葡萄舎だより

海峡の街・下関の、葡萄舎の住人・洒人 (しゃじん) が身の周りの些事片々を書き綴ります。
本人は日記のつもりです。

葡萄の樹は残った

2006年08月19日 16時57分35秒 | 日記 ・ 雑記録
葡萄舎の竣工は96年の暮れだから、一昔前だ。

葡萄舎にはウッドデッキがあったのだが、
年に1回、中秋の名月を愛でる以外は、使い道のないスペースだった。
北と西が建物だったから、冬の季節風・四王司颪をさえぎってくれて、
日向ぼっこをしながら煙草を吸うには最高の場所だった。

建物には 「葡萄舎」 などと名前をつけているから、
建物に葡萄樹の何本かは必要だろうと、ホームセンターで苗木を買って植えた。
ウッドデッキの手すりに沿って植えたのは3本。
あの頃はワインに夢中だったし、銘醸地めぐりに憂き身をやつしていたから、
植えるならワイン用葡萄となるはずだが、存外、醒めた判断をする性質で、
ワイン用葡萄が日本の風土で上手く育つわけがない、と信じていたから
植えたのは日本でも育つ生食用の葡萄だ。

ところが3年前に、ウッドデッキを取り壊して、増築してしまった。
植えられていた3本の葡萄樹は、工事で倒され踏みつけられた。
1本だけが、辛うじて生き残った。
屋根まで延ばそうと、添木をあてがった以外は
いっさい面倒を見ずに放置していたのだが、
季節が来ると花を咲かせ、結実し、色づいてきた。
薬品も施さず、害虫も駆除しないから、色づいた果実は不揃いだ。

不揃いな葡萄の果実を見て、感じるものがある。
この2年ばかり、私の関心と興味はワインから遠ざかっていた。
私に葡萄舎がある限り、私にワインはあり続けるのだが、
9月には 盆さん のご来関が実現することでもあり、
またぞろ、ワインの世界に戻っていこうか、と。

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