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線形時不変な回路 |
「ディジタルフィルタ (1)」で「線形時不変」の意味は[3-1]を見てくださいと述べましたが,中学生にでも分かる説明を付け加えます.
自動販売機で1缶100円の缶ジュースを買う場合,沢山買っても割り引いてくれません.例えば,50缶買うには5000円必要です.また,自動販売機には特売日はありません.倉庫に在庫が大量にあっても値段は変わりません.いつ買っても,いくつ買っても単価が変わらないので,必要な金額がすぐ分かります.自動販売機は線形時不変な装置です.これに対して,スーパーのように個数や日時によって単価が変わる場合は線形でも時不変でもないので,実際に行ってみなければ必要な金額が分かりません.線形時不変でない装置は概して設計も面倒です.
[3-1]の説明や上図の式も主張している内容は非常に素直です.表現がもったいぶっていると感じる人がいるかも知れませんが,我慢して慣れれば簡潔な表現を愛用するようになると思います.上図は sys.pdf [#30] からの引用ですが,回路 T が時不変であることを T Db = Db T で表しています.分かり易く書けば「u(t) を入力したときの出力を v(t) とすると,u(t-b) を入力したときの出力を v(t-b) で表せる回路が時不変」ですが,遅延作用素 Db を考えるとラプラス変換の e-bs, z変換の z-k と対応させやすくなります.
補足: 都合により,sys.pdf の第1章,第2章の文字の使い方を変更しました.x,y を離散信号に用い,アナログ信号には u, v を使います.(ユニットステップ関数には言及しません.補遺では Λ(t≧0) のような2値関数にします.) 上図の u はこの変更を反映したものです.なお制御理論では(連続系,離散系ともに)入力ベクトルに u, 状態ベクトルに x を用います.