地理人レポート

展示や新グッズ作りに向けたコラボレポートと、空想地図&地図グッズ紹介をお届けします。

干支を空想地図にしてみると・・・

2020年07月31日 | グッズトーク
さて、7月も終わりです。
7月も終わりなのに梅雨は終わらない…(西日本は明けたみたいですが)
なんてことだ…

そして、今回の空想地図ポストカードセット…

禁止…ですって?

ひょっとして…
こいつではなかろうか…

と思いましたがそうではなく、最後の価格内訳が間違ってるという凡ミスでした。修正しましたのでお買い求めいただけます。

それでは後半5枚をご紹介します。

2014…午「馬をめぐる4ヶ国」
この1年で海外渡航を増やし、2013年中は台湾、フィリピン、インドネシアへと向かいます。それまで韓国は何度か渡航してたので、こちらの地図では左下が日本風、左上が韓国風、右上が台湾風、右下がインドネシア風の町並みです。日本風のところにうま、台湾風のところに馬の字が隠れています。韓国風のところに말(韓国語で馬の意)、インドネシア風のところにkuda(インドネシア語で馬の意)の字が隠れてはいますが、わからんよなぁと思って強調はしていません。

馬の形をしたところが何かしらの立入禁止区域になっていて、各国(風の地域)は白色の点線で区切られています。日本風の地域は戸建て住宅が広がる新興住宅地、韓国風の地域は高層アパート(日本で言うマンション)が並ぶ住宅地、台湾風の地域は1Fは商店で2F以上に住宅がある狭小雑居ビルが密集する様子、インドネシア風の地域は、小さな住宅が密集し、無計画な道路網入り交じる様子を描いています。その地域ならではの風景を、地図の道路網だけで描くのは、空想地図作りでいつもやっていることですが、国の違いは、より際立った描き分けができます。

2015…未「櫃地島」
この年は、地図上に描かれる地域というよりは、地図表現、デザインの試行錯誤を始めます。古地図に描かれるような水域(海、海岸線)の水色のグラデーションや山のモコモコ感を表現してみようと思うに至ります。

山のモコモコ感というよりは、羊の毛のモコモコ感をも、地図でどう表現できるか、絵心ないなりに再現を試みております。

2017…酉「酉島」
このあたりから制作時間を大幅に短縮…というのも、「もう今年はやめよう」と思いつつ慌てて作ったものです。これまでの年賀状でもそうですが、くちばし→朽橋、等、体の部位に似た地名を入れ、問題は透明感のある羽をどう描くか、でした。

環礁(サンゴ礁の堆積で周囲が小さな陸地が囲み、中央は浅い海)のように描きました。実際、陸地に近いところで環礁が見られることはありません。実際にあれば観光スポットになっていたことでしょう・・・

2018…戌「戌島」
島と島をつなぐ1年…の私信が綴られていますが(年賀状なので)、地図地理やデザイン、アート、その他各種課題解決等、各領域を横断して活動していた蓄積を次に活かせないか、いや、活かそう…という意志の表明です。まぁゆるやかになんですが。

クオリティ的にはやはり急速に作ったものなんですが、意外と緑色の、3Dの陰影を山を描く…のは初めてでした。戌の字の右下部分、細長い人口の陸地と、港の波除のコンクリートは、なーんでまたこんな場所に作られたんだ…という感じですが、実際こんな妙な場所があったら行ってみたくはあります。

2020…子「根積諸島」
最後に直近のものです。問題のネズミです。どうしても動物のネズミと、こうして今ブログを書く際に傍らにあるマウスが連想されるもので、ねずみのしっぽとマウスのコード(今うちにあるマウスはワイヤレスだけど)が頭の中でつながりました。その二島をつなぐ橋が、なぜこんなにぐにゃりと曲がるのかは謎ですが。

古風な島は口のあたりに小さな集落があり、そこ以外は山林に覆われてそうです。左耳と右耳のあたりの湖は目立ちますが、左耳のところは観光開発されているのか、湖畔に大きな建物があります。一方マウスな島は工業団地になっているのか、全体的に大きな建物が密集しています。


ポストカード…として使わなくても、壁や机を彩る地図としても、おひとつどうぞ〜。

干支を空想地図にしてみたら?

2020年07月30日 | グッズトーク
お久しぶりです。
さて、梅雨も開けない7月末…ですね〜。

久しぶりの新作グッズのお話です。2月にマニアフェスタで密かに売り始めたんですが、
それから色々(コロナとか展示とか)あり、時ばかりが経ってしまいました・・・ネットショップでもご用意致します。

それは…

夏のいま、最も遠い季節である冬の…
年賀状

年末になると慌てて「ひぇー年賀所作らねば…」とせっせこ作っていたものです。近年は「今年はやめよう」と思いつつ、年賀状が届いてしまう圧に負けて結局作ったりしています。

毎年ではないんですが、多くの年で作られていたのが…空想地図年賀状。これを10年分、セットにしてみました。

さて、このポストカードセット、1つ欠点があります。
紙がつや消しで、書きにくい…!
(ポ、ポストカードなのに…)

いやはや、見た目の美しさを取ってしまいました。
油性ボールペンであれば書けますので、実際にポストカードとしてお使いになる方はご注意下さい…。

さて、どんな年賀状だったんでしょう。

2007…亥「いのし市」
上が市の広報、右下が新聞の地方版ですが、書いてあるのは「井野町、野志町が合併して、いのし市になる」ということ。このころ、平成の大合併が全国で進行しておりました。市広報に書かれた地図を見ると、市の形がイノシシの形をしています。井野町と野志町の形を足すとこんなに都合よくイノシシの形をした市ができるなんて、どんな偶然でしょう。(偶然じゃないですよねどう考えても)

さて、前足に挟まれるところに小さな町が。根墨町。小さなネズミの形をしているんですがこれもどんな偶然…(以下略)。来年は子年なので主役でありたいが、このまま
新聞では「食われる危機感」と書かれています。吸収合併される危機感が書かれています。その他、市広報に書かれた男性人口、女性人口、その他の欄があったり、きょうの天気の降水確率が-20%だったり110%だったりと色々常識の枠を越えた試みをしてみたんですが、どんだけ暇だったんだこの作者は…。(当時、大学3年生)

2008…子「舞洲港と根墨島」

暇人の年賀状はまだまだ続きます。ネズミです。
舞洲(まうす)港付近のバス路線図の上に、そこから行ける根墨島のパンフレットを持つ手が見えます。舞洲〜根墨までのフェリーのチケットの他、右上には偶然にも2008の形に見えるバス路線の上に、マウスが2個、その背後にはリアルマウスも。ちょっと気になるのは左上のバス路線密集地帯です。
あれ、こんなネズミをどこかで見たような…いや気のせいだ…気のせいですね…。

2011…卯「宇佐木島」
さて、2年ほど空いて2011年。この間は地図じゃないヘボ年賀状だったので割愛しました。見た目にもわかりやすくウサギです。ところで、人参はどこだ?って何のことやら?
2011年、完全な私事ですが、この年に会社を辞めております(2009年新卒入社、2011年退社)。そういうわけでウサギにとって食糧、人参…つまり私がこれからどうやって食っていくんじゃい、というこの後のアドベンチャー人生の始まりを入れてしまった訳です。そんな、グッズにすると思ってない完全な私信だったのでね…(逃げ腰)

2012…辰「龍町と辰町」

さて、人参探しをしてたウサギ(じゃねぇよ私だよ)がどうなったのか、の報告は年賀状ではなされてないんですが、もうこの頃には各種SNSが普及してきており、大体それでお知らせできていたのです。退職後の人生が実際どうだったか知りたい方は、過去のインタビューをご覧くださいませ。

さて、この町、の字との字が見えます。こんな偶然あるんですかね〜(偶然ではないです)。さて、これに気づかない人が多かったのでそれ以上の仕掛けを言うタイミングを失ったんですが、実はもう1匹、龍が隠れてまして…。左上から右下にかけて流れる川の、特に下流(右下)のほうを見ると、その少し外側に細い灰色の線が見えます。真ん中あたりまでは川に沿っていますが、真ん中あたりから右上の方、阿治町(1)、板吹町(2)、龍頭公園、龍町中、の方向に伸びているのが龍の形でして、以前、川の流路はこちらだった…龍の形をなすように大きな川が流れており、その流路の跡に公営住宅や中学校、公園ができた、という仕立てだったんですが、この話は誰にもすることなく、いま初めてしたようなものです…。

2013…巳「辺比市中心部」
さて、龍と辰がわかりにくいという声があったので、超絶わかりやすくしました。蛇です。左上は巳年の巳の形…に作られた水路で、こんな謎の形の濠の中に城址があります。なんでこんな形になったんだ…。そして、中央には不自然にくねくねと曲がる川があり…右上で突然川の流れが細くなり、蛇の頭っぽい形をしている気もしますが、ここも何故すぐ細くなるのかは謎です。

多くの人が気づかなかったのが、その下「へび」でした。ちなみに「」のほうが標高が低く、「」のあたりは高台になっていて、ここは山をならして平らにしたところに公営住宅が建てられた地域でしょう。


おっと、案外長くなってしまったので今日はここまで…。
残り5品は、明日解説致します。

人はなぜ、展示をするのか

2020年07月17日 | 全般・その他
こんばんは。
先日11日まで、「空想調査員が見た、空想都市展」という展示をしておりました。多くの方にお越しいただき、ありがとうございました!


東京ではコロナの勢いが強まっており、それでもこれだけ来ていただけるのはありがたいことでした。私はこのドアを常時開けて換気を良くするくらいしか…できねぇ…そして私は健康が続いています。(私が期間中にかかってたら大変だっただろうな…)

しかしそれでもなぜ人は見に来てくれるのか。このwithコロナ時代、首都圏外からは来にくく、首都圏でも足止めした人は多かったと思います。さて、新様式として、同じものをWebでアップしたら、同じくらい見てもらい、反応をいただけたのか。

そうでもなさそうなんですよね。withコロナ時代の展示のアウトプット方法のひとつとして、展示の記録として動画を上げてみたものの、こちらはあまり反応がありません。笑

展示の全体像/地理人が案内する「空想調査員が見た空想都市」展〈Part.1〉

動画は無編集撮って出しで凝ったものではないし、そもそもネットでのアウトプット全般苦手なので(SNS、Webその他…あるけど結局リアル人間関係、コミュニティでの動きがメインで、ネットはそれを補完するものにしかなってない)、私の技量でもあると思います。

とはいえ、別に私は展示がうまい訳でもないのです。今回ギャラリーで設営していて、ギャラリーオーナー、今回のキュレーター、設営技師2人…と一緒に設営してたのですが、私が最も配置や見せ方、もっと言うと美しく見せることに最も無頓着した。なので私の技量の比較というよりは、場がもつ力やリアルなスペースでの展示の効能を考えてみようと思っています。

狭い会場ながら、1時間以上いた方々も結構多かった。冷静に見れば、そこに特に普段注目するものはなく、むしろ注目しない普遍的なものしかない。何を1時間以上見ていたのか…とツッコミを入れたくもあるが、同じく妙な地元感を感じていた方もいた。日常の記憶がどう作られるのか、ゆるゆる考えたい。


はい、結論出ず…
今後考えていきたいだけで、まだ全然煮詰まってないんですが。

単一の視覚、聴覚コンテンツを鑑賞することはスマホでできても、複数のコンテンツをまとめて複合的に味わうことは、それを包容する大きな空間あってこそで、空間全体でどういう体験ができるかを考えねばな、とは思いました。はい。

そして、もうひとつ。
これは言われて気づいたんですが、見せようとしていない風のものと、見せようとしている風のものの混在も特徴で、これは整えていくか、あえて散らしていくか…散らし方と混在具合をこれから考えていくことになりそうです。

そして、今回改めて「展示の所作」を味わうのでした。
いまさらですが新鮮だったのは芳名帳。近年展示が続いた公立美術館では芳名帳はありません。今回の展示会場のような、民営のギャラリーだとあるのです。

ギャラリーさんによって芳名帳が用意されていました。「DM希望」の欄がありますが…そうか、展示作家たるものDMを送るのか!(DMを送ることを想定してなかった)。

とりあえず芳名帳がおもしろいので、架空のものを作ってみましたよ。
(何人か協力いただきました)



ところで人はなぜ、展示をするんでしょう。
今回は、というか今回も、キュレーターの方に呼んでいただいて、この企画が実現しました。なんて受動的。受動的にいただいた機会をもとに、企画内容は積極的に攻めた内容にしよう、と今回、コラボ展示の新たな章を開いたつもりではありますが、そのためにも、展示の効能を考えねばなりません。

人によっては、自力でギャラリーを借りて、企画し、進める人もいます。作品が売れる場合は、ギャラリーを借りる費用を、作品が売れた価格で賄える…こともあります。しかしそれはごく少数。うちも、たぶん作品としては売れないと思います。(売れないと思ってるだけ、かもしれない、試してないのでわからないけど)

売れなくても、お金がかかっても、展示をしたい…そういう人もいるのです。

なんならネットでもアウトプットできるこの時代に、リアルスペースを借りて展示をすることで何を叶えるのでしょうか。私の中ではさきほどのまとめから…単一の作品にとどまらず、複数の作品をまとめて複合的にアウトプットし、それを鑑賞する空間作りを通して、作品群を通して見えてくる体験づくりをする、ということなのか、あるいは出版のように、作品制作活動の集大成、作家としての活動履歴としてすること…なのでしょうか。

教えて、展示する人!
地理人は今後、展示する人、したい人に、なぜ展示をするのか…追ってまいりたいと思います。そしてヒントを得たいと思います。それでは。

<コラボレポ>展示の噂と客層、混み具合は?

2020年07月04日 | コラボレポート
こんにちは。地理人です。
「空想調査員が見た、空想都市」展、始まりました。

がら空きなのか、密なのか?

こんな時期だし空いてて暇だろう…
否、日曜空いてないし、平日夜や土曜に混むのでは…
私としても読めないところでした。

そうですよね〜。


案外暇ではないんですが、ほどよく入れ替わるので、いまのところ、密にならない距離感で、多くの方にご覧いただいております。

さきほどこの1.5倍くらい、多いときは2倍くらいる瞬間もありましたが、時間帯による混み具合は予測できません。基本的には幅広い年齢層の方々に来ていただいていますが、昨夜は5〜6人の女性が来て、現在は地理、交通趣味風の男性に来ていただいております。

みなさんの声

みなさんの声を紹介してみようと思います。

空想地図は、誰にも言わない秘め事として嗜まれる傾向がありますが、そうか、空想全般そうなのか。今回、地図以外の日常のあらゆる側面の空想調査に至りましたが、「内向きで外向き」…おお…(これ、今回の展示のスポンサーさんに関わることでして、ありがたいご意見です)

おおお、以前の展示(都現美かしら)もご覧いただいた方もいらっしゃったようで、ありがとうございます。そう、半年ぶりに同じ東京での展示なので、パワーアップせねばなと思ったのです。

綿谷さんの名前があって、ビックリしますよね〜。

いつも、密かにいらっしゃってしっかりブログをまとめていただく木下次郎さんのブログでも丁寧にご紹介いただきました。

見せ方のどこにこだわるか

これが本日の大テーマ。
自分で展示をしておいて、よくわかってないのです。

特に今回、ギャラリーオーナーや設営技師さんと展示設営する中、気づいたのが、どう見せると美しいか、ということに敏感だということ。配置から材質、光に至るまで、いろいろ考えていただきました。私は本当に頓着がないのです。そもそも丁重に扱うべき、一点ものの美術品ではなく、いくらでも印刷し直せる図像データや、劣化すればするほどそれらしさが出る日用品がメインなので、自らの制作物に対する扱いがそれなりに雑なのです。

なので今回も、配置や質感ってそんなに気にするのね〜と思ったんですが、気にするべきなんでしょうね。(音はそんなに気にしないみたいです)

一方私も、何も気にしないわけでもなく。私はモノを敷き詰め、説明を加えたい…見るだけで分かるようにしたいという正義が働きます。ひと目ですべてが見渡せる情報の網羅性を美しいと思っているのは、私が都市地図&作図野郎であることが影響そうです。最低限の情報量で、すっきりシンプルに見せる正義を持つデザイナーとは対極の正義です。

おっと、本当は「人はなぜ展示をするのか」について書こうと思ったんですが、こういう話は深夜じゃないと書けないっぽいので、追って書きます〜。