韓国で急増する教権侵害事件
保護者による教権侵害、今年度1学期だけで昨年の2倍
児童・生徒によるセクハラも深刻
ソウル市内の学校に通う子どもの親が、夜中に教師に電話をかけた。
親は「うちの子がカカオトーク(スマートフォン向け無料チャット・通話アプリ)で悪口を浴びせられたが、教師の指導がなっていないから、こういうことになる。すぐに謝罪し、問題の解決に動け。さもなければ教育庁(教育委員会に相当)に申告する。大統領府にも知り合いがいる」と脅した。
今年7月20日、首都圏のある学校に保護者が押し掛け「子どもの2学期の時間割をよこせ」と要求し乱暴を働いた。
この保護者は職員室で約30分にわたって大声を張り上げた。
警察が出動したところ、帰宅していた保護者が再び学校に現れ乱暴を働き、結局近くの地区隊(日本の交番に相当)に連行された。
また、慶尚北道のある学校では、在校生が夜間に職員室に侵入し、教師の机の上に汚物をまき、教師に対する脅迫の意味で斧(おの)を置いた。
■教師に暴行を加える親
これらは今年度の1学期、学校や教師が児童・生徒や親から受けた被害の事例だ。
毎年、教師が暴行を受けたり、暴言を浴びせられたりする「教権(外部から干渉されず、自主的に教育する権利)侵害事件」が増加しているが、とりわけ保護者による教権の侵害が急増している。
保護者による教権侵害事件は、今年度の1学期だけで95件発生し、昨年(47件)の2倍に達した。
教育科学技術部(省に相当)の資料によると、今年度の1学期に保護者が起こした教権侵害事件にはさまざまなパターンがある。
中には、校内暴力によって懲戒処分を受けた生徒の親が、担任に対し「処分を撤回しなければ自殺する」と脅したケースがあった。
また、ある親は休日の午前4時に、教師に「会いたい」というメールを送って呼び出し、暴言を浴びせた。
今年初め、教権侵害事件を起こした保護者のうち、刑事訴追された者は3人にとどまり、残りは全く処罰を受けなかった。
保護者による教権侵害事件が増加していることについて、教育界の関係者たちは「学校や教師の立場を無視し、自分の子どものことだけを考える
親が増加しているためだ」と指摘した。
ソウル市内のある高校の教諭は「かつての親たちは、教師が子どもを叱った場合『うちの子が過ちを犯した』と考えたが、最近は『教師がなぜうちの子を叱るのか』と抗議するようになった」と語った。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/04/2012100401285.html
2012/10/04
韓国で急増する教権侵害事件
保護者による教権侵害、今年度1学期だけで昨年の2倍
児童・生徒によるセクハラも深刻
■児童・生徒による教師へのセクハラ
児童・生徒による教師に対するセクハラは、昨年には52件発生したが、今年は1学期だけで75件に達した。このうち62%(47件)は中学校で発生した。
最近、慶尚南道のある中学校に勤務する30代の女性教諭の元に、おかしな電話が数回かかってきた。
何も話さず、うめき声だけを聞かせるものだった。
発信元の電話番号を調べたところ、勤務先の学校の男子生徒だと分かった。
女性教諭は「最近の中学生は、幼いころから動画などを通じ、性に目覚めるケースが多く、関心も高い。
そのため、女性教師も性的な興味の対象と考えるケースが少なくない」と語った。
教権侵害事件についての資料を公開した、与党セヌリ党の姜恩姫(カン・ウンヒ)議員は「最近の教師たちに対するアンケート調査の結果、女性教諭の20%が、児童・生徒を指導していて、性的に不快な経験をしたことがある、と回答した。セクハラの問題はそれだけ深刻だ」と話した。
韓国教員団体総連合会(教総)のキム・ドンソク・スポークスマンは「最近、いわゆる進歩派の教育監(教育長に相当)が制定した児童・生徒人権条例の影響で、教師の権威を認めず、児童・生徒が教師をけなし、暴力を働いたり、セクハラ行為に及んだりするケースが増加した。
教権の侵害は一部の地域や学校に限られたものではなく、全国に広がり、深刻化している」と指摘した。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/04/2012100401285_2.html
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