地理人レポート

展示や新グッズ作りに向けたコラボレポートと、空想地図&地図グッズ紹介をお届けします。

2022地理人の振り返り (4) 能動性を起こす新たなアクション

2022年12月31日 | 振り返りと展望

受動的に似たような依頼が来続けても、アウトプットの新たな展開を生む小技を前投稿で紹介しましたが、ここから先は能動性の開拓です。

能動的な面がある方なら何の問題もなく、ただ動くのみです。
いや、むしろそんな方はすぐ動いているでしょう。

しかし、そうはいかない人間は、能動性が起きない原因をあぶり出しつつ、自分内の能動性の動力になりそうな要素を抽出し、能動的に動く仕組みを作るしか道がなさそうです。

●空想地図が進む熱とブレーキ

いやいや、空想地図って能動性の産物やん…というツッコミも来そうです。ええ、あれは確かに自発的に作りましたけども、空想地図作りが進んだのは中学時代と会社員2年目、所属組織(学校・会社)が最も嫌だった頃、人生の底みたいな時期でした。他にやることがない状況に、現実逃避熱が加わり、一気に進みました…が、ちょっとこれ、今後再現するのは難しいのです。良好な人間関係を切って嫌な仕事をする、なーんてそんな自己犠牲的な展開は求めちゃおりません。

…てなわけで、今はなかなか進みません。もう一つ、遅々として進まない傾向があるものがあります。それは、著書です。空想地図とは違って、依頼が来てから始まる仕事なので、普通の仕事のようですが…どちらも地理人(今和泉)作になり、相手の求めるニーズや結果…から逆算して必要なものをアウトプットする、というわけにもいかず、求められているか、価値があるかは置いといて、自分の中からネタを絞って出し切る…という、わりと地獄のような作業です。



自作事案と、依頼事案に分けてみると、それぞれの作業の進み方は全然違います。依頼事案は、他の仕事、他の作業を並行して進められますし、期限内に終えられます。しかし、自作事案はそうもいきません。

作るものの規模が大きい場合、作業を細かく割って工数・期限を設定し、途中に関係者への会議や期限を設定して進めれば、依頼事案は進みます。…が、自作事案はなかなか進みませんでした。

・全然工数も作業日数も読めない
・関係者がいない
・期限をオーバーしてもさほど問題が起きない

…という事情です。いやいや、それでも(著書の場合)関係者はいるし、問題が全くない訳ではないのですよ。進まない中、どうにか進んだときのことを思い出すと…というか、それは今なのですが…

●自作事案が(珍しく)進む年末年始

何かがひらめいて進められるときで、他に並行する仕事がないとき…でした。しかも、上の表に書いたように、1日目は稼働しない、2日目に稼働し始める(けど遅い)、3日目くらいからようやくエンジンがかかるのです。エンジンがかかってしまえばあとはグイグイ進みますが、問題はその他の作業(やメール・メッセージの返信等)に疎くなります。いやぁ社会不適合感が…ありますよね…(だから自作事案は好きではない…でも作らないと…自分の看板たるものが生めない…)

ちなみに、空想地図帳の原稿の期限を年末に設定し(先延ばししての年末なんですけどね…汗)、ほぼ、終わりました。ほぼ…すんませんまだ残ってます。ただ、12/25昼までは他の作業が並行する期間で着手できず、ここで他の年末タスクを終えます。12/25夜から着手しますが…本格的に進むのは26夜から。そこからノロノロと準備と確認が始まり、27夜からグイッと進みます。28日からは早いんですが、ちょうど年末年始、他の作業を並行しなくて良い期間です。しかも第8波の勢いがあるので両親宅には行かないと決めたため、年越しは自宅。予定ががら空きなのです(12/26から住人以外誰も会ってない)。そんなわけで、集中モードです。

(そして、その集中モードから寄り道して、怒涛の図解振り返りアワーですが、これも文章と作図アウトプットの勢いの流用です…終わってまた年越し前後で、空想地図帳の最後の詰めに戻ります…)

なるべくこの状況を作り出すため、
今後は「1週間以上(理想は10日間)空けるタイミングを作る」ことに努めたいと思います。1〜3月も1、2回は作りたいと思います。

長々と書きましたが、これは空想地図と著書をどう切り抜けるか、という話で、決して新しいアウトプットや展開を考える能動性のお話ではありませんでした。その話はこれから。

●「何かに応募する」という未踏の境地

本も展示も、その他もろもろ、自分から動いたことがない他力本願みがありますが、それ以上に、タイミングも内容もあまりコントロールできず、先述の投稿のように似たものになりやすい、という傾向があります。

そうか、自分で応募する、という手があったのか…と、誰もが気づいてそうなことに気づきました。いや、気づくも何もその枠組みがあることは知っていたんですが、自分にできることではない…と、具体的なアクションを検討したことがありませんでした。

例えば助成金とか…何かのプログラムに応募したり乗ったりするとか…
そういう枠組みを活用しても良さそうです。

なにしろ、作家シフトになってしまった結果、自力で利益を担保できる事業を立てられる方向に行かないので、「事業を起こす」でない限り、このような流れになるかと思います。


前投稿の図と比べると、線が描かれる場所が随分違います。
これについてはどんなものがあるのか、機会も方法も全く疎いので、周囲の皆さんに少しずつ力を借りながら、その可能性を探っていきたいと思います。

助成金のポイントは、その資金力ではなく…
それより、プロジェクトが仕事化することで、期限までにミッションを果たし、報告しなければならないというケツができることで、進まない自作事案を「(進む)依頼事案」化して進められるであろう、ということです。

「依頼事案のほうが進む」のは、共感する人もいるかもしれませんが、そうでない人も多いのかもしれません。なにしろこれまでの著書では、なるべく書いている途中で、内容に関する方向性や形、仕様等をバチバチに決めて縛って進めていきたいのですが、完成形を縛らず、途中介入せず、まず自身の中にあるものを吐き出した方が出るのではないか…と思っているようで、編集者はむしろそれを遠ざけることが多かったのです。

展示は期限がバッチリ決まっていて、最近の展示は関係者を巻き込めているので進むようになりました。共著だとたぶん早く良いものを書き上げますので、次にお声掛けいただく編集者さん、ぜひ共著をご提案下さい…(と思ったんですが、向こう2、3年詰まっているので少々お待ち下さい…)

●過度にやることを絞ってきた代償

10月にやりたいことを100個出してみたんですが、これは短期的、長期的な方向性を見出す材料になりそうです。それぞれ具体的に落とし込もう…と思って、年末に間に合わせようとしてたんですが、間に合いませんでした。これは年度末か、また歳を取るあたりでやりたいと思います。

最後に、今年の気付きです。

とある方が「地理学科卒で、地図会社2社しか受けなかった…1社受かったので今に至るが、どちらも受かってなかったらどうなっていただろう…」と話していたのを聞いて、あれ?と思うことがありました。

地理学科から地理を活かした就職は、研究者や中高教員になることが多く、地図会社は募集人数が少ない・・・という話から、地理系就職を断って、大学3年からそもそも地理学科を抜け出して別大学・別学部に編入しています。
(大学や高校に赴いている今からは想像がつかないんですが、学校に居たくなかったので先生の選択肢はまっさきに削ったら、残りが地図会社…)

さらに、次の大学で、まちづくりのゼミに入り、都市設計コンサルタントでアルバイトをしますが、平成の大合併で自治体の数が減り、仕事がたくさんあるのは数少ない大手くらいで、中小は厳しい…なら、この業界の就職はやめよう…

私の中では当然の選択だったんですが、受かる可能性もわずかながらあったのかも知れないんですよね。ちなみに地図会社もまちづくり関係の会社も、就職活動時、1社も受けてません。1社くらい受けても良かったのかも知れない、と今更思いました。

(しかし変な話で、受けてもいないのに、高校・大学の授業、地図会社、まちづくり系プロジェクトとの関わりが妙にできてしまったので、結果的に就職しなくても良かったんですが)

そう、ここで、可能性が薄いとバッサリと最初から切る、という癖に気づきます。大学1年のときの懸賞的奨学金に応募したのは…他に誰も応募してなかったからだし、競争率の高い門…というか競争がある入口は最初から行かず、競争がほとんどない門にしか行かない傾向があります。

そして…
やることを、他者よりもできそうなことに絞るのも過度な癖だと自覚しました。例えば、地図・地理・デザイン関係、作図等視覚的な整理、公共交通移動、領域を跨いだ人とのコミュニケーション、初対面の交流…等、割とできることに関してはやりますが、それ以外、やっても並かな…くらいのことは、過度にやらないフシがあります。

時間は有限で、つまり私が使える工数も有限。他者よりも要領は悪いので、人並みに人と同じことをやっていたら劣勢になる…優勢に動けることだけを選択してそれに集中すべし、という基本思想が、いつしかできていたようです。

普通運転免許を持っていない(その他資格という資格を持っていない)、ほとんど料理をしない、英語力もほとんどない、その他色々…できたほうが良かったよな…そして苦手でも試みる姿勢は大事だよな…と思う瞬間が多少あった一年でした。まぁ強み集中戦略を取ってきたゆえどうにか生き残ってるのでこれも後悔ではないんですが、この戦略が今後新しく始めることの可能性を狭める気もするので、苦手でも試みる扉を、ひとつくらいは開けようと思いました。

というわけで長々と振り返りましたが、実りある2023年を迎えたい所存です。皆様もよき2023年になりますよう…!

2022地理人の振り返り (3) 受動からのアレンジで新展開を作る

2022年12月31日 | 振り返りと展望

停滞感〜と言い続けても停滞感は停滞感なだけだし、
持ち場いいな〜と思っても、場所があっても動かねばどうにもなりません。

じゃどう動くかやんけ…
しかし…

地理人、とても受動的。これは私が自覚し続けていることです。ただ、私が言いまくっているだけでそうは見えない人もいるようなので、受動的な割にはうまく(この回路を)こねくり回して生きているのかもしれぬな…とは思いました。

●能動/受動、インプット/アウトプットの図で整理しよう

さて、原始的には能動も受動もなく、ただ、さまざまな地図を見ていた末に空想地図を描き始め、各地の都市探訪した結果で空想地図をブラッシュアップしていった…これはシンプルなインプット→アウトプットの構図です。一人で完結しており、この段階では仕事にもならないし、広がりもしません。



会社を辞め(多くの人が知らなかったり忘れてたりするんですが、2009年から2年間会社員をやってるんですよ!)た2011年から4〜5年間ほど定番となっていく流れがこちら。
依頼が来て、準備・作業して、アウトプットする、という流れです。
これは、著書や記事、展示が主ですが、その他も基本的にはこの流れでした。

しかしこの問題は、アウトプットがワンパターンになる、ということです。
当初は新しいアウトプット先が増えていくばかりだったので良かったのですが、2016年以降、同じことを続けてて良いのか…?ということに限界を感じ、流れを変えることを試みます。といっても、受動的なままで。

●来た提案を少しアレンジして返すひとひねり



(はい、だんだんよくわからない道路標識みたいになってきましたね…)

2015年頃までは、アウトプット先やアウトプット方法が増えていたで良かったのですが、似たようなアウトプット先や方法で同じことをすると、ほぼ同じことの再生産になってしまいます。しかしありがたいことに①仕事の依頼が来ると、ここでひとひねり、②「こういうのでも良いですか?」と別の提案をして、受け入れられたら③新しい試行錯誤をして、④新形態をアウトプットします。

一番大きな実例はこちらです。

2016年、「空想地図の描き方」の内容で提案いただきつつも、空想地図以外のアウトプットを試もうと「新たな現代都市地図の読み方」を逆提案し、企画が通過、2019年に刊行。

続いて、この回路がもうひとひねりします。

●来た提案をアレンジしてから他者を巻き込むふたひねり



早い話、小者の自分にできることは限られている訳です。
もうひとひねり加えた新パターンは、依頼が来てから、他者を巻き込む提案をして、他者を巻き込むという流れでした。

具体的にはこちらです。
(しまった、自サイトで紹介記事残さなきゃ…)
2020年に「空想地図の展示」という依頼で来たのですが、地図のみならず、地図を目次として空想都市のあらゆる日常の断片を再現し、視聴覚で感じられる都市を味わっていただく…という内容でした。音楽から音、デザイン、文章、映像とさまざまなプロに参画いただきました。時間的には突貫でした。
(巻き込まれた人:キシリ徹、佐藤香織、タナゴ、寺井暁子、TOK.S、ばつまる、ホンダノホンダナ、Mr. Densha、渡邉絵理、綿谷エリナ)

(しまった、自サイトで紹介記事残さなきゃ…)
こちらも2020年に来たお話ですが、展示の内容は特に指定がなく、自由度が高いものでした。空想地図…と全く関係なくて良いのです。そこで、全くこれまでと異なる、アジア各国、各地域の街の、誰も注目もしない何気ない一面を捉え、架空でその国(地域)らしい街のイラストを描き、その街を形作る傾向や重力をつかむ、という展示でした。これは引き続きやっていきたいと思います。
(巻き込まれた人:三文字昌也)

引き続き、このスタイルは取っていきたいと思います。

ちなみに先日、新しい本の企画提案が来まして、共著に持っていこう…としたのですが失敗しました。しばらく単著沼が続きます。いつか共著を書きたい……

ただ、受動スタートだと、来ないと始まらないし、さすがにアウトプットの異なる提案も、予算が変わるような提案もできません

残るは、能動アクションですが…
能動性が…ない…

さぁどうする?
続いては、能動性を引き出す仕組みを考えます。


2022地理人の振り返り (2) 持場型と浮遊型

2022年12月31日 | 振り返りと展望

さて、前投稿ではあったことのダイジェストを書き連ねましたが、
大事なのはここから。図解です。

●持場型と浮遊型

あなたは持場型?浮遊型?
…という性格診断でもないんですが、場所を持っている人…場所に限らずイベントやプログラム、何かしら発信できるメディアをもっている人や集団を持場型と、何もなく、むしろその他人の持場を行き来する人を浮遊型とします。

持ち場なんて大きな会社が持ってるものでしょ〜個人は浮遊するものよね、と思って生きてきた節もあるのですが、最近、身の回りの身近な人が持ち場を持ち始めており、持ち場って持てるのか…という所感を持っております。所属している会社や学校を自分の持ち場だと思う人もいると思います(いいな〜そう思える学校や会社がある人生←一度もない)。



ワタクシ、浮遊型の極みのですが、空想地図のかほりを周囲の広範囲に飛ばし、さまざまな場にお邪魔し、場の力を借りる等して楽しんでおりました。

自分から誘わない割に、人見知りがないのが地理人。ひょこひょことさまざまな界隈に出て話したり…時に聞き役になったり(意外と多いんですよ)…という具合ですが、この人間関係の築き方を「たんぽぽの綿毛」と形容していました。自力で動力は持たないが、さまざまな方向に浮遊して生き延びる…と。しかし友人に言ったところ「んーー、地理さんは地下茎かな。ふわふわしてない。」とのことでした。



仕事面でもこのように…自分では明確な事業や場所を持たず、明確な事業や場所を持っている方々から呼んでいただいて生きておりました。こうしてよき持ち場を多数見ることになります。

●持ち場を広げる人々具体例

最近だと別視点は、2011年に「東京別視点ガイド」(ブログプラットフォーム)、2018年に「マニアフェスタ」(プログラムやイベントの主催)…と来て、
来年には都内のどこかで新しい拠点を運営するのだとか。持場を一つ一つかためている感があります。木賃文化ネットワークは場所そのものが複数の人や活動が生まれるプラットフォームになっています。2018年創業の流動商店は2019年に持ち場を始め、小さなイベントを主催したり大きなイベントの裏方をしたりしています。先日忘年会に伺ったfor citiesは、コロナ禍頃の始まりだったと思いますが、Podcastで視聴者を増やし、世界各国でプログラムを実施し、レジデンスも始めるようです。うぉー、三拍子揃っとるやないかい…。

特に後者2団体はこの3年で活動を広げており、まっ、眩しい…と思いながら見ておりました。(コロナ禍なんぞ私からしたら「冬眠」だったのですが、と言い訳しようと思ったんですが、コロナ前はバリバリ動いていた訳でもないのよな…)

●浮遊型にとっては不利だったコロナ禍



さて、持ち場を持たずに浮遊していたコロナ前ですが、私はどこの所属でもないので、イベントや何か入れる余地があるときに、するっとあらゆるコミュニティにお邪魔していた、水色の❸の層でした。こうして越境できていた部分はあったのですが、このスタイルはコロナ禍で最も影響を受けます。❶❷が集まるか、❶❷がオンラインでMTGするか、という時代の始まりでした。コロナ禍になって久しくお邪魔できてない浮遊先はたくさんあります。明けて、これからまた余地が戻ると良いですが。

浮遊型でいることのポテンシャルが下がった代わりに、持ち場を持つ人が増えたコロナ禍。持ち場があることは、浮遊しにくくなる足かせになるのでは…と思っていたのですが、持ち場があることで、別の持ち場で覚えてもらい、行き来を増進しやすくなる側面があるな…と感じました。

長らく、持ち場…と並ぶキラーコンテンツ「空想地図」を携えて浮遊していましたが、空想地図は少しずつ広げたり直したりしても、見た目はあまり変わらないまま10年以上経っています。では空想地図以上の強いキラーコンテンツを携えられるかというと怪しい…これが私が長らく自分に対して感じている停滞感です。

コロナ禍明けても、コロナ前と同じ持ちネタで歳取って同じ浮遊は…難しいでしょう。色あせてくってもんです。

●新しいものを作ったほうが良い

2019年に東京都現代美術館で展示してから、ありがたいことに都現美の招待券が届きます。そして毎回行くのです。これが良いチャージになってまして。多数のおもしろいアートに触れる、のもあるんですが、展示はその作家の一生涯を見ているようで、「この人、大学で先生して家族も持ってて忙しいのに作品こんな作って旅してんの…?」と驚きもします。

私、大学で先生してないし、家族も持ってないのに、新作そんなに作ってもいないやん何してんねん…と、いいピリピリ刺激をもらいます。

展示の機会をいただいたときに新作を作ったりはしましたが、そうでないときにも作った方が良いよね…と。それを試行錯誤できる場所(工房的実験空間)があっても良いのではないか、と思う等しています。




…って、アンタ今年オフィスを改装したじゃん、その場所は持ち場では?何かしたら?…というツッコミが来てもおかしくありません。いまのところ空想都市展のプチ展示空間、かつ地理人収集古地図書庫にはなっています。持ち場を活かすには、何か主催したり誘ったり、場所を使う能動的なアクションをせねばなのだが、浮遊しかしてなかったので、(そういう能動的アクションを起こす)持ち場慣れしていない…。

というわけで、2023年はもっと広く「持ち場」について考える一年にしようと思います。


2022地理人の振り返り (1) 今年のダイジェストは高校・本・そして…?

2022年12月30日 | 振り返りと展望
2022年が終わるー!
歳を取るにつれてあっという間感が増すという先人の言葉、その通りでした。あっちゅう間や…
(振り返りがしたい…と思い続けてひと月以上経ちましたが、年末になったので、やります。)

●武蔵野大学高校(探求授業)講師はじまり


本郷に住んで11年、(各種メディアで)空想地図野郎として取材・出演してから9年と、長い年月が経っております。
各所で同じことの繰り返しも増えてきて、成長がないな…と思う等しました。さらにコロナ禍もあり新鮮な刺激も少なめ。停滞感をひしひしと感じていたところに、一筋の光が…

高校の授業です。えっ…!?

大学の授業のゲスト講師として1回の授業でお話やワークショップをする、ということはありました。ありましたと言っても10大学12授業、合計47回(年平均4回)と案外多いんですが、今回は【通算10回】でした。空想地図の話やワークショップを1回して終わり…ではないのです。しかも受講者20~30人…の予想に反して57人。めちゃ多い。

どうする、私経験ないんやで…とプログラムを試行錯誤。空想地図を作り、架空の店舗のロゴを作ってレシートを刷り、架空の商品のパッケージを作る等して計10回。しかも長時間講義すると寝ちゃうので新たなグループワークをいくつも生み出したり、これはなかなか刺激的でした。5~7月、9月は週の半分この授業の準備をしていたと言っても過言ではありません。停滞感を打ち砕くが如く、予想外かつ未経験で刺激的なスタートでした。来年は前期・後期ともに担当します。後述する本とともに、教育文脈が始まる1年でした。

このお話は、2018年に探求学習のプログラム(Learning Creator's Lab)にお邪魔したところ、参加していた先生伝いに、今年いただきました。面識ができてから4年後に話が来る…というのは珍しい話ではなく、知り合うタイミングと私を呼びたい事案が発生するタイミングは大体一緒じゃないのです。数年経っていても覚えてもらっていた…ということが、ありがたいですよね…。そんな人や機会を大事にしようと思いました。ええ。


●著書4冊目が9月に出て、続いて5冊目まもなく出ます


ワタクシ、何かの市場で確かな価値を出すプロになった訳でもなく、事業が軌道に乗ってきた訳でもないまま、30代も後半に。転職市場ではほぼ見込みのない危ない人間になってしまったことは、安定志向の私からすると想定外でした。こうもゆるふわな中、なぜか著書だけが増えていきます。

1冊目が人文系書籍として空想地図の本を、2冊目が同じく人文系で現代の地図読解の本を、3冊目は実用書で方向音痴指南本を、4冊目は…まさかの児童書カテゴリですが、小学校高学年から大人まで読める地図の本です。類書がこれまでいくつも出てるだろうよ…というテーマながら、案外類書が突いていないポイントを今風に(答えのない問い等を踏まえて)説いたと思います。ネットの反応は全然なく、売れているのか……は大きな謎です。

「空想地図帳」
年末の時点で98%くらいは書き終えました。100%書き終えるはずが…年始で残り2%を仕上げます。年度明けくらいには出るのではないかと思います。

さらにその後、1~3冊出るかも知れず、なぜか著書だけが増えていく人生、のようです。


●空想地図作者による空想地図の広がり

先述しました「空想地図帳」は、さまざまな優れた空想地図作者の空想地図を紹介する本です。ええ、もはや私は作者として追い越され…ました。なので、もういっそすごい空想地図紹介するゾ、のスタンスの始まりが、↑この本です。昨年末から今年年始にかけてオンラインで「空想地図塾」を実施しました。全5回、課題が出て、作者は課題に沿って描いて、参加者で講評するというものです。私は講師というより一参加者で、私も課題はやるし、講評してもらう側にもなりました。この内容は新刊「空想地図夜」にも入ります。

加えて駒沢大学駅付近に、地理系ブックカフェ「空想地図」がオープンしました。私が生まれた年に空想地図を描き始めていた空想地図作者の先輩によるオープンです。空想地図作者のみならず「地理系」カフェもなかったので、地理系の人々が集まるカフェとなっています。年末には久々に「空想地図学会」もあり、空想地図作者同士の交流も増えてきました。

ところで…
来年は大型空想地図制作案件が2件ほどあります。2件とも、未だ言えないんですが、作る面積が広く、私一人の手では作れないので、作者の皆さんの手を借りると思います(予算は…取ります)。


●アートめぐりと新しいものづくりへのベクトル

実は3月に同時に2箇所で展示をしておりました。2つとも全く別(気仙沼・尼崎)で、同時だからこそ展示物も全く別です(平面印刷物は同時でもいけるが、そうでないものも増えてきたため)。

また、隅田公園で11月、居間theaterプロデュースで、占い風パフォーマンス「うらないうら道」を実施。謎にパフォーマーデビュー。


展示に関しては今後の予定はまだありません。2017年から平均して年1回ほど来ている…ものの、おっとここで途切れるかもしれません。がしかし、今後ないとも言えません。このまま行くと同じ展示を巡回し続ける…のもまた停滞です。はっ…インプットせねば…!

ということで、今年は密かに各地の芸術祭めぐりをしておりました(石巻、新潟、東京墨田、琵琶湖、瀬戸内)。あまりあれこれ考えるよりもまずは量を見てシンプルに感じる時期にしよう…と思い…とにかく行くことにするので、今後もめぐります。なお、何か新しいものや空間を作る試行錯誤をするのに場所があったほうがおもしろいよな~と思う等しています。この件の分析は続編ブログにて。

図解で迫る今年の振り返り&来年以降の方向性、については続編(次記事)にて。
それでは、良いお年を~。来年もよろしくお願い致します。