな包装紙あったのか…しっかし色がキレイだ…。

ホンダさんの推測によると、1980年代まで、筆文字の旭を○が囲む古風なロゴだったのだそうな。なるほど、大丸も一部店舗では大を○が囲むロゴが残っていたり、今でも三越は○越だったりしますが、このタイプでしょう。(写真は下関大丸、松山三越)



それにしても極度にハネて、強めの文字の多いこと。なんででしょうね、とホンダさんと話していたのですが、その謎はあとで解けます。

しかし問題は、このロゴはPCのフォントでは作れないということ。
試しに○の中に旭の文字を入れてみましょう。



うーむ。楷書体、勘亭流、ひげ文字のフォントで作ってみても…かなり「パソコンで作ったな」感が出ます。このままではうまくいくまい…。

手書きでないと書けない「大入文字」に迫る

そこで、硯コレクターでもあり、ときに書道講師、マニアフェスタでは書道マニアとして出店する丸山曄涯さんに書いていただくこととしました。コラボに次ぐコラボです。

丸山さんによると、こうした百貨店のロゴは大入文字(おおいりもじ)と言って、大相撲や歌舞伎で使われる文字です。枠いっぱいに、隙間なく文字を埋める大入文字は、千客万来を招く縁起の良い文字でもあります。当時の百貨店はこの演技の良さを取り入れたのでしょう。百貨店にとっても千客万来は縁起の良いことです。そう言われるとなるほど、抑揚のある強めな文字で、○いっぱいに埋めてくるあの文字になるのも納得ですし、旭丸さんもそうするでしょう。

そこで、丸山さんにあらゆる「旭」を書いていただきます。


これはパソコンで出せないし、自分では書けない…
遠慮がちに無理を言って、さらに何種類も「旭」を書いていただき…
その後、ベスト文字を書いていただけたので、少々こちらで整えて、この形に収めました。旭の字のうち、ノの部分と乙の部分にハネがあり、ささくれたヒゲのようになっていますが、その個数はそれぞれ3、8と縁起の良い数にしております。

1980年代の包装紙案、現る

さて、これを受けて、このロゴが入った包装紙の案が4つ、各2色で合計8パターンできてきます。おおお…!

こちらがA案。
なんかどこかで見た模様…いやいや、旭丸のロゴに登場する葉っぱをモチーフに、6枚並べて花びらのようにも見えるもの、ですね。なるほど、青も赤も良いですね。A〜Dのどれかで迷う前に、Aは2色で迷う…

次いでB案。
波打つ規則的な模様に星の輝き。右のカラー版は昔っぽさを感じつつ、左の青版は今でもいけそうな色合いですが、なんだろう、洋菓子屋さん寄り…?(って、何が「洋菓子屋」を思わせるのか分からないまま言っているので、何がそう思わせるのか追って考えたいと思います)

続いてC案。
こちらも波打ってはいるけど、長方形に近い形で、交差部分のみ波打つパターンです。これも右は時代を感じますが、左は今の時代でも使えそう。これは角丸の角度や模様の太さ(細さ)のバリエーションも見てみたいところです。


最後にD案。
おお、完成されている…一番推したくもあるが、しかし西武百貨店感もある…(既存の元ネタがわかりやすいものよりは、「元ネタがわからないが百貨店らしい、ありそう」を狙う側からすると、西武っぽいと言われると悔しいところ)
でも完成度が高い。

いやはや迷う・・・ひぃ〜今日のところは決められなさそうだ・・・

しかし絞らなきゃ次に進まぬので、少し反応を見つつ、言語化できていない部分は言語化して考えつつ、絞り込み、話し合い、次へ進めたいと思います。
楽しみです。(お楽しみに〜)

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1 コメント

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Unknown (とおりすがり)
2020-05-25 18:08:13
包装紙ってCMYK印刷ではなく、特色を1~2色使って、紙の質感と濃淡や重ね方により特徴を出しているものが多いんじゃないでしょうか。
そうすると多少くすんだ感じにはなりますが、コストを抑えられます。
例えば臙脂色と真鍮色なら、2色でも落ち着いていながら豪華な印象を与えられます。
また、これは個人的な意見ですが、インク色が少なければ版ズレも味になると思っています。
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