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ロスレス DCT の特性 |
武部先生に教えて頂いた論文の抄録 太田,大網:ロスレスDCT画像符号化方式
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ロスレス(可逆)DCT符号化方式を提案する.まず, DCT基底を整数化し, その場合の変換点構造を解析することで可逆量子化を導入した.8×8のDCTについて, この方式でロスレス符号化する方式について述べ, シミュレーションで基本性能を確認した.この方式は, 画質劣化を嫌う放送局での1次伝送等に用いることができる.さらに, DCTを用いた既存の標準方式と互換性のあるロスレス方式の可能性がある.
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では詳細を想像し難いので,概略を簡単に紹介します --- 「ロスレス DCT」の検索で見つかる資料は多くなく,大部分は本文が有料の論文のようです.
抄録に書かれているように,正確には(当然ながら)“ロスレス{ DCT もどき}”ですが「可逆量子化」に関する工夫が抄録からは読み取れません --- 入力標本値,変換行列の要素ともに整数であれば単純な可逆変換は容易ですが,変換された成分のダイナミックレンジを圧縮しようとすると工夫が要ります.基本方針は,入力 x を行列 T で変換すると x の単位長が |det(T)| 倍されることに着目し, |det(T)| の倍数である d(k) を用いて出力の第 k 成分を X(k)=d(k)×a(k)+r(k) と表現し(※),密度が 1/|det(T)| である「基本領域内」の点 (r(1), ・・・ ,r(p)) を変換テーブル U で密度 が1に近い空間内の点に変換します.
※ 具体的には,変換行列の計算を下記の左図のように分解し,変換9(同図右下のブロック)に対しては右図のように,X(1), X(7) から X(3), X(5) を求めています.
蛇足: 式(13)はあまり見かけない表現で,普通に書けば q(i) = Xq(i) mod m(i)