LA CAFFETTERIA DI RETROSCENA舞台裏カフェ

テノール芹澤佳通の日常系ブログ (・∀・)

清教徒

2022年02月19日 | クラシック音楽

僕がその存在を知ったのは高校生の時。

 

当時、大学受験もイタリア古典歌曲のみしかレパートリーのない高校生の芹澤には、五線より上の世界は存在していなかった。

 

ト音記号で記譜された五線譜、その第五線の上が「ソ」の音である。

 

音符で示せば第五線の上にちょこんとお餅でも乗っているかのような可愛らしいスタイルではあるが、「ファ」と「ソ」の間は果てしなく遠く、勇気を持って踏み出そうと上げた足の下に広がるのは闇。

 

『いつになったら「ソ」が出るようになるんだろう』

 

世間知らずで万能感に満ちた高校生は、まだ出ぬ音に強いあこがれを持っていた。

 

 

そんな時「男声が歌う曲(役)で、楽譜に書かれた最も高い音」という存在を知る。

 

そして、それは「清教徒」というオペラの中にあるのだと知る。

 

当時、インターネットも発展していなければ、気軽にオペラスコアを探せる環境もなかった。

 

ようやくその音源に巡り合ったのは国立音楽大学の冬期受験準備講習会を受けに上京したときだった。

 

講習会中に泊めてもらっていた兄のアパートで、ようやく手に入れることが出来たCDを、いつ出てくるかも知らない「そのたった1音」をヘッドホンでじっと探していた。

 

しかし、全然見つからないのだ。

 

僕自身のソルフェージュ能力が低いせいもあるが、全曲(CD3枚)の中からその1音のみを探すのはもはや苦行であった。

 

 

しかし聴き続けて2日目、あることに気がついた。

 

「この曲、途中のこの1音だけ女声が歌ってる?なんでだ?」

 

 

後に楽譜を手に入れ、その箇所が探し求めていた音だとわかった。

 

歌劇「清教徒」第三幕フィナーレ ”Credeasi, misera!”より

拡大↓

 

これがオペラ作品における、実際に作曲家自身が楽譜に書いた、男声で一番高い音である。

このあまりにも高すぎる音は、しばしば別の音に変えて歌われたり、ファルセットで歌われたりする。僕の購入したCDではファルセットで歌われていた。だから僕は「なんで突然女声?」と違和感を覚えたのだ。

もしかしたら現代音楽やジャンルが違えば、この高さの男声用楽曲もあるかも知れないが、正統的、伝統的オペラ作品の中では圧倒的な高さを誇る。

 

 

実はこの曲、一度歌ったことがあり、何ならそのライブ録音はダウンロードコンテンツとして販売されていたのだ(今も買えるのかな?)

 

ちなみに男声、女声の違いはあるが、YouTubeにて公開しているこちらの動画↓

とあるテノールが「夜の女王のアリア」を本気で歌ってみた!
Der Hölle Rache kocht in meinem Herzen

こちらの最高音と同じです(笑)

 

ただ、こちらの「夜の女王のアリア」のHigh Fは持続音ではなく瞬間的なアタックなので、清教徒のHigh Fとは感覚的に全く異なってきます。

 

「保つ」というのは「瞬間的に出す」より技術的に複雑で高難易度です(どの音に関しても)

 

芹澤のテノリズム(テノール+イズム)は「音が高いからと言って楽譜に書かれている音、調性は変えない。その音が出なくなったら歌わない!」です。

書かれているのなら、再現するのがプロの務め!

 

試合会場、日時はこちらです↓   (試合?)

 

詳しい案内はオペラサロントナカイ公式HPに掲載されておりますので、下記リンクよりご確認下さい( ・∀・)

オペラサロントナカイ公演案内(公演詳細)
《清教徒》セレクション

 

ちなみに「力強い超高音が煌めくテノール」ってキャッチフレーズは僕が考えたものではありません(笑)

 

ちなみに(2回目)、プロフィールって通常自分で作るんです。

そう、多くの人は「自分で作文するんです!」

 

そういった視点から読んでいくと色々と面白いですよ(笑)

 

ちなみに僕はそろそろ誰かに書いてもらおうかな~って考えてます!
だって、経歴だけ書いてもなんかつまんないですし、どうせなら読んで面白いほうが良いな~って・・・・

 

 

え?先にプロフィール写真撮り直せって???

芹澤最新バージョン(Ver2.0)
「帰ってきた!Laboratorio141-4431」リハーサル中

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帰ってきた!Laboratorio141-4431

2022年02月12日 | クラシック音楽

僕はよくチラシデザインをするときアイデアが固まるまで、大まかに決めたコンセプトの色んな素材(写真画像)を巡ったり、前回の様子を伺ったり、自分が出演していたら前回のことを思い出したりしながらイメージが降ってくるのを待つのですが、今回はチラシ裏面を作成している時にふと、”きっとそうなるだろう”と確信し、背景中心に斜めに【衝撃のアンサンブル】というキャッチコピーを入れました。

 

 

そして一昨日、初めてソリストの加納里美先生と打楽器奏者2名を加えてのフル編成で通し稽古を行いました。

色んな想いが湧き上がりました。

各々の矜持と意地、信念が入り混じる素晴らしい空間でした。
 
混沌としながらも、音程とリズムという絶対的真理を追い求める姿は、さながら救いを求める巡礼者の様でした。

 

 

本公演は「アートにエールを!東京プロジェクト」(ステージ型)に採択され、支援を頂いております。なのでこれだけの出演者を集めても3000円という低価格でお届け出来ますし、もし集客が1人だとしても実施要件を満たせば最悪な結末を迎えることはありません。これは何を言いたいかと言うと、以降続く僕の思いには金銭的な欲が絡んでいないということを裏付けしたかったのです。

 

 

色々と難しい時世であり、考えなければならないことも多く、ともすれば「配慮」に押しつぶされてしまうところまで来ています。

僕には責任は取れませんし負えません。

 

しかし、ここに至るまでの個々の様々な努力(感染回避など)と、共にみんなで作り上げた音楽を「聴いて下さい!聴きに来て下さい!」と言わずにこのまま当日を迎えることはどうしても出来ません。

 

様々な事情があると思います。

 

同じ様に我々にも「聴きに来て欲しい」という思いがあります。

 

音楽は目に見えるものではありません。

しかし心に残ります。

 

想いの詰まった演奏を全身で浴びていただき、人生を豊かにするものが音楽です。

形に残せないものを与えることが出来るのが芸術の力だと思います。

 

2月15日(火)

スクエア荏原ひらつかホール
18時30分開場 19時00分開演
(21時前に終演予定)

【お申し込みフォーム】
帰ってきた!Laboratorio141-4431

 

皆様のご来場を心よりお待ちしております。

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2022年02月03日 | クラシック音楽
【眼瞼下垂手術と術後の話し】
 
2月1日に眼瞼下垂の手術を受けてきました!
 
まず眼瞼下垂ですが、素人の僕があれこれ説明することは出来ないので調べたリンクを掲載します(僕がお世話になった病院ではありません)
 
 
 
僕に直接あったことのある方や、演奏会にお越しいただいた方はご存知だと思いますが、とにかく目が細いです(笑)
子供の頃からの特徴ですので、先天的に開ける力が弱かったのでしょう。眼瞼下垂は加齢によって発症することが多く、その症状は僕の様に「もともと開ける力が弱い」や「加齢によって開ける力が弱くなる」、「皮膚のたるみにより瞼が眼に覆いかぶさる」といったものがあるそうです。(より正確な説明は上記リンクでご確認下さい)
 
僕の場合はメールでの事前写真診断と医師による問診(瞼の動作チェック)の結果、「年齢からしても先天的なものであり、視界を広げる処置をするに足る」ということで保険治療適用となりました。
 
治療には、美容整形で良く聞く(と僕は思う)「埋没法」(程度によってはほとんど腫れが出ずダウンタイムが非常に短い方法)と「切開法」があります。(それ以外もあるかどうかまでは調べてないです)
 
僕の症状では「埋没法」は適さないということで「切開法」がとられました。
 
なので現時点でちゃんと腫れてますし、縫合の糸だってまだ入ったままですし、なんならしっかり内出血も出てます(笑)
 
 
手術自体は30分ほどで終わりました。
 
オプションで麻酔を打つ前に「麻酔テープ」や「笑気ガス」の使用を選べるのですが、
 
「こんな経験めったにない!」
 
と何も選択せず、医者が「ちょっと痛い」(注:医者の言う「ちょっと痛い」は大抵の場合「大変痛い」)という、麻酔(部分麻酔)直打ちを選択しました(笑)
 
幸いなことに、部分麻酔自体は思ったほど痛くなかったのですが、瞼の内側(裏側?)に打つ時はなんとも気持ち悪かったです(笑)
 
 
 
僕のお願いしたクリニックではレーザーメスを使用しての手術となりまして、麻酔を打った直後は特に痛みは感じませんでしたが、焼き切る場所によっては「少し熱い」と感じました。
 
「少し熱いです」と伝えると、執刀医からは「痛い場合は《痛い》と言って下さい。痛みで顔をそむけるとズレてしまいます」と説明があり、処置が進んでいくと徐々に痛みも出てきたので、そこは我慢せず「痛いです」と耐えられなくなる前に2回程伝えました。
 
「痛い」と伝えると、その都度麻酔が追加されるので手術の痛みに「耐えられない」ということはありませんでした。
 
 
ただしそれでも痛いことは痛かったです(むしろ麻酔がw)
 
 
もしもう一度受ける必要に迫られたら「笑気ガス」の併用をお願いすると思います(知らないって強いよねw)
 
 
他の方の体験談によると、笑気ガスを使用しておけば痛みはかなり抑えられるようです。
 
 
それとレーザーメス使用時は自分の焼ける臭いがします(笑)
 
 
手術翌日はまだとても人前に出られる状態ではありませんが、それでも当日よりだいぶ腫れも引き、目を開けることが比較的楽に出来ます。(日/4~5回アイシング実施)
 
ちなみに手術当日は、サングラスを装備して電車で帰宅したのですが、瞼がパンパンで開けることが億劫でした(笑)
 
来週抜糸をするので、それまでは確実にサングラス生活となりますが、この髪の色(下の動画で確認出来ます)、この図体・・・職質されないか不安です(笑)
 
 
とあるテノールが「ヒスイ」(ピアノ付き混声合唱版)をひとりで歌ってみた
 
ちなみにこの映像は手術前の貴重な目です(笑)
 
これ、一応説明しておきますと、目を閉じているわけではありません(笑)
 
目線の先(斜め下方向)に設置してあるiPadを観ながら歌っているので終始伏し目がちではありますが開いてはいるのです!
 
 
それでも閉じてるように見えますよね(笑)
 
 
 
これがどう変わるのか・・・・
 
 
 
僕も楽しみです(笑)
コメント (5)
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