葡萄舎だより

海峡の街・下関の、葡萄舎の住人・洒人 (しゃじん) が身の周りの些事片々を書き綴ります。
本人は日記のつもりです。

九州の灯台めぐり 3

2006年06月01日 09時52分04秒 | 燈台めぐりノート
photo ; 細島灯台

鶴御埼灯台の佐伯市から10号線を南下して、延岡を過ぎ、日向市までの遠いこと!
やっとのことで日向に入り、ホッとしたのが運の尽きで、道に迷った。
地理学を専攻して、方向感覚はシッカリしている、との自負から、
カーナビの助けをかたくなに拒んできたが、そろそろ購入を考えるか。
道に迷い込みながらも、目的の場所に近づいている確信はあった。
そこで、眼に飛び込んできたのが、「馬ヶ背灯台」 という案内板。
馬ヶ背灯台、聞いたことはないが、「灯台」 という字に、ハンドルは自然に反応する。
次に出てきた案内看板は 「日向岬灯台」。
肝心の、「細島灯台」 という文字にお目にかからないまま走らせていると、
なにやら立派な燈台が眼に入ってきた。
この際、灯台なら何でもいい。 行け!
燈台の周辺は土地のレジャースポットになっているのだろう、
ゲートボール大会をはじめ、行楽客が多い。
灯台がある山の周回道路はハイキングコースだが、
誰に聞いても、「この灯台が 細島灯台」 と言う人は一人もいない。
灯台の敷地は展望公園になっていて、入り口に燈光会の看板が立っている。
読めば、「細島灯台」。
私の勝手な判断だが、地元の方は 「馬ヶ背灯台」 と呼び、
日向市の観光課は「日向岬灯台」 を使い、
海上保安庁は 「細島灯台」 を採用している、らしい。 ややこしい話だ。
尚、細島灯台の初点灯は昭和16年だが、
明治43年5月10日には、宮崎県が小さなレンガ造りで航海安全の灯を灯している。
柱状節理の断崖 ・ 馬ヶ背を訪れる人は多いが、灯台を訪れる人は少ない。
いい灯台なのに。

私がこれまでに接してきた宮崎県人は数少ないが、宮崎の県民性に一つの思い込みがあった。
自分を主張せず、周囲にあわせて、物静か‥‥。
このたび、日向路(10号線)を北から南まで走って、その認識を変えた。
最初に断っておくが、それは他愛もないことで、宮崎県人を悪く言うつもりは全く、ない。
国道10号は単調な路線だ。起伏も、曲折も少ない。 交通量も少ない(日曜だから?)。
道路の改良が進みつつあるのか、登坂車線や片側2車線の区間も多い。
片側2車線の区間で、走行車線には 「ゆずり車線」 の標識まであるのだが、
「ゆずり車線」 を走る車は、まず、いない。
みんな、追い越し車線を1列になって走っている。 ついでに、登坂車線を走る車もいない。
日程上、先を急ぐ私は、ゆずり車線と登坂車線を走りきることで、相当数の車を追い抜いた。
ゆずり車線は、「私のために譲ってくれる車線」 だったのだろう。

九州山地の一番山深い椎葉、西米良から流れ出す一ツ瀬川は大量の土砂を運び、
日向灘に打ち寄せる波は新富町の河口付近に大きな砂州を形成する。
その砂州から平地が広がり、1kmほど離れた場所に、
「鬼付女峰」 という、なんとも怖い名前の丘がある。標高58m。
ブルゴーニュのワインが好きな方ならすぐに思い浮かぶだろうが、
地形図で見る限り、「コルトンの丘」 の形状だ。
今回の灯台めぐりからすれば、パスする灯台だが、丘の形状が気に入って寄り道をした。
車で丘を一周したが、上り口らしきものが2箇所ある。
私は石段を選んだ。 これが間違いの始まり。
中腹の祠で石段は途切れた。 あとはがむしゃらに 「藪こぎ」。
ふるさとの低山歩きで何度も藪をこいだ経験が生きた。しかし、茨の多い藪だった。
土地の人は 「観音山」 と呼ぶらしい。 たくさんの石像が並んで、公園になっている。
日向灘沿岸には航路標識が乏しく、細島灯台と戸崎鼻灯台の中間地点として、
「日向のコルトンの丘」を選んだのだ、という。

今日の予定は宮崎市まで入れればいい、と思っていたが、
ひたすら走ったおかげで、日南海岸まで来てしまった。
すると、欲が出るから、都井岬まで足を延ばせたら‥‥、となる。
そうなると、鵜戸埼灯台は単なる通過点になる。 鵜戸神宮への参詣はパスせざるを得ない。
とにかく灯台へ。
鵜戸神宮の駐車場の手前から海岸線を走ると、あっけないほど簡単に灯台前に着く。
鵜戸神宮の参道にふさわしく、
周囲の景観にマッチするように設計されたのが石灯籠型の灯塔だ、と案内板にある。
頂上の擬宝珠が灯器になっている。
伊豆大島にはアンコ像の燈台があり、川奈にはゴルフボールの灯台、
小田原の波止場には小田原提灯の灯台。
これらをデザイン灯台、と呼ぶらしいが、私は、灯台は灯台らしいのがいい。
好みの問題だろうが。
鵜戸埼の石灯籠型の燈台が、
灯台ファンになった私が見た最初のデザイン灯台だったことは記憶に留まるだろう。
そういえば、下関の 「あるかぽーと防波堤」 にも賑々しい燈台があるが。

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