Bravo! オペラ & クラシック音楽

オペラとクラシック音楽に関する肩の凝らない芸術的な鑑賞の記録

5/24(日)中村紘子&堤剛デュオリサイタル/千葉県文化会館のプレミアム・シリーズ

2015年05月24日 23時00分00秒 | クラシックコンサート
Premium Classic Series Vol.22
中村紘子&堤剛デュオリサイタル


2015年5月24日(日)14:00~ 千葉県文化会館・大ホール 指定席 1階 2列 25番 5,500円
チェロ: 堤 剛
ピアノ: 中村紘子
【曲目】
J.S.バッハ: 無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV.1007(堤)
パガニーニ: 24の奇想曲 作品1 より第24番(チェロ版/堤)
シューベルト/リスト編: ウィーンの夜会 第6番 イ短調 S.427-6(中村)
ショパン: 即興曲 第4番 嬰ハ短調 作品66「幻想即興曲」(中村)
ショパン: ポロネーズ 第6番 変イ長調 作品53「英雄」(中村)
メンデルスゾーン: 協奏的変奏曲 ニ長調 作品17(堤/中村)
ショパン: チェロ・ソナタ ト短調 作品65(堤/中村)
《アンコール》
 サン=サーンス: 白鳥(堤/中村)

 千葉県文化振興財団主催の「プレミアム・クラシック・シリーズ Vol.22」は、ピアノの中村紘子さんとチェロの堤剛によるデュオリサイタル。「黄金のデュオ」・・・というか「大御所のデュオ」である。このシリーズは地元での唯一のクラシック音楽のコンサート・シリーズのため、ずっと以前から会員になっていて、毎年最前列で聴いて来たのだが、今年度は会員先行発売日の午前10時過ぎに電話がつながった時にはもうセンターブロックの最前列は埋まってしまっていた。そこでやむなく2列目のセンターとなった。この手の自治体主催のコンサート・シリーズは会員の継続というシステムがなく、毎回ヨーイドンで席を取り合わなければならない。お役所に言わせると「公平を期す」ためなのだそうだ。今年度(2015/2016シーズン)は3回のコンサートがあり、本日と、9月23日の「成田達輝&萩原麻未デュオリサイタル」、2016年2月14日に「森麻季&福井敬デュオリサイタル」の3本立てで、けっこう内容が良い。ところが問題は会場のホールの方で、古いせいもあるが音は響かないし、椅子は狭いし、ピアノも古くて全然鳴らないし・・・・。改善の余地は多い。
 
 1曲目は堤さんのソロでJ.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲 第1番」。さすがの手慣れた演奏で、おおらかで深い音色も素晴らしい。ところが、音響の良くないホールなまで音が拡散してしまうのか、音量が小さめに感じられた。
 2曲目も堤さんのソロで、パガニーニの「24の奇想曲」より第24番をもちろんチェロで。元曲のヴァイオリンでさえ超絶技巧の極めつけみたいな曲なので、楽器の大きいチェロではけっこう物理的に無理な要素が多いような気がする。音程も不安定になるし、リズム感も崩れがち。左手ピツィカートはチェロではまともな音が出ないようである。

 3曲目は中村さんのソロで、シューベルト/リスト編の「ウィーンの夜会 第6番」。何しろピアノが鳴らないので、調子も出ないのではなかろうか。弦が錆び付いているのか響板がヘタっているのか、年代物のピアノのような乾いた音でプツプツとして音が伸びないのだ。弾く方にもストレスが溜まりそうである。
 続いて4曲目も中村さんのソロでショパンの「幻想即興曲」。冒頭の早いパッセージは音が分離していなくてゴチャッと聞こえた。指が回っていないのか、それともピアノの調子が悪いからなのか・・・・。いずれにしても高音の方が音量が出ないので、あまり良い演奏とは言えない。
 前半の最後は、やはり中村さんのソロでショパンの「英雄ポロネーズ」。こちらもやや混沌とした印象であった。音は濁りっぱなしだし、ミスタッチも多いような・・・。もうショパンはどこかへ行ってしまっていて、あくまで中村紘子流の「英雄ポロネーズ」といった印象である

 後半は、ようやくお二人のデュオで、メンデルスゾーンの「協奏的変奏曲 ニ長調」。メンデルスゾーンらしい明るく伸びやかな主題がピアノ、チェロの順で提示され、8つの変奏に続く。堤さんのチェロは明るい音色で大らかに歌っている。しかし変奏が進むにつれてピアノが複雑になると音量が増していき、チェロが聞こえなくなってしまう(2列目の真正面で聴いているのに!)。とくに低音部がピアノにかき消されてしまっていた。後方の席や2階・3階ではどのように聞こえていたのだろう。演奏は良いのだが、バランスが良くないのである。

 最後はショパンの「チェロ・ソナタ」。メンデルスゾーンよりはショパンの方がよりピアノ・パートが服罪で充実している。そのためか、ピアノが頑張り出すと低音部が分厚い音の塊となってしまい、チェロを飲み込んでしまう。チェロが高音域を弾いている時は比較的よく聞こえているのだが、低音域に入るとほとんど聞こえない。これではチェロ・ソナタとは言い難く、聴いている内にだんだんイヤになってきた。しかも、関係のない話ではあるが、隣の席の人が終始プログラムを出したりしまったりガサゴソしていて、コチラの集中力を途切れさせるようなことばかりする。第3楽章以降は良い演奏をしていたように思うが、コチラがもう聴こうとする意志を途切れさせてしまったので、何も感じなくなってしまった。

 アンコールはお決まりのサン=サーンスの「白鳥」。もう何も言うことはない。

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