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寸劇:女神たちのタコ部屋と遁走(とんそう):フィナーレ

2013-04-01 04:41:25 | カリキュラム改革

(承前)

マリアンヌ嬢:けどアタシらはまだマシな方だ。

このカフェ「EU法」の雇われマダムのコト、知ってる?

 

ゲルマニア嬢:エウロパさん?少しばかり耳にしたけど。

 

マリアンヌ嬢:オーナーのムッシュ・チューオーガクインにね、

牝牛(めうし)のごとくさぁ、さんざコキ使われた挙句…。

 

ゲルマニア嬢:…。

 

マリアンヌ嬢:カフェ「EU法」、完全廃業だって!別に店を持たしてくれるのでもなく、

       「ハイ、サヨウナラ」だって!さんざコキ使ってツメタイねぇ。

この稼業では知らない人はいないのに。

 

ゲルマニア嬢:なんでもひと悶着あったらしいとか。

 

マリアンヌ嬢:さすがにムッシュも、オノレの愚かさに気づかされたって。

だってマダムは怖いんだから。なんでも、のりこんでいったらしいよ。

 

ゲルマニア嬢:うかがってるわ。〈大先生〉は一転、カフェの存続を図ったけれど、

皆はシランプリ。

そうよね、自分で廃業の提案をしておいて、

それをまたひっくりかえすんだから、意味不明。

それにあのシドロモドロでしょう、何を言ってるのか…。

近頃流行りの高機能広汎性発達ナントヤラじゃないけど、

全く常人の理解を超えているわね。

 

マリアンヌ嬢:結局、うまくいかなかった。マダムはチョットばかしキツイけど、

店はかなり繁盛してる(注:「EU法」履修者多し)のに…。

それもこれも、ムッシュ・チューオーガクイン、アイツのせいだ!

 

ゲルマニア嬢:被雇用者の〈人権〉を蔑(ないがし)ろにしているわ。

 

マリアンヌ嬢:〈人権〉尊重、とくに〈男女平等〉をウリにしてるクセに、ねぇ。

ソトヅラばっかカッコつけてさ。

 

ゲルマニア嬢:こんな在り様では、職員の方々も、さぞご苦労が絶えないでしょうね。

 

マリアンヌ嬢:アタシ、もうホトホト愛想が尽きたぁ。ゲルちゃん、他にイイオトコ探そ。

 

ゲルマニア嬢:ええ、よくてよ、マリアンヌ。

       ここでは法の蘊奥(うんのう=極意)を伝授すること能(あた)わず、

       ですからね。

いっそ、その方が清々するわ。

 

マリアンヌ嬢:そーだそーだ!ムッシュ・チューオーガクインには、

       スポーツナントカ・ギャルがお似合いだぁ。

 

ゲルマニア嬢:学生さんたちにはお気の毒だけれど、いざさらば。

♪また逢うっ、日まで、逢えーる、とぉーきまでー♪

 

マリアンヌ嬢:ゲルちゃん、そのウタ、古いよぅ…。

 

ゲルマニア嬢:法であれ、歌であれ、継承され続けているものにこそ、価値があるのよ。

       ♪別れの、その訳は、はなーしぃーたぁくなーい♪

 

マリアンヌ嬢:法はともかく、イイ加減、新しいウタも覚えてね…。

 

 

かくて法の女神たちは去った。

代わって新たに主神チューオーガクイン〈大先生〉のゴ寵愛を得たのは、

ステンノー([キッズ・スポーツ論]),エウリュアレー([トップ・スポーツ論])

そしてメドゥーサ(「ライフ・スポーツ論」)の怪物三姉妹である。

彼女らの肉体は美しく、とても魅力的だ。

知を司る女神アテーナーの怒りに触れるまでは。

ああ、学の殿堂・中央学院大学法学部に幸あれかし!

 

<完>

 

知の女神アテーナーよ、はやくキテネ!

 


寸劇:女神たちのタコ部屋と遁走(とんそう):後編

2013-04-01 04:25:19 | カリキュラム改革

(承前) 

マリアンヌ嬢:アジア法の世話してる、腰の曲がった爺やが居るでしょ?

 

ゲルマニア嬢:ええ。

 

マリアンヌ嬢:あの爺や、

       ムッシュ・チューオーガクイン付きの使用人(注:専任教員)なの。

 

ゲルマニア嬢:存じ上げてますわ。

 

マリアンヌ嬢:爺やをアジア法のトコに差し回して、一軒家を管理させてる。

 

ゲルマニア嬢:そうらしいわね。

 

マリアンヌ嬢:ちなみにアタシん家・科目「フランス法」も、

       ムッシュ差し回しの太目のヒトが管理してる。

 

ゲルマニア嬢:わたしのおうち・科目「ドイツ法」は、任に適した方をおソトから呼んで

       (注:非常勤講師を指す)、お手入れさせています。

 

マリアンヌ嬢:へえ。

 

ゲルマニア嬢:お給金はもちろんチューオーガクイン〈大先生〉の払いになってますけど。

 

マリアンヌ嬢:ソコなんだな、モンダイのホンシツは。

       アジア法を捨てると爺やの仕事がなくなっちゃう

 

ゲルマニア嬢:はい。

 

マリアンヌ嬢:だから〈経費削減〉をおダイモクに掲げても、

       科目として「アジア法」を切れないの

       一軒家を構えさせ続けなきゃならないの。

 

ゲルマニア嬢:でも、それは理が通らないんじゃないかしら?

 

マリアンヌ嬢:情において忍びない、ってヤツ?ムリが通ればドーリが引っ込む、かな?

 

ゲルマニア嬢:とにかく理に適(かな)いません。

 

マリアンヌ嬢:家を新築するんじゃなし、

       管理人を学外から非常勤のバイトとして新たに雇うんでもないから、

       余計なオカネは一切かからない。現状維持ってワケ。

 

ゲルマニア嬢:本末転倒だわ。

 

マリアンヌ嬢:世の中、そんなモンよ。

 

ゲルマニア嬢:でもマリアンヌ、あなたのおうち・科目「フランス法」をお手入れしてる

       太目の方も、あちらの使用人(=専任)なんでしょう?

 

マリアンヌ嬢:そうよ。

 

ゲルマニア嬢:「フランス法」の科目を無くしたら、その方、お困りにならない?

 

マリアンヌ嬢:そのヒトは他にも「法学」だの「債権法」だのを管理させられてるから、

       やらなきゃなんないオシゴトは、イッパイあんの。

 

ゲルマニア嬢:どうもそのようね。

 

マリアンヌ嬢:なもんで、アタシん家・科目「フランス法」の面倒みなくてよくなるダケ。

 

ゲルマニア嬢:あら、いいわね。

 

マリアンヌ嬢:ムッシュ付きのヒト(注:くどい様ですが専任教員です)だからさ、

負担するオシゴトの量が減るダケで、失業の心配は一切ナシ。

まったくオッケー。

 

ゲルマニア嬢:それはなにより。

 

マリアンヌ嬢:あ、代わりに新設される「情報と法」とやらに配転されるんだっけか?

 

ゲルマニア嬢:してみると、チューオーガクイン〈大先生〉付きの使用人でないのは、

わたしのおうち・科目「ドイツ法」のお手入れをしてくれている

ヒゲおじさんだけだわ。

 

マリアンヌ嬢:経費削減対象にはおあつらえ向き。

       外注の非常勤バイトなんかイッパツで切捨て御免さ

 

ゲルマニア嬢:え、どうしてよ?

 

マリアンヌ嬢:これまでは「ドイツ法」・「フランス法」として各々一家を構えていたぶん、

       管理人もベツベツに雇ってお手当てをあげなきゃ、だった。

 

ゲルマニア嬢:おっしゃる通りです。

 

マリアンヌ嬢:でもこれからはアタシらをヒトカラゲにして、

       タコ部屋「外国法(大陸法)」に押し込めるんだ。

       で、管理人はひとりで済むというアンバイ。

 

ゲルマニア嬢:ちょっと待って…。

 

マリアンヌ嬢:イマまでアタシん家・科目「フランス法」の面倒をみてたムッシュ付きの

       太目のヒト(注:しつこい様ですが専任教員です、念のため)に、

       改めてタコ部屋の管理を任せりゃイイってわけよ。

 

ゲルマニア嬢:それが、チューオーガクイン〈大先生〉の思し召しなの?

 

マリアンヌ嬢:ゲルちゃんさ、アンタのトコのヒゲおじさん、もう用済みだよ。

「大陸法」ってくくりも、案外それを見越してるのかも

 

ゲルマニア嬢:まあ非道(ひど)い!だいたい、「フランス法」を管理してきた方に

「ドイツ法」のお手入れが務まる、と本気でお思いになって?

 

マリアンヌ嬢:それについては「適当でいい」と言われたらしく、

当人も面食らってる様子だって、うわさが流れているわ。

 

ゲルマニア嬢:なんですって!!

 

マリアンヌ嬢:使用人の寄り合い「教育戦略委員会」で、そういう発言があったってさ。

 

ゲルマニア嬢:ウソでしょ?

 

マリアンヌ嬢:疑うんなら、その委員会とやらの議事録でも見せてもらえば?

 

ゲルマニア嬢:シャイセ(=クソッ。ドイツ語)!ああ、ごめんなさい。

でも許せない(憤怒)。

 

マリアンヌ嬢:アタシだってオカンムリさね。

 

ゲルマニア嬢:ドイツ法やフランス法の精髄を知りもしないくせに、身の程知らず!

 (つづく)トえ、イ学部なのに法律科目を削減しつつ止した)と聞いたわねぇ。」


寸劇:女神たちのタコ部屋と遁走(とんそう):中編

2013-04-01 04:23:27 | カリキュラム改革

(承前) 

ゲルマニア嬢:ほかの外国法科目はどうなるの? 

 

マリアンヌ嬢:外国法、ねぇ…。

 

ゲルマニア嬢:大学基準協会の審査を受けたあと、法学部は報告書をまとめてたけれど。

 

マリアンヌ嬢:あぁ、ネットでも公開してるアレね。

 

ゲルマニア嬢:あそこでは〈外国法の拡充〉が明確に謳われていたはずよ。

 

マリアンヌ嬢:バカだねぇ。所詮(しょせん)ヨソ様向けのお体裁(ていさい)、

額面通り受け取ってちゃダメだよ。

 

ゲルマニア嬢:まあ、をついたのね。

 

マリアンヌ嬢:外国法カンケイで残るのは、

       「外国法(英米法)」と「外国法(アジア法)」、

       それにさっき言ったようにアタシらが同居させられる、

       「外国法(大陸法)」

       都合この3つダケ

 

ゲルマニア嬢:曲がりなりにも法科の看板を掲げていて、

       あまりに少なすぎるんじゃありません?

 

マリアンヌ嬢:ったく、これで〈外国法の拡充〉とは聞いてアキれるわぁ。

 

ゲルマニア嬢:英米法が残るのは、もっともな気がします。

       ジョン・ブル卿とアンクル・サム氏、どちらも押しがきくから…。

           (注:ョン・ブルとは、擬人化した架空の人物で、英国人一般を指す。

            アンクル・サムとは、同じくアメリカ〈合衆国〉人一般を指す)。

       でもその、アジア法って何ですの?

 

 

マリアンヌ嬢:ああ、アジア法ねぇ(苦笑)。

 

ゲルマニア嬢:ヤーパンの法を学ぶ上で必要不可欠な外国法体系を分けるならば、むしろ

       「外国法(英米法)」「外国法(ドイツ法)」「外国法(フランス法)の

       3本立てでいくべきでしょうに!

 

マリアンヌ嬢:ゲルちゃんは事情をよく知らないから、そう思うのも仕方ないねぇ。

ムッシュとあのコ、アジア法は腐れ縁なのよ。

 

ゲルマニア嬢:差し支えなければ、どんな娘さんなの?法学の世界では聞きなれないわね。

 

マリアンヌ嬢:まぁ、アタシらみたいに一本スジが通ったコじゃあないわね。

       アタシたちフランス法やドイツ法には、アンタ風に言えば、

       固有の法典・歴史・思想・方法論があるけど、

       アジア法、あのコには、ない(キッパリ)。

 

ゲルマニア嬢:それなのに?

 

マリアンヌ嬢:中身がないぶん、あのコはイロイロ取り繕ってアピールしてるんだ。

 

ゲルマニア嬢:お化粧がお上手なの?

 

マリアンヌ嬢:中国・台湾・韓国、マレーやらシンガポール、フィリピンなんかの憲制で

       ゴテゴテ厚塗りしちゃって、ひとかどのオンナを気取ってるんだ(苦笑)。

       独り立ちもできないのにねぇ。

 

ゲルマニア嬢:(サエギル様に)お待ちになって!中台韓の法体系はヤーパンの法を

継受したもの、サカノボッテ突き詰めれば、我がドイツ法の影響下にあると

見るべきでしょう?

 

マリアンヌ嬢:アンタがそう言うんなら、そうなんでしょ。

 

ゲルマニア嬢:それに旧英米植民地諸国の法は、敢えて言うなら英米法のお仲間かしら?

 

マリアンヌ嬢:たぶん。

 

ゲルマニア嬢:マリアンヌ、あなたの領分であるフランス法なら、そう、ヴェトナムね。

       ヴェトナムって、おフランスの植民地だったのでしょう。

 

マリアンヌ嬢:まあね。

 

ゲルマニア嬢:ともかくアジア法さんは統一した法体系や思想をお持ち合わせでない様ね。

 

マリアンヌ嬢:ソリャソーヨ。まぁ一種のゴッタ煮ね。

 

ゲルマニア嬢:講義は成り立つのかしら?

 

マリアンヌ嬢:あのコはイマも独立した科目「アジア法」として、一家を構えてるよ。

 

ゲルマニア嬢:で、ちゃんとなさっているの?

 

マリアンヌ嬢:大学では前・後期合わせて30回講義があるけど、あのコのトコでは

       各国にだいたい3回分割り当ててお茶を濁してるってさ。

       実際、それでも時間を持て余してるカンジだけど。

 

ゲルマニア嬢:ならば「外国法(アジア法)」という科目名は、〈羊頭狗肉〉ではなくて?

 

マリアンヌ嬢:ぶっちゃけ、そうだね。

 

ゲルマニア嬢:そうした実情に眼をつむって、「外国法」の下に「英米法」や「大陸法」と、

       その「アジア法」を並置するのは、バランスがとれないし、

       平仄(ひょうそく)が合わないじゃありませんか!

 

マリアンヌ嬢:ムッシュ・チューオーガクインは、法のナンタルカを知らない(笑)。

 

ゲルマニア嬢:笑い事でなくてよ。鼎(かなえ)の軽重が問われる、あるまじき所業だわ。

 

マリアンヌ嬢:それでいてムッシュは、ナントカの一つ覚えみたいに

       「アジアは大事だ!」っていうのよ。

 

ゲルマニア嬢:かつての大陸ローニンみたいね。

 

マリアンヌ嬢:イマならさしづめ、市民運動オバサンだね、ああした口ぶりで語るのは。

       ふだんはウンともスンとも言えずに黙りこくってるだけなのに、ねぇ。

 

ゲルマニア嬢:アジア法さんは、西アジアの〈イスラム法〉は扱わないの?

 

マリアンヌ嬢:そういや、むかし「イスラム法」ってコも居たねぇ。

 

ゲルマニア嬢:あらそうなの?チューオーガクイン〈大先生〉の守備範囲は広いのね。

 

マリアンヌ嬢:ムッシュは彼女にも、御同様に一軒家をあてがってたんだ。

けど、ここ暫くご無沙汰で(注:ずっと閉講扱い)、

今般とうとう引導を渡した(注:科目廃止決定)、と聞いたわ。

 

ゲルマニア嬢:多情なのか薄情なのか…。

 

マリアンヌ嬢:アンタが言ったように、節操がないんだ。トーゼン、知恵もないけど。

 

ゲルマニア嬢:彼はアジア法さんと今後もお付き合いするつもりなの?

 

マリアンヌ嬢:ムッシュは元来ケチなんだから、ホントならあのコともスッパリ縁切りゃ

       ヨカッタんだ。

 

ゲルマニア嬢:ふうん。

 

マリアンヌ嬢:近頃じゃ「スポーツなんたら」とかいう氏素性のアヤしいギャルたちにも

       オネツ上げて。

 

ゲルマニア嬢:なにそれ?

 

マリアンヌ嬢:3人も抱え込んじゃった挙句(あげく)、

       それぞれ一軒づつ家をこさえてやった、って。

(注:「キッズ・スポーツ論」「トップ・スポーツ論」「ライフ・スポーツ論」

 3科目の新規設置を指す)

       

ゲルマニア嬢:まあ、おさかんだこと。お体にさわらないのかしら。

それにしても、ずいぶん経済的に余裕があるのね。

 

マリアンヌ嬢:抱えるのには、金に糸目をつけないってコトね。

 

ゲルマニア嬢:〈大先生〉ご当人はナントカのひとつ覚えみたいに〈経費削減〉って

口を酸っぱくしてわめいてるのに、なんなの。

わたくし、訳が分かりませんわ。

 

マリアンヌ嬢:アジア法を切らずに残すのも、

       ゲルちゃんとアタシを「外国法(大陸法)」のタコ部屋に追いやって

       「ドイツ法」と「フランス法」を一緒クタにするのも、

       みんなタクラミがあるのよ。

 

ゲルマニア嬢:!?

(つづく)


寸劇:女神たちのタコ部屋と遁走(とんそう):前編

2013-04-01 03:36:17 | カリキュラム改革

 ドイツとフランスが統一?

「外国法(大陸法)」という不可解な科目設定の非合理性を衝く!

 

寸劇:女神たちのタコ部屋と遁走(とんそう)

 

はじめに(解説):

        2013年度より、これまで別個に開講されていた法学部専門科目

「ドイツ法」並びに「フランス法」を、

「外国法(大陸法)」

          として統合する新カリキュラムが施行される。

 

          ドイツ法は、日本の憲法・刑法に大きな影響を与えた。

          フランス法は、日本の民法に大きな影響を与えた。

 

 両法は、ローマ法に由来するものの、固有の歴史と法体系を有しており、

一つの講義に同居させるというのは、前代未聞の珍事である。

 

我が国の法学部において、かかる素っ頓狂な科目編成は他に例を見ない

 

 この所業は、「財政再建」の掛け声の下、現法学部長を旗頭とした法学部の素人集団、

(法律とは無縁の語学:5名、体育:2名、自然科学:1名、教職科目:2名)の大半と、

これに付和雷同する若手・中堅教員の大半によってなされたものである。

 

 法学部教授会の総数は27名程度であるが、まさに法律の何たるか、法教育の何たるかを

知らない者による暴挙としか言いようがない。

 

  なお責められるべきは、自らの経営・教育戦略の失敗を省みぬまま、

 

 「財政再建」のために「カリキュラム改革」を実施せよという珍妙な通達

 

           発した、理事会に陣取る

 

吉椎三(即ち吉野理事長・椎名学長・三友常務理事の御三家)であろう

 

 もとより見識ある法学部長であれば、こうした事理を弁(わきま)えない通達なぞ一蹴し、学の殿堂を擁護してしかるべきである。

 

 にもかかわらず現法学部長は、その使命を放棄し、かえって法学部の「・法学部」化

 

一層進めてしまった

 

 彼の罪業は、教育水準の低下それに伴う向学心に富む志望者の減少等、由々しき悪影響をもたらしかねない。

 

この意味で現法学部長たる〈大先生〉は、

大学崩壊を招く元凶であり、中央学院にとってまさに獅子身中の虫である。

 

 

登場する女神

ゲルマニア嬢:   女神。ドイツ法の化身。

マリアンヌ嬢:   女神。フランス法の化身。

 

言及される神および人物

チューオーガクイン:法の世界を総(す)べる主神?

俗世では「中央学院大学法学部」又は「同学部長」の形で顕現する。

斯界では〈大先生〉として振舞い、ウィキペデイア上で知らない者はいない。

両嬢のパトロンである。本編には登場せず、両嬢の語りを

通してその在り様が明らかにされる。 

 エウロパ     :ゼウスが略奪したテュロスの王女(ギリシャ神話)。

           英語表記では Europe〈ヨーロッパ〉。

           本編には登場せず。

           落ちぶれて、天界のカフェ「EU法」を切り盛りする

           年増(としま)の雇われマダムとなった。

 

〈ある昼下がり、天界のカフェ「EU法」にて〉

 

ゲルマニア嬢:どうもマリアンヌさん、ごきげんよう。

 

マリアンヌ嬢:あらゲルちゃん、しばらくぶりねぇ。すこぅし太った?

ラインのほとりでジャガイモばっかり食べてちゃダメよ。

 

ゲルマニア嬢:マリアンヌ、あなたのようにクロワッサンだけでは、ね。

 

マリアンヌ嬢:アタシのカラダにはこれがイチバン合ってんの。あと、セーヌの水もね。

 

ゲルマニア嬢:ところで最近お変わりなくて?

 

マリアンヌ嬢:オオアリのコンコンチキよ。

       アタシらのパトロン、ムッシュ・チューオーガクインのタクラミ、

       まだ聞いてない?

 

ゲルマニア嬢:ええと、なにかしら?

 

マリアンヌ嬢:ムッシュの〈法世界・再創造計画〉(注:法学部カリキュラム改悪)よ。

 

ゲルマニア嬢:詳しくはまだ何も…。

 

マリアンヌ嬢:彼、ゲルちゃんとアタシとにめいめい呉(く)れてた一軒家

(注:カリキュラム上で独立した科目としての位置づけ)、

イマになって取り上げるんだとさ。

 

ゲルマニア嬢:なんですって!?

 

マリアンヌ嬢:もう「外国法(大陸法)」ってフラット(=アパート)を借りて、

ソコにアタシらを同居させる腹づもりよ。

 

ゲルマニア嬢:わたしのおうち(注:独立科目「ドイツ法」)と、マリアンヌ、

あなたのおうち(注:同「フランス法」)は、一体どうなるの?

 

マリアンヌ嬢:イマんトコはソノママだけど、おっつけ解体(注:科目統廃合)される運び。

 

ゲルマニア嬢:無節操極まりない遣(や)り口ね(激怒)。でも、それ本当なの?

 

マリアンヌ嬢:そ、メンドーな段取りはもうみんな済ませて、早けりゃ3年後かな、解体。

 

ゲルマニア嬢:そもそも「大陸法」ってくくり方、いささか乱暴じゃありません?

 

マリアンヌ嬢:ムッシュ自身、テキトーだから(笑)。

 

ゲルマニア嬢:ドイツ法とフランス法は、共にローマ法を継受しているけれど、

       各々固有の歴史を経て発展してきた法体系なのに…

       (悲憤慷慨:ひふんこうがい)。

 

マリアンヌ嬢:アタシら、性格も違うしタマにケンカするけど、

       お互いにイイトコとワルイトコ認め合ってて、

       なお「オノレの道をゆく」って間柄だもんね。

 

ゲルマニア嬢:ええ、まさしくその通りだわ。

 

マリアンヌ嬢:ムッシュ・チュウオーガクインは、ソコんトコが分かってないんだ。

 

ゲルマニア嬢:あなたのフランス法、ことにナポレオン法典に見られる市民法精神は、

ボアソナード先生を通じてヤーパン(=日本)の法形成にも思想的な影響を

随分与えたのに…。

 

マリアンヌ嬢:そうねぇ(遠い眼)。

 

ゲルマニア嬢:わたしのドイツ法にしても、ヤーパンが憲法や刑法をこしらえた時分には

       色々と尽力したはずなのに…(サメザメ)。

 

マリアンヌ嬢:ゲルちゃん、泣くのはお止しよ。

       アイツにとっては外国法や基礎法なんて、ドーデモいいんだ。

 

ゲルマニア嬢:え?

 

マリアンヌ嬢:なにせ「比較法」や「法社会学」も廃止する、ってんだからさ。

 

ゲルマニア嬢:あんまりだわ。

 

マリアンヌ嬢:ムッシュ曰く、「この程度の大学には実定法だけで十分」なんだと。

       学生さんがカワイソウだねぇ。

       でもアイツ、エラぶってる割りに、基本六法に何法が含まれてるんだか、

       答えられない

       (注:コレ実話。憲法・民法・刑法しか挙げられず、商法・民訴・刑訴を

 知らなかった)。

(つづく)トえ、イ学部なのに法律科目を削減しつつ止した)と聞いたわねぇ。」