今朝、「昨日、他医でインフルエンザA型と診断され、薬を飲んだけれど効かない。解熱剤を服用しても熱が下がらず39℃でぐったりしている。何とかしてください」と電話がありました。患者さんは男子高校生で、普段は元気なのだと思われますが、本当にぐったりと後部座席で横になっていました。
聞くと、抗インフルエンザ薬はゾフルーザを処方され、昨夜と今朝、1錠ずつ服用したと言われます。あれ???ゾフルーザって一回だけの服用では無かったかな?確かめてみるとやはりそうで、昨夜2錠一回で服用するように薬袋に書いてありました。
1度に2錠飲むべきところを2回に分けてしまったので血中濃度が上がらずに効かなかったのかもしれませんね とは言いましたが、それにしても効きが悪いですよね。
それで、調べてみたら、何だか怖い現実?が見えてきました。現在流行しているのはA型、その中でもA(H3N2)亜型(いわゆる香港型)が主流です。2018年から売り出されたゾフルーザですが、2019年には
「ゾフルーザ」を投与されたA香港型のインフルエンザ患者30人を調べたところ、70%余りに当たる22人から、この薬が効きにくい耐性ウイルスが検出されたことが国立感染症研究所の調査で分かりました。
というレポートが出ています。耐性菌を作りやすい薬なのですよ。
一回の服用で治療が終了する便利な薬で体重10㎏以上の子供に使える素晴らしい薬なのですが、便利なので使われ過ぎました。使われ過ぎた結果、耐性ウィルスが多く存在するようになってしまいました。今回、「全く効かなかった」のは服用方法が間違ったせいもあるでしょうが、耐性ウィルスだった可能性が高いと私は思っています。
私個人としては、小児には使うべきではないと思っていますし、日本小児科学会、日本感染症学会もともに12歳以下には使用を勧めないと言っています。私は2019年以降全く使っていません。
今回の症例は15歳でしたが・・・同じ高校の生徒が薬が効かないと言っているらしいです。耐性菌が流行っているのに、ゾフルーザが処方され続けているのかもしれませんね。
抗インフルエンザ薬、一長一短はあります。そしてどの薬でも耐性ウィルスは存在する事が分かっています。とはいえ・・・現況でのゾフルーザ使用は、お勧めしかねます。だって、一番高価なのに、全く効かない可能性が高いのですから!!!
高熱ではないモノの熱が下がらず、半ドンで帰って行きました。
今までの薬が効かなくなって来ている。
そんな風に言ってました。
何とかしないといけませんね。
抗菌剤、抗ウィルス剤の安易な使い過ぎによる耐性菌・耐性ウィルス問題とても奥が深いです。
今後も、分かる範囲で報告させていただきます。