海自いじめ自殺 「息子の命無駄にしない」勝訴の母、涙で

2014-06-11 | 事件

海自いじめ自殺訴訟

2014年4月25日

●「不都合な真実」隠しを断罪●

いじめを苦に自殺した海上自衛隊護衛艦乗組員の遺族が国などに損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で東京高裁は、賠償を一審横浜地裁判決の440万円から7300万円余に大幅に増額した。

「自殺の予測は不可能」とした一審の判断を覆して「予測可能で回避できた」とし、海自による内部調査文書などの隠蔽(いんぺい)があったことも認定した。

■秘密見張る仕組みを■

提訴から8年。国・海自側の姿勢は不誠実きわまりないものだった。

国側は「自殺の原因は借金」と主張し、いじめとの因果関係を否定した。

一審判決は「先輩の暴行、恐喝が自殺原因」としたものの「上官らが自殺を予見できたとまでは認められない」と判断。

わずかな慰謝料しか認めず事実上、遺族側敗訴の内容となった。

だが控訴審になり、いじめの実態が記された内部調査文書などの存在が、海自隊員の内部告発によって明らかになる。

国側は「破棄した」と説明したが、この海自隊員が証人尋問に応じ詳細に証言したことから裁判の流れが大きく変わり、ついに海自の組織的隠蔽が断罪された。

内部告発がなければ、海自の責任のほとんどは闇に葬られていたかもしれない。

特定秘密保護法の施行が迫る中、役所が都合の悪い情報を秘密指定して隠すことがないようチェックする仕組みを早急に整える必要性を痛感させる。

自殺したのは海自護衛艦乗組員で、21歳だった1等海士。

先輩の元2曹から頭を殴られたりガス銃で撃たれたりする暴行を繰り返し受けた上に、アダルトビデオ代金などの名目で約9万円を脅し取られていたという。

2004年10月、東京都内で電車に飛び込んだ。

遺書には元2曹への恨みがつづられていた。

元2曹は翌年、別の後輩への暴行と恐喝の罪で有罪判決を受けている。

■内部告発で状況一変■

06年に提訴した時点では、海自が1士の自殺後に乗組員らに実施したアンケートや元2曹の聞き取りメモ、自殺直前に1士と酒を飲んだ同僚の供述など多くの文書は表に出ていなかった。

それもあって一審判決は、死亡に対する賠償は認めず、1士が生前に受けた精神的苦痛への慰謝料支払いを命じるにとどまった。

ところが一審で国側の指定代理人を務めた海自隊員の内部告発によって状況は一変する。

一審判決から間もない11年2月に、遺族側の弁護士に海自の文書隠しが伝えられたという。

乗組員の多くが語った暴行や恐喝の実態は国・海自側にとって不都合な真実であり、予測可能性をめぐる一審判断を覆すことになった。

内部告発した海自隊員について規律違反の疑いで懲戒処分の手続きが進められているという。

真実を明らかにする内部告発は保護されるべきであり、それを「裏切り」とみなし報復するようなことは厳に慎むべきだ。
http://www.the-miyanichi.co.jp/shasetsu/_5398.html

 

 

海自いじめ自殺:「息子の命無駄にしない」勝訴の母、涙で

毎日新聞 2014年04月23日 23時37分(最終更新 04月23日 23時51分)

海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」に勤務していた男性1等海士(当時21歳)の自殺を巡る訴訟の東京高裁判決は、証拠の隠蔽(いんぺい)を指摘した上で、いじめ自殺を防げなかった国の責任も認めた。

「大切な息子の命を無駄にしたくなかった」。

我が子の自殺から10年。

法廷で判決を聞いた1士の母親(60)は23日午後、東京都内で記者会見し、真相を求めて奔走した歳月を振り返った。

「人助けができたらいいよね」。

災害救助に従事する自衛隊員の姿をテレビで見た息子がつぶやいた言葉を、母は今でもよく覚えているという。

1士は父の勧めもあり、高校卒業後にカナダ留学を経て、自衛隊の採用試験を受けた。

2003年、海上自衛隊に入隊した。

しかし04年10月、突然に自ら命を絶った。

遺書には、家族に対する感謝の言葉とともに「お前だけは呪い殺してやる」と先輩隊員を憎悪する言葉がつづられていた。

残された手帳には「艦の中は地獄」とも書き残されていた。

それでも海自は非を認めなかった。

息子の無念と名誉を回復する母親の闘いが始まった。

06年の提訴から5年たってようやく言い渡された1審判決は、死亡に対する国の責任を否定。

「許せないと思った。命の責任だけはとっていただきたい。そこが認められなかったら前に進めない」と落ち込んだ。

それからさらに3年がたった。

内部告発を得て臨んだこの日の控訴審判決は、海自による証拠隠しを「違法」と認め、暴かれた証拠に基づいて自殺に対する国の責任を明確に認めた。

母は会見で真っ先に「大勢の人たちが真実を追求するために支えてくださった」と感謝の言葉を口にし、「やっとここまでこられたと息子に伝えたい」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

自衛隊では、隊員の自殺が相次いでいるという。

「役に立つ活動ができればと思っている。自殺を一人でも防ぐことができれば息子が生きた証しにもなる。判決を無駄にしてほしくない」
http://mainichi.jp/select/news/20140424k0000m040116000c.html

 

 

海自いじめ自殺訴訟:「隠蔽体質変えて」遺族の願い届く

毎日新聞 2014年04月23日 12時56分(最終更新 04月23日 13時21分)

命に対する国の責任を司法が認めた。

海上自衛隊の内部から告発が飛び出す異例の展開をたどった末、23日に言い渡された護衛艦「たちかぜ」乗員いじめ自殺訴訟の東京高裁判決は、海自による証拠隠しがあったと認定し、自殺はいじめが原因と結論付けた。

「どれほど国に苦しめられるのか。隠蔽(いんぺい)体質を変えてほしい」。

法廷で訴え続けた遺族の願いが届いた。

【山下俊輔、島田信幸】

午前11時過ぎ、東京高裁101号法廷。

鈴木健太裁判長が1審判決を大きく上回る額の賠償を命じて退廷した後、内部告発した3等海佐(46)は、自殺した男性1等海士(当時21歳)の母と固い握手を交わした。

母は閉廷後の報道陣の取材に応じ「(1審中に)亡くなった主人と一緒に勝訴判決を聞きたかった。一番大事な、命の責任が認められた。(息子が)生きた証を残せた」と言葉を詰まらせた。

3佐は毎日新聞の取材に「この判決で遺族の方が前を向いて生きていただければ…。私の願いはそれだけです」と語った。

「不利な文書だから、隠そうという判断がなされた。二度とないようにしていただきたい」。

2013年12月11日、東京高裁。

3佐が証人尋問で、証拠隠しの事実があったと詳細に証言した。

自殺した男性1士の遺族が提訴したのは06年4月。

訴訟担当だった3佐は、遺族が情報公開請求した乗員アンケートは「破棄したことになっている」と同僚から告げられたが、法務室で文書の存在を自らの目で確認した。

「ずっと心にひっかかっていた。いろいろ悩んだ」という。

08年に内部通報したが反応はなかった。

1審判決当日に上官に開示を迫ったが無視された。

「行政文書は国民のもの。存在する文書を隠す行為は民主主義の根幹を揺るがす」。

11年2月、遺族側の弁護士に内部告発の手紙を出した。

「少なくとも文書が出ることで、遺族側は納得できるだろうと考えた」

文書のコピーを持ち出したなどとして問題視され、懲戒処分の検討対象になっている。

3佐は「内部告発をしたことが良かったのか悪かったのか分からない。ただ、他に選択肢はなかった」と振り返る。
http://mainichi.jp/select/news/20140423k0000e040231000c.html

 

 

 

 

 

 

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