葡萄舎だより

海峡の街・下関の、葡萄舎の住人・洒人 (しゃじん) が身の周りの些事片々を書き綴ります。
本人は日記のつもりです。

矢敷土工房

2006年06月11日 10時52分41秒 | 日記 ・ 雑記録
4月も初めの頃、前のスーパーで軒先を借りて、
雑多な(失礼!)陶芸品の小物を売っている男がいた。
インディアンのテントのようなものを手にとって、「これ、何に使うの?」 と聞いた。
「まぁ、文鎮でしょうか」 と暢気な答え。
どうやら彼は、用途よりも造形を追及している、と見た。 で、それを買った。
彼の作品を見ると、緻密で、繊細で、それと相反するが鈍重だ。
ドン臭いが、柔らか味と優しさが感じられる。 素朴なのだ。

私の同級生には、大野誠二という、萩焼作家として押しも押されもせぬ人物がいる。
萩焼作家の作品と比べるのは意味がないが、およそ、対極にいる、
と素人には思える。

彼は小さい紙切れをPOP代わりに、月餅のようなメニュースタンドに立てかけていた。
一瞬、それを葡萄舎のメニュースタンドに使ってみようか、と考えがよぎった。
「10個ほど、作ってみる?」  彼は引き受けた。
「出来上がれば、見てもらいにお伺いします」 と細かい字で葉書が来た。
昨日、10個ほど持参して来た。 愛すべき小品だ。
「いくらで売る?」
「前回と同じ1個700円で、どうでしょう」
気に入ったから800円で買った。

私は、彼が陶芸家として大成するのを応援したり、期待して見守る篤志家ではない。
好きに泥をいじくって、それで生計が立てばいいナ、と思う程度だ。
でも、メニュースタンドとして使うたびに、彼を思い出すだろう。 頑張りィ~ヨ!

作品に似た好人物・松本青年の「矢敷土工房」 は、下関市菊川町久野639 にある。

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