『楽しいから笑うのではない。笑うから楽しいのだ。』

『みなさん!世の中の問題を解決する決意をして欲しいのです。普遍の友情を周りの人に向けて欲しい。他の人を思いやることに大きな人生の意味があると考えて欲しいのです。そして、笑いというのは、私たちの生命にとって、水や空気と同じくらい必要です。愛、笑い、思いやりを他の人に届けてください。』
　　　　　　　－－パッチ・アダムス（本名ハンター・アダムス）の言葉

９月だったか１０月だったか、都内を歩いていた際、滑舌のいいおじさんに出会った。『ビッグイシュー』の販売員だった。
話してみると、彼は本が大好きとのことで、とても教養もあり、次から次へと話題が出てきてこちらを飽きさせない。無声映画時代なら、弁士として十分に活躍されそうな方だった。自然とこちらも楽しくなり、バックナンバーを見せてもらうと、ある特集記事の掲載号（No.24）に目を奪われた。

　　特集『笑いは人生を変える！』

いつもどこかで暗いニュースが流れている今の世の中、笑いが一番足りないのかもしれない。でも、暗いからこそ、笑い飛ばせるだけの心のおおらかさが欲しい。
中越地震の被災地にも、NPOお笑い事業団ニイガタhttp://www.o-club.npo-jp.net/page/owarai_club/douki.htmlの方々が駆けつけたと聞く。本当に深刻な場面では、ちょっとしたユーモアが周囲の気持ちを救うことが多い。

人間の表情で一番素晴らしいのは”笑顔”。
笑顔は、地球上の生物で人間だけに与えれた、優れたコミュニケーション手法の一つである。人の笑顔を見ているだけで、こちらが温かな気持ちになってくるから不思議。私がその販売員の方から購入したのも、実は彼の笑顔のせいだったのかもしれない。

『楽しいから笑うのではない。笑うから楽しいのだ。』

このように提唱したのは、アメリカの実践心理学者ウィリアム・ジェームス氏だそうだが、このビッグイシューの記事(日本笑い学会理事の森下伸也さんのインタビュー)によると、既に科学的に証明されているようだ。

「人間が笑うと、唾液の中のグロブリンＡという風邪を予防する物質が増加したり、血液中のナチュラルキラー細胞(NK細胞)が急増して癌細胞をやっつけたりする」そうで、さらに「脳内でβエンドルフィンという別名脳内モルヒネ、快楽物質と呼ばれる物質が分泌され、鎮痛効果や気持ちをスカッとさせる効果がある」らしい。こんな秘密を知ったら、もう笑わない手はない。そう考えると、笑顔の多いコミュニティ、笑いの絶えない組織ほど、いつの間にか素晴らしい活力を獲得しているかもしれない。

さらに特集記事では、病院生活を余儀なくされた子ども達に笑いを届けるクラウン(道化師)の仕事が紹介されていた。この活動を始めた医師ハンター・アダムス氏の物語は、「パッチ・アダムス」という名で映画にもなった。オランダでは1992年にクリニクラウン(clinic + clown = cliniclown)基金という組織が設立され、その活動は今も拡大している。日本ではオランダからクラウンの講師を呼んだり、NPO法人が設立されたり、活動が活発になりつつある。
11月23日(水)AM7:30～より　NHK総合テレビジョンにて紹介

朝日新聞土曜版フロントランナーより
http://be.asahi.com/20020928/W15/0050.html
ＮＨＫ福祉ネットワークでの紹介（2004年5月11日放映）
http://www.nhk.or.jp/fnet/arch/tue/40511.html
特定非営利活動法人日本クリニクラウン協会（2005年7月31日設立）
http://www.cliniclowns.jp/04_about_cliniclowns.html
ケアリングクラウン研究会
http://www.geocities.jp/caring_clownjp/
高田佳子さんのHPには、オランダから来日したクラウンの講演録が記載されています。
http://takadayoshiko.info/

（山陽放送アットちゃんねるレポートより）
http://www.rsk.co.jp/attochannel/report_adams/